英語"Reindeer"は、どんな鹿?

2021/12/20

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

早いもので年末になりました。

年末年始は多くのイベントがありますが、まずは今週末のクリスマスですね。

我が家では、当日はツリーの飾りつけをしてクリスマスケーキを食べる予定です。

クリスマスには、サンタクロースが「トナカイ」の曳くそりに乗って家々にプレゼントを届けにくるというのが広く知られた伝承だと思います。

ところで「トナカイ」は英語で"reindeer"と言います。

"deer"は「鹿」という意味なのでトナカイは"rein"の鹿だと言えるかもしれませんが、ではreinとはどんな意味があるのでしょうか。

今回は、"reindeer"について調べてみました。


"Reindeer"の語源とは?

Reindeerの語源について、まず英語版wiktionaryによると以下の情報が得られます。

from Old Norse hreindýri (“reindeer”), from hreinn + dýr (“animal”). Displaced native Old English hrān.

対訳:古ノルド語hreindyri「トナカイ」から、hreinn+dyr「動物」。古英語hranから置き換わった。

出典:en.wiktionary

古ノルド語の"hrein"と"dyr"「動物」の複合語、"hreindyri"がルーツだとあります。

この内"dyr"は現代英語"deer"のルーツということになるのですが、今では「鹿」を意味する"deer"が本来は「動物」全体を意味していたということになります。

そのあたりのお話はこちらの記事でまとめていますので、別途ご参照頂ければ幸いです。

では前半部分"rein-"(古ノルド"hreinn-")について、もう少し調べてみましょう。

今度はOnline etymology dictionaryを参照してみます。

from Proto-Germanic *khrinda- (source also of Old English hran "reindeer;" German Renn "reindeer," which was altered by folk etymology influence of rennen "to run;" and Swedish renko "female reindeer," with ko "cow" (n.)).

対訳:ゲルマン祖語*khrinda-から(古英語hran「トナカイ」や、ドイツ語Renn「トナカイ」(rennen「走る」の影響で民間語源により変化した形)、スウェーデン語renko「メスのトナカイ」(ko「雌牛」のついた形)も同じルーツ)。

出典:Online etymology dictionary

前半の"rein-"(古ノルド語"hreinn-")はゲルマン祖語"*khrinda-"が由来と思われますが、同じルーツから生まれた古英語"hran"自体に「トナカイ」の意味があったことが伺えます。

以上のことからWiktionaryの解説と合わせて判断すると、もともと「トナカイ」を意味していた古英語"hran"があり、その後古ノルド語から流入した"hreindyri"の影響で"reindeer"という単語が英語において「トナカイ」の意味に置き換わったということでしょう。


"Rein-"はトナカイの特徴を表していた?

さらに、Online etymology dictionaryはこの単語に関する言語学者の考察を取り上げてくれています。

Watkins has this from PIE *krei-, from root *ker- (1) "horn; head," with derivatives referring to horned animals

対訳:Watkins [訳者注:アメリカの言語学者]は、語根*ker- (1)「角、頭」に由来する印欧祖語*krei-がルーツであり、角のある動物を示す派生語だとしている。

出典:Online etymology dictionary

調べたところ、トナカイは鹿と同じシカ科に属する動物ながら他の鹿と違ってオスもメスも角を持つのだそうです(鹿は一般的にオスのみ角を持つ)。

以上のことから、古英語"hran"は「角」という原義から「トナカイ」という意味で用いられるようになったのかもしれません。

そして、置き換わった現代英語"reindeer"は、"rein-"「角」と"deer"「動物→(現代語で)鹿」の複合語で、「角のある動物、角のある鹿」が原義であると言えるでしょう。


"Reindeer"はどんな鹿?

ところで、トナカイは北欧やシベリア、北米などの寒冷地に生息しているそうです。

英語圏(当時のイングランド)でも珍しかったためか、トナカイが現地の人々に認識され始めた当時はその名前も様々に綴られていたそうです。

its name was spelled in various ways, such as: rain-deer, rained-deer, range-deer, and ranged-deer."

出典:Online etymology dictionary

せっかくなので、それぞれ訳してみましょう。

"Rain-deer" / "rained-deer"

"rain"は名詞「雨」、"rained"は動詞"rain"「雨が降る」の過去形もしくは過去分詞形であることから「雨が降った、雨に降られた」と訳せます。

すると、"rain-deer"は「雨の鹿」であり"rained-deer"は「雨が降った(雨に降られた)鹿」だということになります。

"Range-deer" / "ranged-deer"

"range"は名詞「範囲、広がり」、"ranged"は動詞"range"「並べる」の過去形もしくは過去分詞形であることから「並んだ」等と訳せます。

ということは"range-deer"で「範囲の鹿」、"ranged-deer"は「並んだ鹿」ということになるでしょうか。

"rain(ed)-deer"も"range(d)-deer"も音は"reindeer"に似ていますが、意味不明ですね。

この話はThe History of Signboards「看板の歴史」という書物で紹介されているそうですが、実際にロンドンで"the ranged deer"という看板を掲げた居酒屋があったそうです。

(出典:Online etymology dictionary


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、英語"reindeer"「トナカイ」について調べてみました。

シカ科の中でもオスとメスの両方に角が生えているのはトナカイのみだということから、その語源は彼らの特徴である「角」にあった(かもしれない)ということですね。

クリスマス関連でトナカイの姿を見ることが多い時期ですが、今後はその角に注目してみたいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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