ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
東洋の日本語と西洋の英語では文の構造はもちろん語彙の面で大きく異なりますが、中には似た考え方をルーツに持つ単語の組み合わせも存在します。
今回はその一例である「爬虫類」(英語"reptile")について調べてみたいと思います。
「爬虫類」と英語"reptile"の原義は同じ?
へびやトカゲ、ワニなどの動物は日本語で「爬虫類(はちゅうるい)」というグループに分類されます。
「爬虫類」という名前はWiktionaryによると、「爬(這って進むこと)」と「虫(ここでの用法は小動物を指す)」が語源とあり、つまり「這って進む生物」を指す言葉と言えます。
(参照:ja.wiktionary.org/wiki/爬虫類)
手や足を持たないへびはもちろんのこと、トカゲやワニも短い手足で腹這いすることから「爬」という漢字が古くから当てられているのでしょう。
一方、英語では「爬虫類」のことを"reptile" [レプトル]と言います。
この語源も「爬」同様に「這う」がルーツであることが分かります。
from Old French reptile (early 14c.) and directly from Late Latin reptile, noun use of neuter of reptilis (adj.) "creeping, crawling," from rept-, past-participle stem of repere "to crawl, creep."
対訳:古フランス語reptile(14世紀初め)、後期ラテン語の形容詞reptilis「這うような」の名詞形reptileから、ルーツは動詞repere「這う」の過去分詞形の語幹rept-より。
(出典:Online
etymology dictionary)
日本語「爬虫類」と英語"reptile"のルーツは、どちらも同じ「這う」に由来するということですね。
カメレオンは「○○のライオン」?
現生の爬虫類は、上に挙げたへび、トカゲ、ワニ・・・など6,000以上の種が存在しているそうですが、その中の1種にカメレオンがいます。
とりわけ体色を周囲の環境に合わせて変化させる能力で知られますが、そんなカメレオンの語源をご存知でしょうか?
英語では"chameleon"と表記しますが、"-leon"の部分は百獣の王・ライオンにルーツがあるそうです。
では前半の"chame-"部分は何に由来するのでしょうか?
Online
etymology dictionaryでは以下の通り解説されています。
from Latin chamaeleon, from Greek khamaileon "the chameleon," from khamai "on the ground" (also "dwarf"),(中略)+ leon "lion" Perhaps the large head-crest on some species was thought to resemble a lion's mane. Greek khamalos meant "on the ground, creeping," also "low, trifling, diminutive."
対訳:ラテン語chamaeleon、ギリシャ語khamaileon「カメレオン」から、khamai「地上の」(または「小人」の意)とleon「ライオン」の複合形。恐らくいくつかの種が持つ巨大な頭のとさかがライオンのたてがみに似ていると考えられたため。ギリシャ語khamalosは「地上の、這う」または「低い、ささいな、小さな」を意味した。
(出典:Online
etymology dictionary)
英語"chameleon"はギリシャ語に由来する単語だと分かりました。
また、先述の通り"-leon"はライオンに由来しており、一部のカメレオンが持つたてがみのようなとさかに影響を受けていることが伺えます。
前半部の"chame-"のルーツはギリシャ語"khamai"に由来するとのことですが、その意味は「地上の、這う、低い」などいろいろあるようです。
以上のことから"chameleon"は「地上を這うライオン」もしくは「小さなライオン」であると言えそうです。
カタツムリは小さなへび?
カタツムリは爬虫類ではありませんが、その英語名称を調べてみると爬虫類のへびとの関係が伺えます。
まず、へびは英語で"snake"ですがその語源は「這う」という動詞に由来するようです。
Old English snaca, from Proto-Germanic *snakon (中略), from PIE root *sneg- "to crawl, creeping thing"
対訳:古英語snaca、ゲルマン祖語*snakonから(中略)、ルーツは印欧祖語の語根*sneg-「這う、這うもの」。
(出典:Online
etymology dictionary)
「爬虫類」の英語"reptile"はラテン系ルーツの動詞"repere"「這う」が由来とのことでした。「へび」を表す英語"snake"もゲルマン系由来の「這う」が語源であり、本質的な考え方としては同じと言えるのではないのでしょうか。
では、その"snake"がカタツムリと関係があるというのはどういうことでしょうか?
カタツムリの英語"snail"について調べてみましょう。
from Proto-Germanic *snagila (中略), from *snog-, variant of PIE root *sneg- "to crawl, creep; creeping thing". The word essentially is a diminutive form of Old English snaca "snake,"
対訳:ゲルマン祖語*snagilaから(中略)、ルーツは印欧祖語の語根*sneg-「這う、這うもの」の変異形*snog-に由来。本質的には古英語snaca「へび」の指小形。
(出典:Online
etymology dictionary)
その語源は"snake"と同じく"*sneg-"「這う」であることが伺えます。また"diminutive"「指小形」とあるように、その昔カタツムリは「小さなへび」と考えられていたのかもしれません。
カタツムリとへびでは見た目が異なりますが、手足を持たず這う姿から似たものとイメージされたのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"reptile"「爬虫類」および"chameleon"「カメレオン」や"snail"「カタツムリ」について調べてみました。
ルーツは異なるものの、動詞「這う」との関連深さが日本語でも英語でも伺えました。語源を辿ると、昔の人々が対象をどのように捉えていたかを伺い知れて面白いですね。
今後も興味深い発見があれば取り上げたいと思います。