ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ご存知の通りコロナウイルスの影響は依然続いており、最初の発見から既に2年が経ってしまいました。
コロナ禍の前後で多くの方が生活の変化を余儀なくされていると思いますが、私においては海外旅行の機会は無くなった他、外でお酒を飲む機会もほぼゼロになりました。
今回の記事では過去の海外旅行と現地での思い出を振り返りながら、外国語を学んでみたいと思います。
居酒屋で学ぶチェコ語
今回取り上げるのは中欧のチェコ共和国で用いられる言語・チェコ語です。
もうずいぶん前になりますが、プライベートと仕事で1回ずつ計2回チェコを訪れたことがあります。
いずれもスケジュールの都合で首都プラハとその近郊を訪れたのみだったのですが、美しい街並みや食事を楽しみました。
別の記事でも取り上げましたがチェコは1人当たりのビール消費量が世界で最も多い国です。安い値段で大容量ジョッキのビールを飲むことができます。
当時、プラハ市内の居酒屋を数件訪問しましたが店内ではメニューやコースターに書かれたチェコ語をいろいろ目にすることができます。
以下に実際のコースターの写真を紹介するとともに、そこに書かれたチェコ語を読んでみたいと思います。
Krušovice「クルショヴィツェ」
チェコの有名なビールの1つ、Krušovice「クルショヴィツェ」は同名の村にある醸造所で16世紀から製造されている伝統あるビールブランドです。
(参照:https://www.visitczechrepublic.com/ja-JP/)
このブランドが描かれたコースターのチェコ語をまずは読んでみましょう。
1.Naše Krušovická desítka vyhrála cenu PIVEX2014.
チェコ語は、英語と同じラテン文字を用いているとはいえ特定の文字の上に記号がついたり発音が英語と異なったりという特徴があります。
カタカナで表記すると[ナシェ・クルショヴィツカー・デシートカ・ヴィフラーラ・ツェヌ・ピヴェクス2014※]というようになります。
※2014:ドヴァ・チシーツェ・チトルナーツト
日本語にすると「私たちクルショヴィツェの10度のビールがPIVEX2014を受賞しました」となります。
この「10度」というのはアルコール度数ではなく、麦汁の中に含まれる砂糖の量で表されるようです。
度数が上がるほど砂糖の量も上がり、結果としてアルコール度数も高くビールの風味も強くなります(ほとんどのチェコのビールが10度か12度、アルコール分4~5%)。
(参照:https://www.eatingeurope.com/blog/czech-beer-facts/)
2.Král mezi světlými výčepními.
続いて裏面のチェコ語も読んでみましょう。
カタカナ表記すると[クラール・メジ・スヴィエトリーミ・ヴィーチェプニーミ]です。
この単語を日本語にしようとすると、少しビールに関する知識が必要になります。
最初の"Král"は「王様」を意味し、"mezi"は「~の中の」を表す前置詞(英"between"や"among"に相当)です。
そして"světlými"は「明るい」という意味の形容詞"světlý"が数や格に応じて変化した形(具体的には複数造格形)で最後の"výčepními"は名詞"výčepní"「タップ」が、やはり複数造格形に変化した形です。
以上をつなげて整理すると「明るいタップの中の王様」ですが、意味不明ですね。
後半2語"světlými výčepními"はビールに関する用語を知る必要があります。
まず"světlými"ですが、英語で"light
beer"と言われるようにビールに関してはアルコール度数の低い軽めのビールを指す用法です。
続いて"výčepními"「タップ」についてですが、ビールの入った樽につけられた蛇口を指します。
樽から直接ビールを注ぐわけですが、要するにドラフトビールのことを指します。
つまり、「ライトなドラフトビールの中の王様」という意味で、クルショヴィツェが1番だということを表しているということになります。
Pilsner Urquell「ピスルナー・ウルケル」
続いてはピスルナー・ウルケルというビールのご紹介です。
これはドイツ語での表記で、チェコ語では"Plzeňský
Prazdroj"[プルゼンスキー・プラズドロイ]と言います。
ピルスナーはビールの種類の1つで、日本で製造販売されている「アサヒスーパードライ」や「キリン一番搾り」等がピルスナーに当たります。
ところでピルスナーとは元々チェコの"Plzeň"「プルゼニ」、ドイツ語で"Pilsen"「ピルゼン」という都市の名前に由来します。
先ほどのクルショヴィツェもそうですが、ビールに対するチェコの影響力が伺えますね。
"Urquell"は「起源」という意味なので、このピルスナー・ウルケルがあらゆるピルスナービールの中の元祖ということになります。
3.Pravé bohatství se skrývá uvnitř.
こちらはカタカナ表記すると[プラヴェー・ボハツトヴィー・セ・スクリーヴァー・ウヴニトシュ]で、日本語では「本当の富はその中に隠されている」でしょうか。
「その中」とはピルスナー・ウルケルを指すのだと思います。元祖ピルスナーだからこそ謳える言葉だと言えそうです。
ちなみに"Pravé"が「本当の」に相当する形容詞ですが、この単語は他にも「右の」や「正しい」という意味も持ちます。
英語の"right"が「右の」と「正しい」という両方の意味を持つのと同じですね。
4.Dokonalé není třeba měnit.
最後はこちら。カタカナ表記すれば[ドコナレー・ネニー・トシェバ・ムニェニト]で、「完璧なものは変化する必要がない」という日本語訳になります。
「完璧なもの」とはもちろんピルスナー・ウルケルを指すのだと思いますが、こちらもやはり元祖ブランドとしての誇りが感じられますね。
ところで、"Dokonalé"は形容詞ですが上の文では修飾する名詞が見当たりません。
これは名詞"pivo"「ビール」が省略されているのだと思います。そのため本来は"Dokonalé pivo…"「完璧なビールは・・・」が完全な文と言えるでしょう。
というのも動詞"není"がbýt(英be動詞に相当)の三人称単数形現在の変化形であることから主語は単数形であることが分かります。
次に形容詞"Dokonalé"の語尾"-é"ですが、これは単数形の中性名詞を修飾するときの形です。
以上のことから省略されているのは単数形の中性名詞であり、コースターの描写から"pivo"(中性名詞の単数形)しかないと考えたわけです。
このようにチェコ語は文章を作るうえで必要な機能、すなわち名詞の性、数、格や動詞の人称、時制、法などが存在します。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はチェコビールとチェコ語についてまとめてみました。
旅先では存分に現地の言葉と触れることができますが、それらを読めたり意味が分かったりすると嬉しいものですよね。
海外旅行へ再び気軽に行けるようになった際には、現地でビール片手にチェコ語を学びに行きたいと思います。