ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
先日、とある英単語を眺めていて不思議な発見がありました。
英単語"host"と"hostile"についてです。
前者が名詞で「主人」であるのに対し後者は形容詞「敵対する」というのが主な意味です。
「受入れる、もてなす」というイメージの名詞「主人」に対して、なぜ形容詞「敵対する」という正反対の意味になってしまうのでしょうか?
今回は、"host"と"hostile"という2つの単語について調べてみたいと思います。
実は異なるルーツを持つ"host"と"hostile"
今回の"host"と"hostile"について、それぞれの語源を紐解くと興味深い情報が得られます。
1.名詞"host"の語源
from Old French oste, hoste "guest, host, hostess, landlord" (12c., Modern French hôte), from Latin hospitem (nominative hospes) "guest, stranger, sojourner, visitor,"
対訳:古フランス語oste、hoste「客、主人、女主人、家主」(12世紀、現代フランス語hôte)、ラテン語hospitem(主格形hospes)「客、見知らぬ人、滞在者、訪問者」
(出典:Online
etymology dictionary)
古くは「主人」側だけでなく「客」側の意味も持っていたようです。
ルーツはラテン語"hospitem"(主格形は"hospes")であることが分かります。
2.形容詞"hostile"の語源
では続いて"hostile"のルーツを遡ってみましょう。
from French hostile "of or belonging to an enemy" (15c.) or directly from Latin hostilis "of an enemy, belonging to or characteristic of the enemy; inimical," from hostis, in earlier use "a stranger, foreigner," in classical use "an enemy,"
対訳:フランス語hostile「敵対の」(15世紀)または直接ラテン語hostilis「敵性の、非友好的な」から、(ラテン語)hostisはかつて「見知らぬ人、外国人」、古典期には「敵」の意
(出典:Online
etymology dictionary)
形容詞"hostilis"のルーツもラテン語に遡りますが、元の語は"hostis"とあります。
つまり「主人」を意味する名詞"host"のルーツ"hospes"とは、微妙に単語が異なるのです。
ラテン語の時代にはあった子音"-p-"がフランス語を経由する中で脱落したのでしょうか?
結果として正反対の意味がつづり上では似た形として現代に至っていると考えられます。
実は"host"にはもう1つの意味がある!?
名詞"host"「主人」と形容詞"hostile"「敵対の」が正反対の意味になる背景は、ルーツの単語こそ異なるものの現代では同じ語形に変化した結果と考えられました。
ところで、実は"host"には「主人」の他にももう1つ意味があります。
それが「大勢、大群」または「軍勢」という意味です。
このもう1つの"host"が、実はラテン語"hostis"「敵」に由来する現代英語です。
つまり"hostile"という単語は、「主人」を意味する"host"から派生した形容詞なのでは無く、もう1つの"host"から派生した形容詞だったのだということになります。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"host"と"hostile"について考えてみました。
意味の面からのみですと両者はなぜ正反対の意味なのか不思議に感じてしまいますが、そもそもルーツのラテン語においては別の単語だったということですね。
"hostile"は名詞からの派生形であることは間違いなかったものの、「主人」を意味する"host"からの派生では無く、同じつづりで別の意味も持っていることが分かりました。
今後も学習を通じての発見があれば当ブログにて紹介していきたいと思います。