ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
世界には数えきれないほどたくさんの言語が存在していますが、一部においては共通の先祖(祖語)をルーツに持つ言語グループがあります。
とりわけインド・ヨーロッパ語族という名前の通りインドからヨーロッパに広がる諸言語が共通の祖語から派生したと考えられているグループの言語は、現代でも言語間で似た特徴や語彙が見つかります。
今回はタイトル「クジラと鮫の関係」について、語源の面から英語とイタリア語(ラテン語)を見比べながら調べてみたいと思います。
英語"whale"「クジラ」の語源とは?
クジラと鮫の語源が同じとはどういうことでしょう?
どちらも海の生物ですが、哺乳類のクジラに対し魚類の鮫は分類が異なるのはもちろん、見た目も異なります。
この謎を解くために、まずはクジラを意味する英語"whale"について調べてみましょう。
Online
etymology dictionaryによれば以下の通り解説されています。
Old English hwæl "whale," also "walrus," from Proto-Germanic *hwalaz (中略), from PIE *(s)kwal-o- (source also of Latin squalus "a kind of large sea fish").
対訳:古英語hwæl「クジラ」または「セイウチ」、ゲルマン祖語*hwalazから(中略)、印欧祖語*(s)kwal-o-に由来(ラテン語squalus「大型の海水魚の一種」と同源)。
(出典:Online
etymology dictionary)
そのルーツはインド・ヨーロッパ(印欧)祖語にあることが伺えます。
同じルーツから派生したラテン語"squalus"は「大型の海水魚」という意味であったことから、特定の魚を指す意味は薄かったのかもしれません。
そのためか古英語期にはクジラの他にセイウチの意味もあったようです。
ちなみに、セイウチを意味する英語"walrus"ですが前半部分の"wal-"がクジラに関係しているとされています。
生物学上は魚類ではないといえ、大型の海の生き物という点で"whale"がクジラを意味するようになったのは当然のことと言えるかもしれません。
イタリア語"squalo"の意味とは?
クジラの語源が分かったところで、いよいよ鮫との関係について考えてみたいと思います。
ここまでで分かったことは、英語"whale"のルーツがラテン語"squalus"と同じインド・ヨーロッパ祖語の単語にあったことです。
では今度はラテン語"squalus"について調べてみましょう。
英語版Wiktionaryによればその意味は以下の通りです。
a kind of large sea fish, thought to be a shark
対訳:大型の海水魚の一種、鮫のことだと考えられる。
(参照:en.wiktionary)
何と、ラテン語では具体的には鮫を意味する単語として捉えていたようです。
そしてこのラテン語から派生したイタリア語でも、"squalo"という形で鮫を意味する単語として用いられています。
以上のことから共通の先祖から生まれた単語が、英語ではクジラの意味となりイタリア語(ラテン語)では鮫を意味するようになったということが分かりました。
最後に
いかがでしたでしょうか。言葉のルーツを尋ねてみると、他の言語との意外な関係性が分かって面白いですね。
クジラにしろ鮫にしろ広く海洋に生息しているため、どちらも古くから人々に認識されていたことと思います。
ただ同じルーツの単語が地域によって別の生き物を呼ぶ方に使われたというのは、地域ごとで考え方や捉え方に違いがあったからだと思われます。
今後もこうした興味深い例があれば当ブログで紹介していきたいと思います。