【なぜ?】リンゴではない"pineapple"とブドウではない"grapefruit"

2022/09/29

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

秋は旬の食べ物が多く、まさに「食欲の秋」と言われる所以ですね。

果物もいちじく、梨、桃、リンゴにブドウ…と旬を迎えるものが多くあります。

ところでリンゴを英語では"apple"と言いますが、"pineapple"「パイナップル」はリンゴとは全く異なるものの"apple"という名がついています。

同様に"grapefruit"「グレープフルーツ」もブドウを意味する英語"grape"が付いているもののブドウとは別物です。

何故でしょうか?今回はこの2つの単語について調べてみたいと思います。


リンゴではないのに"pineapple"とは?

日本語で「パイナップル」または「パイン」とも呼ばれるのが"pineapple"ですね。

南国が原産である果物の代表的存在です。

リンゴとは似つかない見た目ですが、なぜ名前に"apple"が含まれているのでしょうか?

語源を遡ってみましょう。

late 14c., pin-appel, "pine cone," from pine (n.) + apple. The reference to the fruit of the tropical plant (from resemblance of shape) is recorded by 1660s, and pine-cone emerged 1690s to replace pineapple in its original sense except in dialect.

対訳:14世紀後半、pin-appel「松ぼっくり」、名詞pineappleの複合語。熱帯の果物という意味は(その似た形から)1660年代には記録があり、「松ぼっくり」を意味する単語は1690年代には方言を覗いてpineappleからpine-coneに置き換わりました。

(出典:Online etymology dictionary

"pineapple"に通じる単語は古くからあったようですが、元は「松ぼっくり」を指していたそうです。

確かに「松ぼっくり」はパイナップルと似た形をしていると言えます。

とはいえ、なぜ昔は"apple"が「松ぼっくり」を指す語に用いられていたのでしょうか?


果物一般を指す単語だった"apple"

実は近代まで"apple"はリンゴに限らず果物一般を指していたようです。

Old English æppel "apple; any kind of fruit; fruit in general,"(中略)In Middle English and as late as 17c., it was a generic term for all fruit other than berries but including nuts

対訳:古英語æppel「リンゴ、あらゆる果物、果物一般」(中略)中英語期または17世紀頃まではベリー以外ナッツを含む全ての果物の総称でした。

(出典:Online etymology dictionary

つまり"pineapple"は古くは単に「松の実」を指していたわけで、故に「松ぼっくり」が元々の意味だったとしても不思議ではないわけですね。

ところが後に南国から「松ぼっくり」と姿の似た果物がもたらされると"pineapple"は転用され、更に現代では"apple"はリンゴの意味が主になったために何ともちぐはぐな名称になってしまったということでした。


ブドウではないのに"grapefruit"とは?

続いてはグレープフルーツの名前の謎に迫ってみたいと思います。

柑橘類のグレープフルーツはブドウとは見た目も似ているとは言えません。

語源を遡ってみましょう。

Said to have been so called for its taste, or perhaps because it grows in clusters. Perhaps a marketing name; it was known by various names (pomelo, shaddock) before the current one emerged.

対訳:その味から、または恐らく房状に生ることからそう呼ばれるようになったと言われる。恐らく販売用の名前であり、現在の名前が浸透する前は様々な名前(pomeloshaddock)が知られていた。

(出典:Online etymology dictionary

個人的にはブドウとグレープフルーツの味が似ているようには思えないのですが、画像検索するとグレープフルーツは確かにブドウのように房状で生っているように見えます。

大きさは全く違いますが、ブドウのような果物と言えなくもないですね。


グレープフルーツは「大きなライム」?

英語"grapefruit"は、味や房状に生る見た目からの命名が由来でした。

一方で他の言語では別の由来で呼ばれているようです。

まずは他の言語におけるグレープフルーツの表現を以下にまとめます。

 ドイツ語  Grapefruit / Pompelmuse

 オランダ語 grapefruit / pompelmoes

 フランス語 pamplemousse

 イタリア語 pompelmo

ドイツ語やオランダ語では英語から借用した表現もありますが、"p~"で始まる各言語の名前が目立ちますね。

実はドイツ語"Pompelmuse"をはじめフランス語、イタリア語の表現は、どれもオランダ語"pompelmoes"から借用した語に由来します。

英語版Wiktionaryによれば、オランダ語"pompoen"「かぼちゃ」または"pompel"「大きな」と"limoes"「ライム、柑橘("limoen"の異形)」の複合形が由来とされています。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は"pineapple"と"grapefruit"の名前について調べてみました。

現代の意味で考えると関連性は分かりませんが、語源を遡ると命名に至ったルーツを知ることができて面白いですね。

今後もこのような例があれば当ブログで取り上げたいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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