たんぽぽは「ライオンの葉」?「おねしょ」?

2022/07/11

単語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

外国語学習時における気分転換としておすすめなのが、別の言語を少し覗いてみるというものです。

ある単語が別の言語ではどのように表現されるのか似ている言語もあれば全く異なる言語もあるかもしれません。

例えばGoogle翻訳をつかえば、翻訳先の言語を入れ替えるだけでいろんな単語の各国語での表現を垣間見ることができます。

今回はGoogle翻訳で見つけた「たんぽぽ」の各国語での表現についてまとめました。


「たんぽぽ」を英語で何と言う?

まずは英語で「たんぽぽ」のことを何と言うでしょうか?

これはご存知の方も多いと思いますが、"dandelion" [ダンディライオン]ですね。

また"dandelion"の語源も有名かもしれません。

ルーツはラテン語にあり、フランス語を通じて英語に取り入れられた単語ですが、本来の意味は「ライオンの歯」から来ています。

from Old French dent de lion, literally "lion's tooth" (from its toothed leaves), a translation of Medieval Latin dens leonis. From Latin dens (genitive dentis) "tooth," from PIE root *dent- "tooth" + leonis, genitive of leo "lion"

対訳:古フランス語dent de lionから、原義は「ライオンの葉(歯のような形の葉から)」であり、中世ラテン語dens leoisの翻訳。印欧祖語の語根*dent-に由来するラテン語dens(属格形dentis)「歯」とleo「ライオン」の属格形leonisから。

(出典:Online etymology dictionary

たんぽぽのギザギザとした「葉」の形に着目したのが由来とのことですが、何故ライオンの歯を例えたのか不思議ですね。


他の言語で「たんぽぽ」を何と言うか?

たんぽぽを「ライオンの歯」と表現しているのは英語に限りません。

調べたところ、少なくとも以下の言語でたんぽぽを「ライオンの歯」と呼んでいることが分かります。

 ドイツ語   Löwenzahn [レーヴェンツァーン]

 イタリア語  dente di leone [デンテ・ディ・レオーネ]

 スペイン語  diente de león [ディエンテ・デ・レオン]

 ポルトガル語 dente-de-leão [デント・デ・レオン]

ドイツ語は前半の"Löwen"が「ライオン」、後半の"zahn"が「歯」という意味です。

イタリア語以下、ラテン系の言語は形がよく似ていますね。

前半"dente"もしくは"diente"が「歯」を意味し、前置詞"de"「~の」を挟んで後半の"leone"等が「ライオン」を意味します。

上の語源で触れたフランス語も、やはりラテン系言語なので似ています。

ところが現代フランス語では一部地域を除いて"dent de lion"とは言わないようです。


フランス語のたんぽぽは「おねしょ」?

ではフランス語ではたんぽぽを何と表現するのでしょうか?

調べてみると、"pissenlit" [ピサンリ]であることが分かります。

"pissenlit"は、もともと"pisse en lit"という3つの単語で成り立っています。

それぞれの意味は以下の通りです。

 pisse [ピス]・・・名詞「おしっこ」

 en [アン]・・・前置詞「~(場所)で」

 lit []・・・名詞「ベッド」

3つをつなげると、「ベッドでのおしっこ」となり要するに「おねしょ」であると言えます。

なぜたんぽぽが「おねしょ」という残念な名前になってしまったのか?

その理由はたんぽぽの葉や根が関係しているようです。

Other names refer to its diuretic qualities

対訳:他の名前には利尿作用に因んでいます。

(出典:Online etymology dictionary

たんぽぽの葉や根は海外(北米など)でも伝統的に使用されてきたそうで、利尿効果の他に関せ症や消化器症状などのさまざまな症状・疾患に良いとされているようです(参照:nccih.nih.gov/health/dandelion)。

アカデミー・フランセーズでは初版(1694年)から"pissenlit"が「たんぽぽ」を指す語として挙げられているので、こちらも古くからある表現と言えます。


他にもまだある!?たんぽぽの表現

たんぽぽは英語"dandelion"「ライオンの歯」やフランス語"pissenlit"「おねしょ」の他にも、様々な表現で呼ばれています。

以下に、その由来も含めて紹介します。

1.オランダ語"paardenbloem"

オランダ語でたんぽぽを"paardenbloem" [パールデンブルーム]と呼ぶそうです。

"paard(en)"が「馬」、"bloem"が「花」という意味ですが何故「馬の花」なのでしょうか?

De betekenis is vermoedelijk nutteloze of waardeloze bloem. (中略) Waarom het woord 'paard' deze betekenis kan hebben is onduidelijk.

対訳:意味は恐らく役に立たない、または価値の無い花です。(中略)paard「馬」がなぜそのような意味を持つのかは分かっていません。

(参照:nl.wikipedia

利尿作用などの効果が認めらている一方で、オランダ語では「役に立たない」「価値の無い」と散々な言われ様ですね。

ですが、なぜそれが"paard"「馬」で表現されているのかは不明なようです。「馬」にしてもいい迷惑ですね。

2.スウェーデン語"maskros"

北欧スウェーデンではたんぽぽを"maskros" [マスクルース]と表現します。

その由来は何でしょう?

it is called maskros (worm rose) after the small insects (thrips) usually present in the flowers.

対訳:maskros「イモムシのバラ」は小さな虫(アザミウマ)がたいてい花の中に存在していることに因んでいます。

(参照:en.wikipedia

"mask"「イモムシ」の"ros"「バラ」で、"maskros"「たんぽぽ」になるということでした。

ちなみに"maskros"で検索を掛けるとIKEAのペンダントランプがヒットします。

たんぽぽの綿毛のような形のランプですが、スウェーデン語の"maskros"「たんぽぽ」が命名の由来だったというわけですね。

3.フィンランド語"voikukka"

スウェーデンの東隣り、フィンランド語では"voikukka" [ヴォイクッカ]だそうです。

その由来は?

the names translate as butter flower, due to the color of the flower.

対訳:その名は「バターの花」で、花の色に因みます。

(参照:en.wikipedia

"voi"が「バター」を、"kukka"が「花」を意味しています。これまで取り上げた他の言語と違って初めてたんぽぽの花の部分に着目した命名と言えます。

4.デンマーク語"mælkebøtte"

デンマーク語では"mælkebøtte" [メルケボテ]または"fandens mælkebøtte" [ファネンス・メルケボテ]と表現するそうです。

その由来は?

The Danish name mælkebøtte (sometimes fandens mælkebøtte) means "milk bin" ("the devils milk bin") and also refers to the milky latex (and its ability to spread).

対訳:意味は「ミルクの瓶」(または「悪魔のミルク瓶」)ですが乳白色の液(およびその広がりやすさ)に因んでいます。

(参照:en.wiktionary

たんぽぽの茎や葉を切ると断面から乳白色の液が出ます。それは粘性のある液で虫など外敵の口をふさいで食べられないようにするためだそうです。

その液に着目したというわけですね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はたんぽぽの表現をいろいろな言語で調べてみました。

たんぽぽは日本でもよく知られた植物ですが海外でも広く自生している植物です。言語が異なれば、異なる面に着目して命名している例として比べてみると面白いですね。

今後もいろいろな言語で比較して面白い例があれば当ブログで紹介したいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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