ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語は、単語の発音とつづりの乖離が大きい言語です。いわゆるローマ字読みでは通用しないので、注意しなければ発音やつづりを間違えてしまいかねません。
ところが、時代をさかのぼるとその昔にスペルミスで生まれた単語というのも存在します。
今回はスペルミスにより生まれた英単語"apron"について調べました。
英語"apron"のルーツとは?
英語"apron"「エプロン」は日本語にもすっかり取り入れられた外来語ですね。
日本語固有の表現としては「前掛け」が相当するでしょうか。
この英単語"apron"ですが、実は元になった単語は古フランス語の"naperon"でした。
Online
etymology dictionaryの解説から、ルーツを辿ってみます。
faulty separation of a napron (c. 1300), from Old French naperon "small table-cloth," diminutive of nappe "cloth,"
対訳:a napronの誤分割(1300年頃)、古フランス語nappe「布」の指小形であるnaperon「小さなテーブルクロス」から、
(出典:Online
etymology dictionary)
英語は歴史的にフランス語からの語彙流入が多いですが、"apron"もやはりフランス語からの流入でした。
ただ"naperon"が本来の形であったのが、英語の不定冠詞"a napron"の区切りを"an apron"と間違えてしまった為に生まれたのが現代英語"apron"なのです。
古フランス語"naperon"の語源は"mappa"?
"apron"のルーツとなった古フランス語は"naperon"ということでした。
ここで古フランス語"naperon"のルーツをさらにさかのぼると、また新たな発見があります。
from Old French naperon "small table-cloth," diminutive of nappe "cloth," from Latin mappa "napkin."
対訳:a napronの誤分割(1300年頃)、古フランス語nappe「布」の指小形であるnaperon「小さなテーブルクロス」、ラテン語mappa「ナプキン」から。
(出典:Online
etymology dictionary)
古フランス語"naperon"は、"nappe"の指小形(元の語に「小さい」等の意味が付加された形)であり、そのルーツはラテン語"mappa"だとあります。
元のラテン語が"m-"で始まるのに、古フランス語では"n-"と子音が変化していますね。
これもスペルミスによるものなのでしょうか?
The shift of Latin -m- to -n- was a tendency in Old French
対訳:ラテン語のmからnへの変化は、古フランス語における傾向である。
(出典:Online
etymology dictionary)
残念ながら(?)、子音"m-"から"n-"の変化はスペルミスでは無く、古フランス語の言語的特徴だったようですね。
とはいえ現代のつづりから考えると、英語"apron"はスペルミスによる"naperon"からの変化と古フランス語における子音"m-"から"n-"の変化という2段階の変化を経ているということになります。
原形のラテン語"mappa"と"apron"の比較からは関係性が見えてきませんが、ルーツをたどると実は繋がっているというのは面白いですね。
スペルミスが起きなかった英語"napkin"
英語"apron"は不定冠詞の区切りを間違えた為に誕生しましたが、その一方でスペルミスの影響を受けなかった単語もあります。
それが英語"napkin"「ナプキン」です。
"napkin"のルーツはOnline etymology dictionaryによると以下の通りとされています。
nape "a tablecloth" + Middle English -kin "little."
対訳:nape「テーブルクロス」+中英語-kin「小さな」
(出典:Online
etymology dictionary)
"nape"の部分は古フランス語"naperon"の前半部"nape-"と同じです。
この"naperon"は、"nape"の指小形ということでした。
一方、"napkin"は"nape"に"-kin"という接尾辞がついた指小形です。
つまり、"apron(naperon)"も"napkin"も構造は同じであり、指小形がフランス語風か英語風かという違いに落ち着きます。
"apron"「エプロン」と"napkin"「ナプキン」では用途が異なりますが、ルーツや指小形という構造の点で同じであったということですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"apron"「エプロン」のルーツを探り、また同語源の単語"napkin"「ナプキン」について調べました。
スペルミスや子音の変化など、言葉の進化というのは面白いですね。
今後も新たな発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。