ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
雨の多いこの時期にはタイトルにある通り「小さな影」が手放せません。
突然「小さな影」と言われても意味が分からないと思いますが、これは「傘」のことです。
どういうことでしょうか?
今回は英語"umbrella"「傘」について考えてみたいと思います。
英語"umbrella"の意味、語源とは?
まずは"umbrella" [アンブレラ]の意味を確認してみたいと思います。
1.傘(こうもり傘・雨傘・日傘など)
2.(クラゲの)かさ
3.(傘状の)保護物
4.保護するもの、保護
5.包括するもの(組織、概念など)
(参照:kotobank.jp/ejword/umbrella)
私たちが日常使う「傘」の他に、傘のように「保護するもの」や「覆うもの」という意味もあることが分かります。
実はこの"umbrella"は、その語源を尋ねると「小さな影」が本来の姿であることが分かります。
Borrowed from Italian ombrella, umbrella (“parasol, sunshade”), dim. of ombra (“shade”) (中略), from Latin umbra (“shadow”).
対訳:イタリア語ombrella、umbrella「パラソル、日よけ」からの借用語、ラテン語umbra「影」に由来するombra「陰」の指小形。
(出典:en.wiktionary)
"umbrella"の語尾"-(l)la"は指小辞と言われる接尾辞です。
この指小辞がつくと元の単語を小型化させ、「小さい○○」というイメージを与えます。
今回の場合、元の単語"ombra"「陰」に指小辞がついた"ombrella (umbrella)"は「小さな陰」と言うことができる、というわけです。
なぜ「小さな陰」が傘なのか?
とはいえ、傘の語源がなぜ「小さな傘」なのでしょうか?
実は語源を調べた当初、私にはそのイメージがよく分かりませんでした。
その理由は「傘」と言えば雨の時に指すもの、要するに「雨傘」のイメージが私には強かったからです。
Wiktionaryの解説にある通り、"umbrella"の本来の意味は「パラソル、日よけ」とありました。
つまり、日差しの下で広げた傘によってできた「陰」が"umbrella"のルーツであるということです。日本語で言えば「日傘」ですね。
本来は「日よけ」を意味していた"umbrella"は英語では発展して「雨傘」も意味するようになったと考えることができます。
フランス語"ombrelle"が指すのは「日傘」だけ?
ところが場所が変わってフランス語では、「日傘」と「雨傘」は別の単語として区別されます。
フランス語にもイタリア語から借用した"ombrelle" [オンブレル]という単語がありますが、その意味は「日傘、パラソル」であり「雨傘」は指しません。
「雨傘」の場合は"parapluie" [パラプリュイ]と表現します。
この単語は接頭辞"para-"と名詞"pluie"の複合語です。
接頭辞"para-"は「~を防ぐ」という意味であり、名詞"pluie"が「雨」を意味します。つまり、"parapluie"で雨を防ぐもの=雨傘と表現するわけです。
アカデミー・フランセーズによると、"parapluie"は17世紀であるのに対して"ombrelle"の方は13世紀から記録があるようです。
(参照:dictionnaire-academie.fr)
もしかしたら昔は「傘」と言えば「日よけ」の用途のみであり、後の時代になって「雨傘」が生まれた時にフランス語では"ombrelle"とは別に"parapluie"という単語を生み出したのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"umbrella"について考えてみました。
その語源は「小さな陰」ということで本来の意味は「日よけ」のみであったのが、時代と共に「雨傘」にも広がったのかもしれませんね。
また、同じ単語から借用していても今回の英語とフランス語のように用法に違いがあったりと新たな発見もありました。
今後も学習の中で興味深い発見があれば、記事にまとめていきたいと思います。
「小さな○○」が由来の意外な単語の例は他にもあります。