ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
言葉の世界は奥が深いので、ちょっとした間違いはつきものです。
先日は英語"apron"「エプロン」がスペルミスにより生まれた単語である事例を取り上げましたが、まだまだ勘違いにより生まれた英単語がありましたので今回の記事で紹介したいと思います。
勘違い1.ニックネーム
親しい間柄で呼び掛けに使われる「ニックネーム」。
日本語で「愛称」や「あだ名」とも言いますね。
英語では"nickname"とつづりますが、実はこの単語も勘違いで生まれた英単語です。
mid-15c., neke name, a misdivision of ekename (c. 1300), an eke name, "a familiar or diminutive name," especially one given in derision or reproach,
対訳:15世紀頃のneke name、ekenameの誤分綴(1300年頃)、an eke nameは「通称または愛称」の意、特に嘲笑や非難が込められたもの
(出典:Online
etymology dictionary)
古くは、"neke name"のように2単語でつづられていたようです。
そして更にさかのぼってみれば"eke name"が本来の表現だったことが分かります。
母音で始まる単語に不定冠詞aが付くときは発音の都合でanになりますが、不定冠詞をつけた"an eke name"を勘違いで"a
neke name"としてしまったことが"nickname"の由来だったのです。
では、本来の形"eke name"における"eke"とは何のことでしょうか?
literally "an additional name," from Old English eaca "an increase," related to eacian "to increase"
対訳:原義は「追加の名前」、古英語eacian「増える」に関連するeaca「増加」から
(出典:Online
etymology dictionary)
辞書によれば"eke"は古風な単語で現代では用いられないものの、「伸ばす、補う」という意味がありました。
本名に追加された「通称、愛称」であることから、"eke
name"「追加の名前」と表現されたということですね。
ちなみに"nickname"の"Nick"という部分は偶然にも、それ自体が"nickname"です。
masc. proper name, familiar form of Nicholas.
対訳:男性の固有名詞、Nicholasの通称形。
(出典:Online
etymology dictionary)
勘違い2.シラバス
日本では主に大学で使われる用語に「シラバス」という単語があります。
「シラバス」とは各講義の内容やスケジュール、成績評価の方法などがまとめられているもので、私が大学生の頃は分厚い冊子で配布されていました。
英語では"syllabus"とつづります。
当時から「シラバス」というカタカナ語を当たり前のように使っていましたが、改めて意味を調べてみました。
[名]
1(講演・講義などの)概要、摘要、要旨、教授細目、時間割
2《法律》判決の要旨;(特に法学生用の)判例要旨
(参照:kotobank.jp/ejword/syllabus「プログレッシブ英和中辞典(第4版)の解説」より)
では、英語"syllabus"「シラバス」のどこに勘違いがあったのでしょうか。
Online
etymology dictionaryによると以下の説が紹介されています。
ultimately a misreading of Greek sittybos "parchment label, table of contents," of unknown origin. The misprint appeared in a 15c. edition of Cicero's "Ad Atticum"
対訳:突き詰めていくと、ギリシャ語で起源不詳の単語sittybos「羊皮紙ラベル、内容一覧表」の読み間違いから。ミスプリントはキケロの"Ad Atticum"※15世紀版で見られた。
※訳者注:ローマ時代の政治家、演説家・キケロが親友・アッティクスに宛てた書簡(手紙)資料のコレクション。
(出典:Online
etymology dictionary)
"syllabus"「シラバス」は、読み間違いが由来だったということですね。出版物のミスプリントにより、更に世間に広まっていったということかと思われます。
ルーツはギリシャ語の単語ということですが、ギリシャ語由来の単語には接頭辞"syl-"を持つ単語がいくつか存在します。
例えば、"syllable"「シラブル(音節)」などです。
この接頭辞はギリシャ語で「共に(英with)」を表す"syn"に由来します。
接頭辞"syl-"を持つ単語が他にあったことも、"syllabus"「シラバス」の勘違いに影響を与えたのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。先日調べた英語"apron"の例に続き、今回も間違いにより生まれた単語を調べました。
今回取り上げた2単語は、1つ目の"nickname"がつづりの勘違い、2つ目の"syllabus"が読み間違いということでした。
やはり間違いは誰にでもあるということですね。
我々もちょっとした間違いにめげることなく、引き続き楽しく外国語を学んでいきたいですね。