ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
日本語の地名は漢字表記がほとんどなため、その漢字を見れば地形やその場所の特徴などを類推できるのが面白いと思います。
例えば「渋谷」という地名には「谷」という漢字が含まれていますが、現在のJR渋谷駅のあたりを底として周囲の地形が谷であったことに由来するそうです。
また「新宿」という地名は、江戸時代の宿場町「内藤新宿」に由来するそうです。
甲州街道の宿場の一つとして、後から新しく設けられた宿場であることから「新宿」となったということですね。
こうした地名の由来を訪ねるのは、日本語では漢字のイメージからある程度簡単にできるのかもしれません。
これがアルファベットを用いる言語ではどうでしょうか?
文字列を見ただけでは、なかなか推測が難しいかもしれません。
ですが、ドイツ語の地名に関しては日本語のように地形などの単語が盛り込まれた地名が多く見つかります。
そこで今回の記事では、ドイツ語の地名を見ながらその由来について紹介したいと思います。
"Burg" [ブルク]
ドイツ語圏には、"~burg"という地名が多く存在します。
代表的な都市では、"Hamburg"「ハンブルク」や"Würzburg"「ヴュルツブルク」等があります。
ドイツ語で"Burg"の意味は次のように定義されています。
mittelalterlicher, befestigter Wohn- und Verteidigungsbau. -「中世の要塞化された住居または防衛設備」
(出典:ドイツ語版wiktionary)
日本語で言えば「城」と言えるでしょう。
連邦制のドイツは歴史的にも各地の領主が強い自治権を持ち、領邦国家として発展していきました。
そうした国家により築かれた戦略上重要な"Burg"「城」を冠する地名が多く存在していることも、想像に難くありません。
ちなみに、日本語の「城」に相当するドイツ語には今回の"Burg"の他に、"Schloss" [シュロス]という名詞もあります。
"Burg"と"Schloss"の違いは、前者が防衛面に重きを置いた要塞的な意味での「城」であるのに対し、後者は豪華な邸宅としての「城」です。
ドイツ観光のハイライトである「ノイシュヴァンシュタイン城」は、ドイツ語で"Schloss Neuschwanstein"であり"Burg"では無いことが、その姿から分かります。
"Berg" [ベルク]
先ほどの"~burg"と似た単語で、"~berg"という地名も見られます。
例えば"Bamberg"「バンベルク」や、"Heidelberg"「ハイデルベルク」などの都市があります。
ドイツ語で"Berg"の意味は、次のように定義されています。
große, steile Erhebung auf der Landoberfläche der Erde und anderer Himmelskörper und des Meeresbodens. -「地球やその他天体などの地表や海底から大きく盛り上がったもの」
(出典:ドイツ語版wiktionary)
定義だけを見るとなぞなぞのようですが、日本語では「山」を意味する名詞です。
上に挙げた"Bamberg"や"Heidelberg"という都市には、自然公園や山々が近くに存在していることから地形に由来する名前だと想像できます。
"Furt" [フルト]
続いては"~furt"という単語を持つ地名です。
代表的な都市としては、欧州中央銀行の本部があり金融都市として知られる"Frankfurt"「フランクフルト」があります。
ちなみに、一般的に我々が知っているフランクフルトという都市は、正式には"Frankfurt am Main" [フランクフルト・アム・マイン]といいます。
"Main"とは市内を流れるマイン川という河川名です。
ドイツ国内にはもう1箇所、「フランクフルト」という名前を持つ都市があり、そこと区別するために「マイン川沿いのフランクフルト」という意味が正式名称となっているのです。
もう一方の「フランクフルト」は、"Oder"「オーダー川」という名前の川に接しています。
そのため"Frankfurt an der Oder"「オーダー川沿いのフランクフルト」という正式名称があります。
オーダー川は隣国ポーランドとの国境線でもあり、川の向こうは「スウビツェ」というポーランドの都市になります。
少し話が逸れましたが、ドイツ語で"Furt"の意味は次のように定義されています。
durchfahrbare Stelle eines Flusses. -「川の通過可能な地点」
(出典:ドイツ語版wiktionary)
一般的には「浅瀬」という意味であり、例のフランクフルト"Frankfurt"は「フランク人の浅瀬」に由来します。
今でこそマイン川には橋が架けられていますが、昔は歩いて渡れる浅瀬程の場所だったのかもしれませんね。
ちなみに、これまでの例で挙げてきた都市の内、"Würzburg"「ヴュルツブルク」、"Bamberg"「バンベルク」、"Frankfurt am Main"「マイン川沿いのフランクフルト」は、いずれもマイン川の流域に発展している都市です。
"Heim" [ハイム]
ドイツ南西部にある"Mannheim"「マンハイム」は、その中心市街地が格子状の街区に整然と区画された計画都市です。
この都市名には、"~heim"という単語が用いられています。
ドイツ語の"Heim" [ハイム]は、日本の住宅メーカー「セキスイハイム」の社名でも使われていたりマンション、アパートの名前につけられていたりすることから、我々にも馴染みのある単語ではないでしょうか。
ドイツ語で"Heim"の意味は、次のように定義されています。
Haus oder Wohnung, wo jemand wohnt. -「人の住む住居」
(出典:ドイツ語版wiktionary)
日本で用いられている例からも明らかなとおり、「家」という意味の名詞です。
ドイツ語"Heim"と同じルーツを持つ単語として、英語"home"が挙げられます。
また、英語圏の地名では"~ham"という接尾語を持った地名が見られますが、これもやはり英語"home"に由来します。(例:Buckingham「バッキンガム」等)。
"Dorf" [ドルフ]
最後は"~dorf"という単語を持つ地名です。
ドイツの工業地帯として有名なルール地方の南西に、"Düsseldorf"「デュッセルドルフ」という都市があります。
在独日本総領事館がある他、日本企業の進出拠点でもあることから駐在する日本人も多く住まわれています。
この"Dorf"ですが、ドイツ語では次のように定義されています。
kleine Siedlung, ländlicher Wohnort. -「小さな集落、田舎の居住地」
(出典:ドイツ語版wiktionary)
日本語の「村」に相当する名詞です。
ただ、ドイツでは日本のように規模によって「市」「町」「村」と名前を分けることはしません。
ドイツでは、基礎自治体は基本的に"Gemeinde" [ゲマインデ]と呼ばれます。
例で挙げた"Düsseldorf"は「村」が含まれる地名とはいえ、ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都でもある大都市です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回の記事ではドイツの地名に焦点を当て、そこに含まれる単語の意味を紹介してきました。
ドイツ語を学ぶことで、日本の地名同様その土地の背景などが連想できるようになるかもしれませんね。
また、ドイツ語圏の人名に込められた意味についても調べています。こちらもご参照いただければ幸いです。