ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
外国語学習というと特定の言語を集中的に取り組むというのがほとんどだと思いますが、時にはあえて他の言語に触れてみるのも気分転換になると思います。
今回の記事では、英語・フランス語・ドイツ語の3言語における「自己紹介」の表現方法について、その違いを比べてみたいと思います。
英語"I am ~." / "My name is ~."
まず、英語における自己紹介の常套句と言えば、見出しに挙げた通り2つの表現情報が挙げられると思います。
I am ~.「私は、~です」
My name is ~.「私の名前は、~です」
ネットで調べてみると、この2つの表現は"I
am ~."がカジュアルで、"My name
is ~."がフォーマルな表現として使い分けられているようです。
いずれにせよ、英語における自己紹介文ではBe動詞が用いられ、"A
= B"という構文になることが分かります。
では、これが別の言語になるとどのような表現になるでしょう?
フランス語"Je suis ~." / "Je m’appelle ~."
フランス語における自己紹介の表現方法を見てみましょう。
学習書や旅行会話集には、基本的に以下2つの表現が見られます。
Je suis ~. [ジュ スィ]「私は、~です」
Je m’appelle ~. [ジュ マペル]「私の名前は、~です」
1つ目の表現、"Je
suis ~."は英語"I am ~."と同じです。すなわち、フランス語で"Je"が「私」を指し、"suis"がBe動詞の変化形(英:am)に相当します。
今度は2つ目の表現、"Je
m’appelle ~."を見てみましょう。
便宜上、日本語訳を「私の名前は、~です」としましたが、この表現は直訳すると「私は、私自身を~と呼びます」となります。
文章を分解して整理します。
"Je"は先述の通り「私」であり、この文の主語です。続く部分は動詞で、"m’appelle"は不定形"s’appeler"が活用した形です。
この ’(アポストロフィ)を持つ一風変わった形の動詞は、フランス語で「代名動詞」と呼ばれます。
代名動詞とは再帰代名詞"se"「自身を」を伴う動詞なのですが、今回の場合は元の動詞"appeler"が母音で始まるために音がつながり、綴りの上でもアポストロフィでつながっているというわけです(エリジオンといいます)。
元の動詞"appeler"は「呼ぶ、電話する」等であり、英語"to call"に相当すると言えます。
これに再帰代名詞"se"「自身を」と合わせて、「自身を~と呼ぶ」という意味になるのです。
ちなみに、不定形"s’appeler"を活用する際には、動詞の形だけでなく再帰代名詞も主語に合わせて変化させる必要があります。
主語"Je"「私」に対する再帰代名詞は"me"「私自身を」であるため、"m’appelle"という形ができあがり、"Je m’appelle ~."「私は、私自身を~と呼ぶ」=「私の名前は、~です」になるというわけです。
再帰代名詞を用いた表現
自分の名前を伝えるのに再帰代名詞を用いて、「私は私自身を・・・」と表現するのは日本語の感覚からすると回りくどく聞こえますが、フランス語を始めイタリア語やスペイン語などのロマンス諸語では頻出の表現方法です。
イタリア語とスペイン語における一般的な自己紹介の表現は以下の通りです。
イタリア語 Mi chiamo ~. [ミ キアーモ]
スペイン語 Me
llamo ~. [メ ジャモ]
どちらも先頭の"Mi" / "Me"が再帰代名詞「私を」の形であり、続く"chiamo" / "llamo"が「呼ぶ」という意味の動詞になります。
フランス語の動詞"s’appeler"とは異なるものの、表現の仕方は同じであることが分かりますね。
※また、イタリア語やスペイン語では主語「私は」(それぞれ"io" / "yo")は通常省略されます。そのため、再帰代名詞から始まる文となっています。
ドイツ語"Ich bin ~." / "Mein Name ist ~." / "Ich heiße ~."
最後にドイツ語における自己紹介の表現を見てみましょう。
次の3通りの表現がよく見られます。
Ich bin ~. [イッヒ ビン]「私は、~です」
Mein Name ist ~. [マイン ナーメ イスト]「私の名前は、~です」
Ich heiße ~. [イッヒ ハイセ] 「私の名前は、~です」
1つ目、"Ich
bin ~."は英語"I am ~."やフランス語"Je
suis ~."と同じです。最もシンプルな表現方法と言えるでしょう。
次いで、"Mein Name
ist ~."は単語の似ていることからも分かる通り、英語"My
name is ~."に相当します。英語同様、やはりフォーマルな表現のようです。
ちなみに、ドイツ語では一般名詞であっても必ず大文字で書き始めるというルールがあります。
そのため文頭でないにも関わらず名詞"Name"「名前」は、"N"を大文字としなければなりません。
さて、ドイツ語の表現で特徴的なのが3つ目の"Ich
heiße ~."です。
見慣れない文字"ß"は「エスツェット」と読み、「サ行」の音を表します。ギリシャ文字"β"「ベータ」では無いので注意しましょう。
"Ich"は主語「私は」であり、続く"heiße"が動詞です。不定形"heißen"が主語"ich"の形に合わせて活用した形です。
※英語ではBe動詞の変化の他はいわゆる三単現の"s"の活用があるくらいですが、フランス語やドイツ語ではどの動詞でも人称や数等に応じて英語以上の活用形があります。
ドイツ語辞書に無料でアクセスできるサイト、DWDSによると"heißen"は"genannt
werden"「と名付けられている」や、"den Namen haben"「名前を持っている」という意味であるとされています。
そのため、"Ich
heiße ~."という2語で「私は~と名付けられている」=「私の名前は、~である」という表現になります。
英語に置き換えれば"be called" / "be named"という受動態に相当する表現が、ドイツ語では動詞1語で表現されるというのは面白いですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、英語・フランス語・ドイツ語におけるそれぞれの自己紹介表現について紹介しました。
地理的にも近い地域で話される3言語ですが、その表現方法は三様で面白いですね。
外国語学習はとにかく長い道のりなので、時には他の言語に寄り道してみるのも長く継続する上で一計かと思います。
今後もこうした観点からの記事も更新していければと思います。