ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
日本語に限らず外来語はどの言語でも取り入れられ、日常的に用いられています。
歴史を遡れば江戸時代の日本は鎖国政策が取られていたこともあり、当時はオランダ語やポルトガル語が外来語の代表だったと言えるでしょう。
そして、現代では英語の影響力が大きいと思います。
ところで外来語の中には借用元の意味からはかけ離れてしまった単語というのがあります。
例えば医療関係の外来語「カルテ」はドイツ語"Karte"[カルテ]から取られましたが、本来の意味は「カード、トランプ」ですので現地では通じません。
こうした例は他にもあります。今回は、英語"magazine"の例を紹介します。
英語"magazine"「雑誌」以外の意味とは?
今回取り上げる単語"magazine"は日本語にも取り入れられ「マガジン」として用いられます。
意味は調べるまでも無く「雑誌」が思い浮かぶと思います。
しかし、実は"magazine"の意味は「雑誌」に限りません。辞書を引いてみると、他にも意味があることが分かります。
1.雑誌
2.(日刊新聞の)日曜版
3.(軍艦などの)弾薬庫、軍需品倉庫
4.(連発銃の)弾倉、(一般に)倉庫、貯蔵庫
(参照:kotobank.jp/ejword/magazine)
我々がイメージする「雑誌」ではない意味には「弾薬庫」や「弾倉」など、穏やかではない言葉が並びます。
なぜ「雑誌」と「弾薬庫」という全く別の意味が存在しているのでしょうか。
英語"magazine"の語源とは?
その意味について語源を遡って調べてみましょう。
from French magasin "warehouse, depot, store" (15c.), from Italian magazzino, from Arabic makhazin, plural of makhzan "storehouse" (source of Spanish almacén "warehouse, magazine"),
対訳:フランス語magasin「倉庫、デポ、お店」(15世紀)やイタリア語magazzinoから、アラビア語makhazin(複数形:makhzan)「倉庫」に由来する(スペイン語almacén「倉庫、貯蔵庫」のルーツ)。
(出典:Online
etymology dictionary)
語源を遡ると、英語"magazine"もルーツはアラビア語から取り入れた外来語であることが分かります。
またアラビア語"makhazin"の本来の意味は「倉庫」とあり、借用したフランス語"magasin"やイタリア語"magazzino"、スペイン語"almacén"※も「倉庫、お店」を指しているので、英語だけ主な意味が転じたと言えそうです。
※余談ですが、スペイン語で語頭"al-"はアラビア語の定冠詞"al"に由来します。スペインは歴史的にイスラム世界(アラビア語圏)との接触が多かったことから定冠詞も込みで借用したのでしょうか。
また以下の通り、英語においても初期は「倉庫、武器庫」という意味で取り入れられていたようです。
1580s, "warehouse, place for storing goods, especially military ammunition,"
対訳:1580年代、「倉庫、製品(特に武器弾薬の)保管場所」
(出典:Online
etymology dictionary)
英語"magazine"が「雑誌」を意味するようになった訳とは?
では現代英語で「雑誌」の用法はどのように発生したのでしょうか。
The meaning "periodical journal containing miscellaneous writings" dates from the publication of the first one, Gentleman's Magazine, in 1731,
対訳:「雑多な記事の定期刊行物」という意味は、1731年にGentleman’s Magazineという出版物で初めて使われたことに由来します。
(出典:Online
etymology dictionary)
この"Gentleman’s Magazine"はロンドンで創刊され、何と1922年までの約200年間に渡って発行されていたそうです。
英語版wikipediaでは1731年1月版や1759年5月版の画像を見ることができます。
(参照:en.wikipedia.org/wiki/The_Gentleman%27s_Magazine)
どうやら、様々な情報が収められている点が「雑誌」の用法に繋がっていったようです。
which was so called from earlier use of the word for printed lists of military stores and information, or in a figurative sense, from the publication being a "storehouse" of information.
対訳:(「雑誌」の意味は)軍事関連の店や情報を印刷したリストという意味の初期の用法や、比喩的に出版物を情報の「貯蔵庫」とする用法から取られました。
(出典:Online
etymology dictionary)
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語magazineという単語について調べてみました。
英語では「雑誌」という意味が主になり日本語「マガジン」にも取り入れられていますが、その本来の意味は「倉庫」という意味だったということが分かりました。
一見すると「倉庫」→「雑誌」は関連しないように思われますが、そんな時もやはり語源を知れば新たな発見が得られますね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで取り上げていきたいと思います。