英語"fee"「料金」の語源はあの動物から?

2022/04/06

英語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

普段使っている単語も、その語源を調べてみると意外な原義を持っていることがあります。

今回は英単語"fee"について、その語源を紹介したいと思います。


英単語"fee"の意味とは?

まずはこの単語の意味を確認してみましょう。

1.a(弁護士・医師などの専門職へ払う)謝礼()、報酬

  b [しばしば複数形で]授業料、会費

  手数料、入場料、入会金

2.【法律、法学】世襲地、相続財産《特に不動産》

(参照:ejje.weblio.jp/content/fee

ちなみに1.の用法では可算名詞ですが、2.の場合は不可算名詞であることに注意しましょう。

日常的には"admission fee"や"entrance fee"「入場料」などで使われているのを見たことがあるのではないでしょうか。


英単語"fee"の語源とは?

では今度はこの単語の語源を調べてみましょう。

Middle English, representing the merger or mutual influence of two words, one from Old English, one from an Old French form of the same Germanic word, and both ultimately from a PIE root meaning "cattle."

対訳:中英語期、2つの単語の統合もしくは相互に影響し合った形。1つは古英語から。もう1つは(古英語と)同じゲルマン語由来の古フランス語形から。そして両方ともそのルーツは印欧祖語の語根「牛」から。

(出典:Online etymology dictionary

なんと、"fee"「料金」のルーツは「牛」にあるというのです。

引き続き現代英語"fee"に至るまでの歴史を遡ってみましょう。

上の引用によると、①ゲルマン語→古英語→現代英語というルーツと②ゲルマン語→古フランス語→現代英語というルーツの2つが影響し合っているようです。

まずは、①のルーツを見てみます。

1.古英語のルーツ

The Old English word is feoh "livestock, cattle; movable property; possessions in livestock, goods, or money; riches, treasure, wealth; money as a medium of exchange or payment,"

対訳:古英語feoh「家畜、牛、動産、家畜・商品またはお金の所有物、富、財産、交換・支払手段としてのお金」

from Proto-Germanic *fehu (source also of Old Saxon fehu, Old High German fihu, German Vieh "cattle," Gothic faihu "money, fortune"). This is from PIE *peku- "cattle"

対訳:ゲルマン祖語*fehuから(古ザクセン語fehu、古高ドイツ語fihu、ドイツ語Vieh「牛」、ゴート語faihu「お金、幸運」)、由来は印欧祖語*peku-「牛」。

(出典:Online etymology dictionary

最初の引用の通り、ルーツは「牛」とあります。

すでに古英語時代には「家畜、牛」という意味に加え、「財産」の意味もあったようです。

ヨーロッパは現代でも酪農の有名な地域が多いですが、乳製品を生み出す「牛」は所有者の財産として重要な存在であったのでしょう。

続いて②古フランス語経由のルーツです。

2.古フランス語のルーツ


The other word is Anglo-French fee, from Old French fieu, a variant of fief "possession, holding, domain; feudal duties, payment" (see fief), which apparently is a Germanic compound in which the first element is cognate with Old English feoh.

対訳:アングロ・フランス語feefief「所有物、所持品、領地、封建的義務、支払」(fiefを参照)の変化形である古フランス語fieuから。明らかにゲルマン語の派生であり最初の要素が古英語feohと関連している。

(出典:Online etymology dictionary

古フランス語の方は「牛」という意味は引き継がれていないようですね。

その代わり意味の1つとなっている"feudal duties"「封建的義務」という点に、財産としての「牛」が見え隠れしているように思われます。

ヨーロッパにおける「封建的義務」とは、領主に土地を守ってもらう代わりに臣下は中性を誓うという契約を指すものと思われます。

土地は不動産に分類されますが、所有者にとって財産である点は動産の「牛」と変わらないでしょう。

以上のように現代英語"fee"の原義は「牛」にあったことが分かりました。

当時のヨーロッパの封建制度や、「牛」に対する価値観が財産、所有物という意味を経て、差し出すもの・支払うものという意味で現代英語"fee"につながっていったのではないでしょうか。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は英語"fee"の語源を調べてみました。

その語源は意外にも「牛」であることが分かりましたが、ヨーロッパの歴史的背景や地域性を考えれば納得できるでしょうか。

現代英語では「牛」の意味は一切なくなっていますが、自分の財産から「料金」を支払うことで入会・入場できたり何かを得ることができたりするという点で、根本的な考え方は変わっていないのかもしれませんね。

ちなみに「牛」に由来する単語は他にも例があります。やはりヨーロッパでは古くから「牛」との関係の深さがわかります。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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