ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
普段われわれが何気なく使用している単語についてその語源を尋ねてみると、意外な発見に至ることがあります。
語彙を増やそうと単語を暗記する作業は単調で根気がいりますが、外国語学習において誰もが通る道だと思います。
そんな単調な作業の中で、気分転換に語源を調べてみるのも面白いかもしれません。
今回の記事では語源を尋ねてわかった英語の"sponge"、つまり「スポンジ」と「きのこ」の意外な関係について紹介したいと思います。
英語"sponge"の語源とは?
「スポンジ」という単語は日常的に用いられる外来語の一つですが、英語"sponge"に由来しています。
では"sponge"の語源は何でしょうか。
Online
etymology dictionaryによると以下の解説が得られます。
from Latin spongia "a sponge," (中略) from Greek spongia, related to spongos "sponge," of unknown origin. "Probably a loanword from a non-IE language, borrowed independently into Greek, Latin and Armenian in a form *sphong-" [de Vaan].
対訳:ラテン語"spongia"「スポンジ」から、(中略)起源不詳の"spongos"「スポンジ」に関連するギリシャ語"spongia"から。『恐らく印欧語以外の言語からの外来語で、"*sphong-"という形でギリシャ、ラテン、アルメニアの各語が別々に借用したと思われる[de Vaan(訳者注:オランダの言語学者)]
出典:Online
etymology dictionary
「印欧語以外の言語からの外来語」とある通り、"sponge"の語源はミステリアスです。
興味深いのは、ルーツの"*sphong-"がもう一つ別の形の単語になっている点です。
それが、今回のタイトルである「きのこ」に関連します。
ラテン語"fungus"「きのこ」の語源とは?
「きのこ」という単語はラテン語で"fungus" [フングス]と言います。現代英語では"mushroom"が「きのこ」を指しますが、その昔は"fungus"が「きのこ、真菌」を意味する単語として英語でも使われていたようです。
この"fungus"もまた、その語源が"*sphong-"であるとされています。
英語版wiktionaryには語源に関して、以下のように解説されていました。
Originally sfungus. Likely a loanword from a non-Indo-European substrate language. Compare Ancient Greek σπόγγος (spóngos) - "sponge"
対訳:元々はsfungus。恐らく印欧語以外の言語からの外来語と思われる。古代ギリシャ語σπόγγος (spóngos)「スポンジ」と比較せよ
出典:en.wiktionary
現在の形"fungus"からは一見分かりませんが、元の形が"sfungus"というのが確かであるとすると、そのつづりから"sponge"との類似性も頷けます。
「スポンジ」は、一般的には食器洗いに使われたり乾いた指先を湿らせたりする用途のイメージが強いですが、本来は多孔質の海綿動物を指す言葉です。
「きのこ」には傘の裏側がスポンジのようになっているものもあり、その姿から「スポンジ」と同源の単語から派生したのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"sponge"の語源と「きのこ」との関係について紹介しました。
英語やフランス語など、ヨーロッパの多くの言語は遡ると印欧語にルーツがあるものが多いですが、今回のように印欧語以外の言語に由来する単語もあるということから、言語の世界がいかに奥深いかが分かります。
また「スポンジ」と「きのこ」が同じ単語をルーツに持つというのは、昔の人のものの見方や命名の仕方を垣間見れるような気もして興味深いです。
今後もこのような発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。