ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
暦の上では9月になりましたが、まだまだ暑い日が続きますね。
早く「秋」がきて、もう少し過ごしやすい気温になればという思いから今回は英語で「秋」にまつわる単語について調べてみました。
起源不詳の"autumn"「秋」
英語では「秋」を表す際に"autumn" [オータム]が用いられます。
季節の呼称は初期英語で覚える単語ですが、発音との乖離からつづりを間違えやすい単語の代表かもしれません。
英語"autumn"はフランス語を経由して取り入れられたラテン語由来の単語だそうですが、その起源はよく分かっていないようです。
from Old French autumpne, automne (13c.), from Latin autumnus (also auctumnus, perhaps influenced by auctus "increase"), which is of unknown origin. Perhaps from Etruscan,
対訳:古フランス語autumpne, automne(13世紀)、ラテン語autumnus(またはauctumnus、恐らくauctus「増加」から影響を受けた語形)から、その起源は不詳。恐らくエトルリア語起源、
(出典:Online
etymology dictionary)
引用中のエトルリア語とは、イタリア半島の先住民族エトルリア人の用いた言語で、ラテン語や英語・フランス語が印欧語族という同族言語であるのに対し、別の系統言語であるとされます。
印欧語族は現代に残る英語やフランス語などからルーツをさかのぼり古い形を再構築できるのですが、"autumn"という単語はそのグループから外れる(と思われる)ため起源をさかのぼることもできていない謎多き単語なのです。
As de Vaan notes, autumn's names across the Indo-European languages leave no evidence that there ever was a common word for it.
対訳:de Vaan※の指摘するように、インド・ヨーロッパ語族全体で「秋」を指す単語として共通の語形があったという証拠は見つかっていません。
※訳者注:オランダの言語学者
(出典:Online
etymology dictionary)
エトルリア語は現代では死語となっていることもあり、"autumn"の究極的なルーツを明らかにすることは残念ながらとても難しそうですね。
アメリカ英語の"fall"「秋」
「秋」に相当する英語は主に"autumn"ですが、アメリカ英語では"fall" [フォール]も用いられます。
本来の英語"fall"は、「落ちる、落下」という意味で用いられますが、なぜ「秋」という意味を担うようになったのでしょうか。
Online
etymology dictionaryによると以下のように解説されています。
The sense of "autumn" (now only in U.S. but formerly common in England) is by 1660s, short for fall of the leaf (1540s).
対訳:「秋」と言う意味(現在では米語のみですが、かつては英国でも一般的でした)は、1660年代までに見られ、fall of the leaf(1540年代)の省略形です。
(出典:Online
etymology dictionary)
元の表現"fall of the
leaf"、日本語では「落葉」が省略され「秋」になったということでした。何とも風流な表現ですね。
引用中にもある通り、かつては"fall"も英国で用いられたようです。
理由は不明ながら、現代ではイギリス英語"autumn"に対しアメリカ英語"fall"と地域によって「秋」の主な表現が異なっていったのでした。
本来、英語で「秋」を意味した"harvest"
現代英語では"autumn"および"fall"が「秋」に相当する表現です。
ただし"autumn"はラテン語に由来する借用語で13世紀頃、"fall"は元の"fall
of the leaf"「落葉」の短縮形に由来する語で16世紀頃からの登場です。
ではそれ以前の英語では「秋」を何と表現したのでしょうか?
正解は、"harvest"(古くは"hærfest")です。
現代英語では"harvest" [ハーヴェスト]は「収穫」という意味で用いられますが、本来の用法は「秋」という意味のみだったそうです。
In Old English and Middle English it was primarily a season name, with only an implied reference to the gathering of crops.
対訳:古英語および中英語では、季節の呼称が主で「作物の収穫」は暗にほのめかされるのみでした。
(出典:Online
etymology dictionary)
それが時代を経ると現代の用法「収穫」という意味へ拡大していきます。
The meaning "the time of gathering crops" is attested by mid-13c., and the sense was extended to the action itself and the product of the action (after c. 1300).
対訳:「収穫の時期」は13世紀半ばまでに見られ、「収穫」そのものや「収穫物」という意味に拡大しました(1300年頃以降)。
(出典:Online
etymology dictionary)
英語"harvest"のルーツはゲルマン祖語*harbitasだそうですが、ルーツを同じくする以下の言語では現代でも「秋」を意味する単語として用いられています。
ドイツ語 Herbst [ヘァプスト]
オランダ語 herfst [ヘルフスト]
しかしゲルマン祖語も更に遡ると印欧祖語の語根*kerp-に行き着くそうです。
語根*kerp-は「集める、摘む、収穫する」のような意味を持っていたと考えられていることから、英語"harvest"はルーツの持つ本来の意味に帰したと考えてもいいかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は「秋」に関する英語について調べてみました。
ラテン語に由来するものの起源は不詳の"autumn"、「落葉」から発展した"fall"、現代では「収穫」の意味となった"harvest"と、「秋」の一語から3つの英単語へと広がりました。
単語の歴史をさかのぼると関連語彙にも視野を広げることができますね。
今後も学習途上で興味深い発見があれば当ブログで取り上げたいと思います。