ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
2021年2月15日は、アメリカでは"Washington's Birthday"「ワシントンの誕生日」という祝日にあたります。
ワシントンは、アメリカ合衆国の初代大統領ですね。
1880年に祝日として制定された際は、ワシントンの実際の誕生日(2月22日)が祝日とされましたが、その後1971年に月曜を祝日とする法律により、毎年2月の第三月曜日が祝日とされるようになりました。
そのため、今年は2月15日が祝日になります。
ただ、一般にはもう1人の有名な大統領リンカーンの誕生日が2月12日であることから、この2人の大統領の誕生日を記念して"Presidents’ Day"「プレジデンツ・デー」とも呼ばれているそうです。
おりしも今年はバイデン新大統領が就任したりと、年明けから「大統領」に関するニュースが多く見られました。
ということで、今回の記事では「大統領」を意味する英語"president"という単語について調べてみたいと思います。
"president"の意味と語源とは?
辞書を引くと分かりますが、そもそも"president"には「大統領」という意味のほかにも「社長」や「議長」などの意味でも用いられます。
いずれにせよ、ある集団におけるリーダーという存在が示唆されるわけですが、日本語では様々な呼ばれ方をするのに対し、英語では"president"の一語で表現できてしまうというわけですね。
何故でしょうか?こんな時には、その単語の語源を調べてみるとヒントが見つかります。
無料で英単語の語源にアクセスできるサイト、"Online Etymology Dictionary"によると、"president"は以下のように解説されています。
late 14c., "appointed governor of a province; chosen leader of a body of persons," from Old French president and directly from Latin praesidentum (nominative praesidens) "president, governor," noun use of present participle of praesidere "to act as head or chief" (see preside). In Middle English of heads of religious houses, hospitals, almshouses, colleges and universities.
First use for "chief executive officer of a republic" is in U.S. Constitution (1787), ・・・以下略
(出典:Online Etymology Dictionary)
今では最初にイメージされやすい「大統領」という意味で用いられた例は、実は1787年の憲法で初めて見られるそうです。
ちなみに、この憲法が制定された当時のアメリカは現在のような50州ではなく、最初期の13州で構成されていました。
話が逸れましたが、"president"はそもそも14世紀後半頃にフランス語から「人々のリーダー」というような意味で英語に持ち込まれており、更に遡るとそのルーツはラテン語の"praesidens"にたどり着きます。
「人々のリーダー」という意味が、英語において「大統領」や「社長」という現代的な肩書の意味を持つようになったのですね。
"praesidens"の成り立ち
また、"Online Etymology Dictionary"によると、ラテン語"praesidens"について、更に以下のような情報も提供してくれています。
"praesidens"は名詞で、監督や統治者という意味があります。
文法の話になりますが、この"praesidens"は単数形の主格であり、文の中で主語を表す形として用いられます。
この単語の単数形の対格(目的語として用いられる形)が"praesidentem"であり、語尾が"tem"と変化します。
この対格の形"praesidentem"を受け継ぎ、フランス語を経由して英語に取り込まれたのが"president"だというわけです。
また、この単語は"prae" + "sidens"という2つのパーツが組み合わさって、1つの単語が出来上がっています。
前半の"prae"は、「前に」という意味を持つ接頭辞です。日本語でも「プレ」という言葉が、何かの前段階を指す際によく使われますね。
対して、後半の"sidens"は"sidere"「座る」という動詞の名詞形です。
つまり、この単語は「"prae"前に "sidens"座ること」というのが原義になります。
「大統領」、「社長」、「議長」…英語"president"の訳があてられるのは、共通してある集団の中で前に立つ役職ですね。
語源をさかのぼり、「前に座ること」というイメージを得られれば、「大統領」だけでなく「社長」といった意味を表すこともしっくりきますね。
日本語とは異なる言語グループにおいても、トップが人々の「前に」出ることは自然なことですね。
日本語で言えば「先に立つ」というイメージでしょうか。日本語では「立つ」という表現に対し、ラテン語では「座る」という動詞を用いている点が面白いです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回の記事では英語"president"という単語を取り上げました。
日本語では、「大統領」という訳が主に思い浮かびますが、「大統領」に限定されず「社長」や「議長」など、ある集団におけるトップとしての用例もあるということが、語源をさかのぼるとよりイメージしやすくなりますね。
我々が用いる漢字にも成り立ちや部首・偏などを調べるとより言葉のイメージが掴みやすくなるように、英語でも語源をさかのぼることで分かることがあります。
アルファベットの羅列を見るのに疲れた時は、気分を変えてぜひ語源を尋ねてみて下さいね。きっと、新たな発見があると思います。