ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
チョコレートといえば甘いお菓子の代表的存在ですが、以前から人気の高まっている高カカオチョコレートは苦味が強いのでお菓子というよりは仕事の合間の気分転換で食べています。
高カカオチョコレートが「苦い」のは砂糖やミルクなど量が少ないことや、原料カカオ豆の成分・テオブロミンに由来するのだそうです。
今回はそんな「苦い」という形容詞について、スペイン語やポルトガル語での表現を調べました。
ロマンス諸語で「苦い」を何と表現する?
まずは、「苦い」という形容詞を各言語では何と表現するか、ロマンス諸語の中で比較してみましょう。
イタリア語 amaro [アマーロ]
ルーマニア語 amar [アマール]
フランス語 amer [アメール]
スペイン語 amargo [アマルゴ]
ポルトガル語 amargo [アマルグ]
※発音のカナ表記は目安です(以下同様)。
どれも形や音が似ていることが分かります。
その直接のルーツはラテン語"amarus" [アマールス]「苦い」に由来します。
スペインやポルトガルでは、民衆の話し言葉であった俗ラテン語の"amaricus" [アマリクス]という形を受け継いでいますが、語源の点では同じです。
「苦い」から派生した色とは?
ところでスペイン語およびポルトガル語では、ラテン語"amarus"から派生したもう1つの形容詞があります。
当記事のタイトルでも疑問形で触れたように「色」に関する形容詞なのですが、一体何でしょうか?
スペイン語もしくはポルトガル語が分かる方であればご存知だと思いますが、それは「黄色」です。
「黄色」はスペイン語で"amarillo" [アマリーリョ]、ポルトガル語で"amarelo" [アマレール]と表現します。
どちらもラテン語"amarus"と関連が伺えますね。
「苦い」と「黄色」・・・2つの異なる意味の言葉にどのような関連があるのでしょうか。
googleに対して単語の意味や語源に関する検索結果を提供しているOxford Languageによると、"amarillo / amarelo"の語源が以下の通り紹介されています。
Voz patrimonial del latín amarellus ‘amarillento, pálido’, diminutivo de amarus ‘amargo’, probablemente aplicado a la palidez de los que padecían ictericia, por ser esta enfermedad un trastorno en la secreción de la bilis, líquido amargo y amarillento.
対訳:ラテン語"amarus"「苦い」の指小語である"amarellus"「黄色がかった、淡い」に由来する単語、恐らく苦くて黄色がかった液体である胆汁の分泌障害による黄疸に苦しむ人々の蒼白な肌から適用されました。
(参照:www.google.com/search?q=amarillo+etimologia)
胆汁というのは肝臓で分泌され、脂肪分を体内で消化・吸収しやすくする成分です。胆汁はビリルビンという黄色の色素を持ち、そのために胆汁は黄色がかって見えます。
また胆汁酸により苦味もあるそうです。
この苦味と色の関係から、"amarillo /
amarelo"が「黄色」という意味を持つようになったということですね。
【参考】ロマンス諸語の「黄色」表現
スペイン語、ポルトガル語以外のロマンス諸語では「黄色」を何と表現するでしょうか。参考までに調べてみました。
イタリア語 giallo [ヂャッロ]
ルーマニア語 galben [ガルベン]
フランス語 jaune [ジョン]
これらはラテン語"galbinus" [ガルビヌス]「黄色い」に由来します。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はスペイン語、ポルトガル語における「黄色」の表現について紹介しました。
古くから胆汁の持つ苦味と色が知られていたということでしょうね。ただ、同じロマンス諸語といえども地域によってその表現が異なるのは興味深いですね。
今後も学習の中でこのような発見があれば紹介していきたいと思います。