英語"finger"と"five"の関係とは?語源を元に解明します!

2021/11/12

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

最近は単語を覚えようとするとき、その語源が気になることが増えてきました。

このような状態になってしまうと、暗記作業が遅々として進まなくなります。

接頭辞や語根などが持つ語源から英単語を覚えることは効率的な方法とは思いますが、あまりにこだわって語源を遡る行為に走ってしまうと、本来の単語を覚えるという目的から離れていってしまいます。

しまいには今更覚えるまでもない基本単語の語源まで気になって、調べ始めてしまう始末です。

今回は誰もが知っている基本的な英単語"finger"「指」に関して、語源をたずねて分かった"five"「5」との関係性について紹介したいと思います。


英語"finger"「指」の語源は何でしょう?

基本的な英単語"finger"は、今更覚えるまでも無いと思います。

余談ですが、私がいろいろな外国語に興味を持つきっかけとなったのは"finger"という単語です。

英語に続いてドイツ語を学び始めた時、ドイツ語でも「指」を"Finger"と表現することが分かり、そこから両言語が同じゲルマン語のグループに属することを知り、時には語彙や文法を比較しながら学習してきました。

果てはロマンス諸語(イタリア語やフランス語等)にも興味の対象は広がり、複数言語を並行して学ぶ面白さに気づきました。

そんな"finger"という単語の語源は何でしょう?

Online etymology dictionaryを紐解いてみましょう。

Old English finger, fingor "finger," from Proto-Germanic *fingraz (中略), with no cognates outside Germanic; perhaps ultimately from PIE root *penkwe- "five."

対訳:古英語fingerfingor「指」、ゲルマン祖語*fingraz、(中略)、ゲルマン語以外では関連語は無い、恐らく起源は印欧祖語の語根、*penkwe-「5」から。

出典:Online etymology dictionary

「指」の数である「5」がルーツとなっているのは面白いですね。

また"with no cognates"「関連語は無い」とある通り、このような派生はゲルマン語以外には見られないようです。

例えばラテン語で「指」を表す"digitus"は、英語版wiktionaryにおける語源の項で以下のように解説されています。

From Proto-Indo-European *deyǵ(“to show, point out, pronounce solemnly”),

対訳:印欧祖語*deyǵ-「示す、指す、厳粛に発音する」から

参照:en.wiktionary.org/wiki/digitus

現代イタリア語やフランス語といったロマンス諸語のルーツとなったラテン語では、「示す、指す」という動作に関連しているようです。

日本語でも「指」という漢字が「指す」という動詞で使われるように、動作と関連していることが分かります。


【参考】現代英語で消えた-n-とは?

英語"finger"のルーツとなった「5」は英語で"five"ですが、そのルーツとなった印欧祖語の語根"*penkwe-"にあった子音"n"は、現代英語には現れません。

一方で同じゲルマン語に属しやはり印欧祖語にルーツがあるドイツ語では「5」を"fünf" [フュンフ]と表現し子音"n"が保たれています。

これは、古英語や古フリジア語(現オランダのフリースラント州などの地域で用いられる言語)など一部地域で見られる規則的な変化で、摩擦音の前で子音"n"が消滅する現象です(参照:etymonline.com/word/tooth#etymonline_v_15372

摩擦音とは子音"f" []や"v" []、"s" []や"z" []といった音を指します。

今回の例、"five"は印欧祖語の語根"*penkwe-"を起源としてゲルマン祖語"*fimfe"を経て現在の形に至っています。

このゲルマン祖語"*fimfe"における2番目の"f"が摩擦音であり、その前の"m"が消滅したということになります。

同じ語源を持ちながら、"finger"の方は子音"n"の後に摩擦音ではない"g"が続いたことから、"n"は消失せず現代に至るということでしょう。

また、こうした消滅は発音のしやすさから起こったものと思われますが、他の地域では発生せずに元の形が保たれているというのは面白いですね。

他にも摩擦音の影響で"-n-"が消滅している例をドイツ語と比較しながら以下に挙げてみます。

左から、英語 – ドイツ語 – 日本語の順番です。

 goose – Gans – ガチョウ

 mouth – Mund – 

 soft – sanft – 柔らかい

また、英語の中でも活用など語形変化によって、"-n-"が消失する場合もあります。

 think(原形)に対する、thought(過去形、過去分詞形)など


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、英語"finger"の語源について調べてみました。

考えてみれば、"finger"と"five"は似た形をしていますが、今回その謎が明らかになりました。

単語暗記の合間にほどほどに語源を尋ねて、引き続き楽しみながら外国語学習に取り組んでいきたいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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