ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
先日、明治安田生命による「理想の上司ランキング」が発表されニュースにもなっていました。
働き方が問われるようになって久しいですが、上司と部下の関係もまた多くの社会人にとって関心の深い点だと思います。
ただこのブログは外国語学習を楽しむことを目的としているのでランキングについて触れることはしません。
その代わり、上司という意味の英語"Boss"について調べてみたいと思います。
英語"Boss"の意味とは?
まずは単語の意味を確認しておきましょう。
英辞郎on the webで、以下の意味が確認できます。
1.〔職場の〕上司、監督、社長、ボス
2.〔ペアや集団内の〕実権を握る[発言力がある]人
3.〔政党の〕実力者、大立て者
(出典:https://eow.alc.co.jp/search?q=boss)
いずれの意味においても何らかの実力や権限を有した人を指す言葉であることが分かります。
英語"Boss"の語源は親戚の人?
この単語の語源は何でしょうか?
英語版wiktionaryで調べてみると面白い説が見つかります。
From Dutch baas, from Middle Dutch baes (“master of a household, friend”), from Old Dutch *baso (“uncle, kinsman”), from Proto-Germanic *baswô, masculine form of Proto-Germanic *baswǭ (“father's sister, aunt, cousin”).
対訳:オランダ語baas、中期オランダ語baes「家の主人、友人」から、古オランダ語*baso「叔父、血縁者」、ゲルマン祖語*baswǭ「父親の姉妹、叔母、いとこ」の男性名詞形*baswôに由来。
(出典:https://en.wiktionary.org/wiki/boss#Etymology_1)
英語"boss"はオランダ語から流入した単語のようですね。
そしてその語源は、ゲルマン祖語(英語、オランダ語の他にドイツ語やデンマーク語、アイスランド語などの共通の祖先)に行き着くようですが、根本の意味は「叔父さん」を指す言葉だというのです。
Originally a term of respect used to address an older relative. Later, in New Amsterdam, it began to mean a person in charge who is not a master.
対訳:本来は年配の親戚に対する敬称でした。その後ニューアムステルダムでマスター(主人)ではない担当者を指すようになりました。
(出典:https://en.wiktionary.org/wiki/boss#Etymology_1)
ニューアムステルダムとは現在のニューヨークのことです。
"Boss"は、時代を経て叔父さんに限らず年配の親戚に対する敬称となり、アメリカで仕事上の用法が出来上がったようです。
自由な労働の象徴としての"Boss"
アメリカにおいて"Boss"が「上司」を意味する単語へと変化したとのことですが、その背景はアメリカの歴史に関連がありそうです。
The word's popularity in U.S. may reflect egalitarian avoidance of master (n.) as well as the need to distinguish slave from free labor.
対訳:アメリカにおけるこの単語の流行は平等主義者によるマスター(主人)という言葉の回避や、奴隷制と自由な労働を区別する必要性を反映しているのかもしれません。
(出典:Online
etymology dictionary)
ご存知の通りアメリカでも昔は奴隷制度が存在していました。
南北戦争を経て奴隷制の廃止や、その後も人民が自由を獲得していった歴史の中で奴隷に対する使用者の意味であったマスターが避けられていったのは当然のことなのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は「上司」という意味で用いられる英語"Boss"という単語について調べてみました。
人に歴史ありとはよく言いますが、単語においても語源を遡ってみるといろいろな歴史を持っているものだと実感します。
今後も外国語学習の合間に、こうした発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。