イタリア語でサッカーはなぜ「カルチョ」と言う?

2022/06/16

イタリア語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

今年、2022年は4年に1度のサッカーワールドカップ開催年ですね。開催国はカタールで、大会22回目にして初めての中東開催とのことです。

日本はアジア地区の最終予選を戦い抜き、ワールドカップ本大会への出場が決定しています。現時点で日本代表の大会初戦は現地時間112316時(日本時間で同日22時)から、グループリーグE組でドイツ代表との対戦となっています。

ドイツ代表は過去21回の大会中、出場回数19回と優勝回数4回という実績(西ドイツ時代を含む)を誇り、言わずと知れたサッカー強豪国ですね。

また同じグループE組には強豪スペインも入っており、こうした強豪国との対戦が見られるのがワールドカップならではですね。

一方でイタリア代表はワールドカップの出場を逃してしまいました。前回2018年の大会に続き2大会連続で出場を逃すという事態は、同国にとって史上初とのことです。

限られた出場枠をどこの代表が勝ち取ることができるのか、というのもまたワールドカップならではと言えます。

ところで、イタリア語でサッカーのことを"calcio" [カルチョ]と言いますが、他のヨーロッパの言語と比較してみると独特の表現であるように思われます。

そこで今回はイタリア語"calcio"について調べてみたいと思います。


そもそも「サッカー」の語源とは?

本題の前に、そもそも「サッカー」の語源について調べてみました。

英語"soccer"が日本語に入り、「サッカー」として日常使いで定着しています。

その由来はOnline etymology dictionaryによると以下の通り解説されています。

originally university slang (with jocular formation -er (3)), from a shortened form of Assoc., abbreviation of association in Football Association

対訳:元は大学生のスラング(おどけた表現にする接尾辞-erを伴って)、Football Associationからassociationを略したAssoc.の短縮形から。

(出典:Online etymology dictionary

大学生のスラングとあるように、若者の間から新たな言葉が生まれていくのは古今東西問わず同じなのかもしれませんね。

ただイギリスでは"soccer"よりも"football"の方が一般的なようです。他のヨーロッパの言語でも"football"に由来、借用した表現が用いられています。


各国語で「サッカー」を何と言う?

では、他のヨーロッパの言語における「サッカー」の表現を見てみましょう。

 ドイツ語  Fußball [フースバル]

 フランス語 football [フトボル]

 スペイン語 fútbol [フトボル]

上に挙げた3つの言語では、いずれも英語"football"の影響が伺えます。

ドイツ語は英語と同じゲルマン系の言語ということで、英"foot"に相当する"Fuß"、英"ball"に相当する"ball"(つづりは同じで発音のみ異なる)とそれぞれ置き換えた形です。

ラテン系の言語の場合、フランス語のようにつづりはそのまま借用し発音をフランス語風に変えたパターンと、スペイン語のようにつづりも発音も変えてしまうパターンとあるようです。

そんな中でイタリア語の"calcio"という単語は、"football"との関連が無い特別な例と言えます。


イタリア語"calcio"の意味や語源とは?

ではイタリア語"calcio"について調べてみることにしましょう。

伊和中辞典2版の解説によると"calcio"の意味は以下の通りです。

 1.蹴ること

 2.サッカー、フットボール

(参照:kotobank.jp/itjaword/calcio

最初の意味は「蹴ること」とあり、そこからサッカーという意味に発展したものと考えられます。

また英語版wiktionaryによれば"calcio"はラテン語"calx" [カルクス]にルーツがるようです。

ラテン語"calx"の意味は以下の通りです。

 1.(足の)かかと

(参照:en.wiktionary.org/wiki/calx#Latin

他に同じルーツを持つ言語に、スペイン語の"coz" [コス]やポルトガル語"coice" [コイシ]も見つかりました。

意味はどちらも「蹴ること」でイタリア語と同じですが、「サッカー」という意味は持っておりません。

更に調べてみると、16世紀のイタリアにおいてカルチョ・フィオレンティノ(フィレンツェのカルチョ)というフットボールの一種が存在していたことそうです。

現代のサッカーはルールなどに関して英国起源だとは思いますが、似たような遊びがイタリアにもあったことから、現代でもイタリア語では"calcio"という単語をサッカーに当てているのでしょう。


サッカー以外の"calcio"の意味

ところで、イタリア語で"calcio"という単語は上に挙げた「蹴ること」や「サッカー」以外で使われることがあります。

その意味は「カルシウム」です。

「カルシウム」を意味する"calcio"もルーツはラテン語にあり、"calx"から派生した"calcium"に由来しています。

ただし、こちらの由来になったラテン語"calx"は「かかと」という意味の方では無く「石灰」という意味を持つ同義語です。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はイタリア語でサッカーを表す"calcio" [カルチョ]について調べてみました。他の言語におけるサッカーの表現とは異なる単語でしたが、その背景には中世のイタリアにおける似たような遊びが関係していたのですね。

今年のワールドカップでイタリア代表の"calcio"を見ることができないのは残念ですが、歴史も実績もある強豪として今後の復活に期待したいと思います!

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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