ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
先週、3月20日は「春分の日」でした。
昼の時間と夜の時間がほぼほぼ同じとなり、この日を境に少しずつ昼の時間が長くなっていく、という日です。
私の住んでいるところも少しずつ暖かくなり、冬から春に向かっているという感じがします。
個人的には冬よりも夏の方が好きです。
「太陽」が高く昇り、一日の日照時間が長くなるのがいいです。
特に、日照時間の長さは日本より北へ旅行するとより実感します。
夏のヨーロッパでは朝は5時前から明るく、日没が22時前という地域がほとんどです。北極圏に近づけば、完全に「太陽」が沈まない白夜になります。
今回はそんな「太陽」という単語について思いめぐらしたいと思います。
名詞に「性別」がある?
ところで、「太陽」について考える前に、1つ。
世界には、名詞を「性」で分けるという特徴を持った言語があります。
例えばドイツ語やルーマニア語、チェコ語は「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」という3つの性を持っています。一方、フランス語やイタリア語など「男性名詞」と「女性名詞」の2性しか持たない言語もあります。
フィンランド語のように、「性」を区別しない言語も、もちろん存在します。
では英語は?
一般的に英語では名詞を「男性名詞」「女性名詞」と区別しません。ただ、代名詞の場合、三人称の"He"「彼は」と"She"「彼女は」があり、全く区別されないという分けでもありません。
ちなみに、「性」をもたないフィンランド語は三人称の代名詞も"hän"[ハン]の一語です。
ここで言う「性」を持つ言語は、一般的にすべての名詞に「性」を振り分けます。
各言語で、「父親」や「兄」など男性を指す名詞は「男性名詞」であり「母親」や「姉」など女性を指す名詞は「女性名詞」というように、一般的な性別と合致します。
ただ、「机」が「男性名詞」だったり(ドイツ語"Tisch")、「鍵」が「女性名詞」だったり(フランス語"clef")と、大抵の名詞はそもそも人間界の「性」が当てはまらないので、その区別は我々からするとイメージがしづらいところです。
あくまで名詞における「性」は、文法上で区別するための機能であるという点に注意しましょう。
「太陽」は男性か、女性か、それとも?
ヨーロッパの言語には、名詞を「性」で区別するものがあるということでした。
では、「太陽」の「性」は何でしょうか。「男性」、「女性」?はたまた「中性」?
実は、ヨーロッパの中でも言語によって、ある名詞がどの性を与えられるかは、異なります。
【第1グループ】まず、以下は「太陽」を男性名詞と考える言語です。
イタリア語 Sole [ソーレ]
ルーマニア語 Soare [ソアレ]
フランス語 Soleil [ソレイユ]
スペイン語 Sol [ソル]
ポルトガル語 Sol [ソル]
これらの言語はどれも、ラテン語の"Sol"に由来し、名詞の「性」もラテン語から引き継いでいます。
【第2グループ】一方、次の言語では「太陽」を女性名詞と捉えます。
ドイツ語 Sonne [ゾンネ]
オランダ語 Zon [ゾン] ※
※オランダ語は現代文法では、男性名詞と女性名詞が融合した結果の「通性名詞」と、「中性名詞」の2性ですが、元は「女性名詞」です。
【第3グループ】いやいや、「太陽」は中性名詞だ、と捉える言語もあります。
チェコ語 Slunce [スルンツェ]
ポーランド語 Słońce [スウォインツェ]
グループ名は私が便宜上つけた名前に過ぎませんが、第1グループがラテン系の言語グループ、第2グループはゲルマン系の言語グループ、第3グループがスラヴ系の言語グループです。
実はこの3グループはさらに遡ると、「インド・ヨーロッパ祖語」という共通の先祖を持つ、言わば兄弟のような関係なのですが、時代を下って現代では名詞の「性」に対する認識が異なっているといのは面白いですね。
思うに、名詞に与えられた「性」というのは、昔の人々が自然界の物事から感じ取ったイメージが反映されたものではないでしょうか。
日本語の名詞は「性」の区別を持ちませんが、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が女神として認識されているなど、物事に「性」を与えるイメージは何となく分かります。
「太陽」のように無生物であっても、万物に霊魂が宿るという考え方(アニミズム)から、すべての名詞に「性」を与えたのかもしれませんね。
【参考】小文字の「太陽」?
ところで上で挙げた各言語で「太陽」を意味する単語は、基本的に大文字で記載されます。
英語の「太陽」は定冠詞付きの大文字で、"the Sun"ですね。
何故、大文字なのでしょう?小文字で記載したら、どうなるのでしょうか?
正解は「恒星」という意味になります。
自らが光を発する星が「恒星」です。太陽は「恒星」の中の一つです。
太陽系の中に存在する地球にとって、太陽は唯一の「恒星」ですので、固有名詞として大文字で表記されます。この場合、複数形も存在しません。
一方で、「恒星」自体は太陽系外を見れば太陽に限りません。そのため一般名詞です。複数形で表現することも当然できます。
※ただしドイツ語の場合、一般名詞も固有名詞も関係なく名詞の最初は大文字で記載するというルールがあるので、いずれにせよ大文字"Sonne"となります。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回の記事では名詞の「性」という文法事項について、名詞「太陽」を例に考えてみました。
名詞に「性」の区別を持つ言語を学ぼうと思ったら、単語ごとに覚えなければなりません。ただ、どの言語が違えば「性」も異なる、というのが厄介ですね。
「太陽」以外にも、言語によって異なる「性」を与えられた名詞は色々あるので、調べてみると面白いと思うのですが、あんまり調べすぎるとどの言語でどの「性」であったのか混乱してしまいそうなので、ほどほどが良いかもしれませんね。