ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
これまで、ドイツ語圏の「作曲家」や「サッカー選手」の名前からドイツ語を紹介する記事を上げてきましたが、今回はスペイン語に焦点を当ててみました。
スペインもまた世界から注目されるサッカー大国の1つだと思いますが、サッカー選手の名字を取り上げその意味を調べることで、スペイン語の学習につなげることができれば幸いです。
フェルナンド・イエロ
まず取り上げるのは、長きにわたってスペイン代表やスペインの中でもトップクラブの1つであるレアル・マドリードで活躍した、フェルナンド・イエロ選手です。
彼の名字「イエロ」はスペイン語で"Hierro"とつづります。
この"Hierro"は、一般名詞では「鉄」を意味する単語です。
また、「鉄」という単語は、ロマンス諸語の多言語ではそれぞれ以下のように表現します。
イタリア語 ferro [フェろ]
ルーマニア語 fier [フィエる]
フランス語 fer [フェる]
ポルトガル語 ferro [フェほ]
いずれもラテン語の"ferrum"にルーツを持ちます。
そういえば、化学の授業で元素を覚えた際、「鉄」は"Fe"でしたね。これは、ラテン語"ferrum"の頭文字に由来します。
ただ、スペイン語においては語頭が"F"ではなく"H"となっています。
これはスペイン語がラテン語から派生していった中での音韻変化の1つです。同様の変化は以下の単語でも見られます。
スペイン語 harina [アりナ] ←ラテン語 farina [ファりナ] 意味:小麦粉
スペイン語 hacer [アセる] ←ラテン語 facere [ファケれ] 意味:する
ラテン語で語頭が"F"だった単語はスペイン語では"H"へと変化し、さらに"H"は表す音を失って現代に至ります。
イエロ選手は既に引退していますが、現役時のポジションはディフェンダーだったそうです。名字から「鉄」壁の守備が想起されますね。
フェルナンド・トーレス
続いて、ご紹介する名字は「トーレス」です。
スペイン語で"Torres"と綴るこの名字は、一般名詞では「塔」を意味する"torre"の複数形です。
トーレス選手は伸長が186cmと高身長で、「塔」という名字がぴったりな感じがします。
ちなみに、最初に挙げたイエロ選手も名前がフェルナンドでしたが、この名前は欧州では男性の名前として多く見られます。
英語圏では"Ferdinand"「ファーディナンド」という名前と同じルーツを持っています。
イケル・カシージャス
スペインの守護神として名高い選手が、スペイン代表やレアル・マドリードでのゴールキーパーとしての活躍で知られるカシージャス選手かと思います。
スペイン語で"Casillas"と綴るこの名字ですが、一般名詞としての意味は調べてみると「ボックス」とのこと。
特に「チェックボックス」のような小さなマス目上の「ボックス」を指すのだそうです。
ちなみに、上で挙げた"Torres"同様、語尾の"s"はスペイン語における複数形を示します。
またスペイン語では(地域や語彙にもよりますが、)2つ重なった"LL"は、日本語の「ジャ行」に近い音を表します。
更に調べてみますと単語"casilla"は、"casa"に接尾語"-illa"がくっついてできた単語です。
"casa"は「家」という意味であり、そこに付く接尾語"-illa"は対象の小ささをイメージさせる、指小辞(ししょうじ)と呼ばれる接辞です。
そのため、小さなマス目のような「チェックボックス」や「小屋」という意味として使われる一般名詞ということでした。
指小辞は、ドイツ語"-chen"や"-lein"、フランス語"-ette"などのように、他の言語でも見られる接辞です。
セルヒオ・ラモス
最後に取り上げるのは、セルヒオ・ラモス選手です。
2021年現在、スペイン代表として最多の180試合出場を誇り、現在でも代表に選ばれている選手だそうです。
スペイン語で"Ramos"と表記するこの名字ですが、日本人にとっては昔Jリーグで活躍した「ラモス瑠偉」選手の名字としても知られているのではないでしょうか。
※ラモス瑠偉選手の母国はブラジルで、その公用語はブラジル・ポルトガル語です。ただ、スペイン語とポルトガル語は地理的な近さもありロマンス諸語の中でも特に類似している言語であることが知られています。
これまで取り上げた名字と同様に、"Ramos"もまた一般名詞"ramo"に"s"が付いた複数形です。
こうしてみるとスペイン語圏の名字は複数形の形が多いですね。
この"ramo"という単語は、ラテン語"ramus"「枝」にルーツを持つ単語で、現代スペイン語でも「枝」という意味の一般名詞です。
ただ、辞書で調べたところ"ramo"の1番目の意味としては、「ブーケ、花束」が上がってきました。
以前取り上げたドイツ語圏の作曲家、"Strauss"「シュトラウス」という名字も一般名詞としては「花束」という意味のある単語でした。
ただ"Strauss"には「ダチョウ」という意味の同音異義語があり、残念ながら(?)"Strauss"という名字は「ダチョウ」に由来するのだと紹介しました。
今回は、「花束」という一般名詞が名字になっていると言えそうです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、スペイン語圏の有名なサッカー選手の名字からスペイン語を学んでみました。
取り上げた選手たちは皆スペイン国内の出身者となってしまいましたが、ご存知のようにスペイン語を母語とする地域は南米などにも広く存在しています。
今後はスペイン以外の国にも注目して調べてみたいと思います。
また繰り返し述べているように、楽しく外国語を学習するにはこうした観点に着目しても損は無いと思います。
これからも引き続き色々なものに着目して、外国語の学習に役立てていくことができれば嬉しいです。
ドイツ語圏の「作曲家」「サッカー選手」の名前について調べた記事もよければご参照下さい。