ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
外国語を学習していると同じ音で意味が異なる単語や、同じ綴りで意味が異なる(時には音も異なる)単語に出くわします。
前者は同音異義語と言い、例えば"ant「蟻」/
aunt"「おば」(音はどちらも[アント])など。
後者は同綴(てつ)異義語と言い、例えば"light" [ライト]は「明るい、灯り」という意味の他に「軽い」として使われる場合もあります。
また今回取り上げる"school"も同綴異義語の1つです。
"School"の「学校」以外の意味は?
今さら確かめるまでもない事ですが、"school"の意味は何でしょうか?
もちろん「学校」ですね。
もはや「スクール」というカナ表記でも日常的に用いられる基本単語です。
ところがこの単語は既に述べたように、他の意味も持つ同綴異義語です。
では、その他の意味とは何でしょうか?
答えは「魚の群れ」です。
英語で"a school of
fish"のように用いますが、その意味は童謡「メダカの学校」のような魚たちの学校ではありません。
また「群れ」と言っても魚類に限定される点に注意しましょう。
他の生物が成す群れは異なる単語で表現されます。
例えば、"flock" [フロック]「動物の群れ」や"herd" [ハード]「家畜の群れ」等です。
ちなみに、"herd"は牧羊犬の"Shepherd" [シェパード]の中にも綴りがあります。"She(e)p"「羊」の"herd"「群れ」を追うので"Shepherd"ということですね。
"School"の語源とは?
「学校」と「群れ」は用法としては異なるものの、集まるところ・集まりという点で考えると関連性がある気もします。
実際はどうなのでしょうか。ルーツを遡って調べてみました。
Online etymology dictionaryによると、「学校」と「群れ」では別のルーツに由来するようです。
1."School"「学校」の語源
Old English scol, from Latin schola "intermission of work, leisure for learning; learned conversation, debate; lecture; meeting place for teachers and students, place of instruction; disciples of a teacher, body of followers, sect," from Greek skhole "spare time, leisure, rest, ease; idleness; that in which leisure is employed; learned discussion;" also "a place for lectures, school;"
対訳:古英語scol、ラテン語schola「仕事の中断、学習のための余暇、学問的な会話、議論、講義、教師と学生の対面場所、指導の場、教師の弟子、信徒の集団、宗派」から、ギリシャ語skhole「暇な時間、余暇、休息、安らぎ、怠惰、余暇が取り入れられているもの、学問的な議論」または「講義の場、学校」
(出典:Online
etymology dictionary)
ルーツとしては、ギリシャ語に端を発しラテン語を通じ英語に流入したことが分かります。
"School"「学校」の語源がギリシャ語の「余暇」からだというのはご存知の方も多いかもしれません。
私は、中学生の頃に英語の授業で聞いた記憶があります。
本来の意味「余暇」の過ごし方として古代アテネやローマで好まれた過ごし方が議論であり、転じて「議論の場」→「学校」となったそうです。
2."School"「魚の群れ」の語源
from Middle Dutch schole (Dutch school) "group of fish or other animals," cognate with Old English scolu "band, troop, crowd of fish," from West Germanic *skulo-(中略), perhaps with a literal sense of "division," from PIE root *skel- (1) "to cut."
対訳:中期オランダ語schole(現代オランダ語school)「魚または動物の群れ」から、古英語scolu「集団、軍隊、魚の群れ」に関連、西ゲルマン語*skulo-に由来(中略)、恐らく文字通りには「分割」の意味で、印欧祖語の語根*skel- (1)「切る」から。
(出典:Online
etymology dictionary)
一方で「魚の群れ」を意味する"school"はゲルマン系の言語からオランダ語を通じて英語に入ったようです。
またそのルーツは印欧祖語で「分割」の意味から派生したとされています。
分割してできた集団で「群れ」になったということかもしれません。
まとめ
"School"について①「学校」と②「魚の群れ」の意味の違いを語源で分けると、以下のようになります。
①ギリシャ語→ラテン語→古英語"scol"、ギリシャ語本来の意味は「余暇」。
②西ゲルマン語→オランダ語→古英語"scolu"、語源的な意味は「分割」。
ルーツも本来の意味も異なっていることが分かりました。
また、古英語の時代には微妙に綴りも異なっていたようです。
英語の発展とともに混同されたのか、現代に至るまでに同じ綴りに集約された結果、同綴異義語になったと考えられます。
辞書を引くと英語、オランダ語の他に同じくゲルマン系のドイツ語"Schule" [シューレ]も「学校」と「魚の群れ」という両方の意味が見つかります。
対して、ゲルマン系以外の言語(イタリア語"scuola"やフランス語"ecole"など)ではギリシャ語由来の①の意味しか持っていませんでした。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"school"について調べてみました。
「学校」と「魚の群れ」・・・何となく意味の関連があるように思われましたが、ルーツを遡ると語源的な意味も異なることがわかりました。
"School"という単語は「学校」という意味で使われる機会が圧倒的に多いとは思いますが、意味を誤って解釈することのないよう同綴異義語には注意したいですね。