ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今回はフランス語のお話です。
フランス語の学習を始めると、まず思うのはつづりと発音の差が大きいなという点です。
とはいえ、英語ほどやっかいで無いという印象もまたあると思います。フランス語の場合はある程度、パターンで覚えてしまうことが可能です。
基本的には子音が表す音は1対1の関係です。
英語では、例えば "th" という子音は "that /ðæt/"[ザット]、"thank /θæŋk/"[サンク]といった具合に、単語によって発音が異なるケースもありますが、フランス語ではそのようなことは基本的にありません。
フランス語の"s"
ただし、子音"s"の発音は注意が必要です。
フランス語では基本的に「サ行」の音を表しますが、"s"の前後が子音で挟まれた場合は音が濁ります。
例えば、"saint"[サン]、"esprit"[エスプリ]など音が濁らず発音されるのに対し、母音に挟まれた"s"は、"chose"[ショズ]といった具合です。
では、母音に挟まれた場合でも「サ行」の発音をしたい場合はどうすればよいのでしょうか。
その場合、"s"を2つ重ねて、"ss" とつづることになっています。
例えば、"passe"[パス]という具合です。
"s"の数に要注意!
以上のように、とりわけ"s"については母音間の文字の数で発音が異なるということになります。
"s"が1つか2つかの違いが単につづりの間違いで済めばいいのですが、中には"s"の数で意味が全く異なってしまう単語があります。
それが"poisson"[プワソン]と"poison"[プワゾン]です。
前者は"s"が2つ、後者は"s"が1つですね。
※フランス語では母音"oi"を「(オ)ワ」のように発音します。
余談ですが、個人的にこの音がフランス語をフランス語らしい響きたらしめている重要な音の1つだと思っています。
さて、これら単語ですが、"s"が2つの"poisson"は「魚」という意味の名詞です。
では、"s"が1つの"poison"の意味は何でしょう?
"poison"とつづる単語は英語にもありますね。そこから気づかれる方も多いと思いますが、「毒」を意味する名詞でした。
この2単語はつづりも音も似ているだけに、取り違えてしまうと大変なことになりかねませんね。
"poison"の語源とは?
ちなみに、結果として現代フランス語では似た形になっていますが、それぞれの語源ははっきりと異なっています。
「魚」を意味する"poisson"は、ラテン語"piscem"「魚」の前半部分、"pisc-"がベースであり、そこに接尾語"-on"がついた形です。
対する「毒」を意味する"poison"は、ラテン語"potionem"「飲むこと」に由来します。
元は単純に「飲むこと」という意味であったのが、「毒」に転じたというのは不思議ですが、何か背景があるのでしょうか?
フランス語から伝わった英語"poison"を頼りに、"online etymology dictionary"で語源を調べてみましょう。
そこでは次のように解説されています。
c. 1200, poisoun, "a deadly potion or substance," also figuratively, "spiritually corrupting ideas; evil intentions," from Old French poison, puison (12c., Modern French poison) "a drink," especially a medical drink, later "a (magic) potion, poisonous drink" (14c.), from Latin potionem (nominative potio) "a drinking, a drink," also "poisonous drink" (Cicero),
フランス語では元々「飲むこと」という意味から、時代を経て「薬を飲むこと」や「有毒物を飲むこと」に変化していることが分かります。
英語でも1200年頃には「致命的なポーション(服薬)、または物質」として記録されているようです。
以下は私の推測ですが、ラテン語には少なくとも2通りの「飲む」という動詞があります。
一つが今回の"poison"の語源となった"potionem"の動詞形"poto"で、もう一つが"bibo"です。
現代フランス語で「飲む」という動詞は、"bibo"が語源の"boire"が担っています。
そのため、"poto"に由来する単語は一般的な「飲む」という意味から離れ、現代の用法に落ち着いたのではないでしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はフランス語の単語について調べてみました。
文字が少し違ったり音が少し違ったりするだけで異なる意味になってしまうというのは、フランス語に限らず見られることだと思います。
そうした点を探してみるのも語学を楽しく続けるうえで重要な点だと思っており、今後も何か発見があれば紹介していきたいと思います。