ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
早いもので12月も半ばとなり、間もなく一年の締めくくりです。
いろいろと忙しい時期ですが、その中でクリスマスは子どもはもちろん大人も心弾むイベントでは無いでしょうか。
私はクリスマスであっても基本は変わらず語学に勤しむことにしていますが、今回は「クリスマス」を意味するドイツ語"Weihnachten"について考えてみたいと思います。
やっかいな名詞の数の話
上で述べたように、「クリスマス」のことをドイツ語では"Weihnachten"と表現します。
発音をカナ表記すると「ヴァイナハテン」、太字部分に強勢があります。
ところで、この"Weihnachten"は調べるにつれなかなか複雑な単語であることが分かってきます。
最初のやっかいな点は、"Weihnachten"の数です。
この単語の直接的なルーツは複数形であることが伺えます。
from a dative plural ze den wīhen nahten (“in the holy nights”).
対訳:複数与格の形ze den wīhen nahten「聖なる夜に」から
(出典:en.wiktionary)
ところが初登場時には単数形だったようです。
The oldest form (1170) is a singular diu wīhe naht (“the Holy Night”); the somewhat later plural is used to refer to the Christmas days and nights collectively.
対訳:最も古い語形(1170年)は単数形diu wīhe nahtでしたが、しばらく後にはクリスマス前後の日中や夜をまとめて表現するため複数形として使われました。
(出典:en.wiktionary)
時代とともに単数形→複数形と扱いが変化したわけです。では、現代ドイツ語では複数形の扱いということでしょうか?
実は、現代ドイツ語では基本は単数形扱いとなっているようです。
例1 Heute ist
Weihnachten.「今日はクリスマスです」
この例1における"ist"は動詞"sein"(英語"be"に当たる)の三人称単数現在形であることから、"Weihnachten"が単数形扱いであると言えます。
ちなみに先頭"Heute"「今日」は副詞であり主語ではありませんのでご注意を。
但し、お祝いや挨拶で用いられる場合は複数形を取ります。
例1 Frohe
Weihnachten!「メリークリスマス!」
この例2における"Frohe"は形容詞「陽気な」ですが、語尾"-e"が複数形の名詞(主格)を修飾するときの形です。
単数でも複数でも"Weihnachten"と同じ形なのでややこしいですが、動詞や形容詞の形に注目すれば区別することができます。
やっかいな名詞の性の話
紆余曲折(?)を経て基本は単数形の扱いに落ち着いた"Weihnachten"ですが、もう1つやっかいな点があります。
それは名詞の性です。
ドイツ語の名詞は単数形において性(文法性)を区別する必要があります。
すなわち男性名詞、女性名詞、中性名詞のいずれかに分類されることになります。
では"Weihnachten"はどの性に分類されるでしょう?
正解は中性名詞です。
"Weihnachten"は基本的に冠詞を付けずに用いられる単語ですが、中性名詞であることから付く定冠詞は"das"という形です。
但し、"Weihnachten"が中性となるのは「聖夜」という意味が男性的でも女性的でも無いからという理由ではありません。
その証拠に、単に「夜」を意味するドイツ語"Nacht"は女性名詞の扱いです。
女性名詞の場合、対応する定冠詞は"die"という形です。
ここで定冠詞とともに単語を並べてみると次のようになります。
die Nacht 「夜」
das Weihnachten 「聖夜(クリスマス)」
女性名詞"Nacht"という単語が基になっているので"Weihnachten"も女性名詞だと誤って判断しないよう注意したいところですね。
ところで、なぜ"Weihnachten"は中性名詞の扱いなのでしょうか?
あくまで私の推測ですが以下2点(のどちらか)が理由になっているのではないかと思います。
・「祝祭」を意味する"das Fest"が中性名詞だから、それに合わせた。
・クリスマス前後の昼夜をまとめた集合的な名詞だから、中性名詞とした。
2点目は補足しますと、ドイツ語で何かをまとめて表現する名詞(例"das Obst"「果物」、"das Gemüse"「野菜」、"das
Volk"「民衆」など)は中性名詞であることが多いように感じたことが根拠です。
明確なところは不明ですが、文法カテゴリーとして必要な性の区別はドイツ語において必須であるので注視しておきたいところですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はドイツ語"Weihnachten"「クリスマス」という単語について考えてみました。
数の区別や性の区別と、ドイツ語における重要な文法カテゴリーについて考えることができる好例では無いでしょうか。
名詞の数、性(他には格も)は修飾する形容詞や動詞の活用において影響する要因となり正しく表現する際の重要ポイントです。
今後もいろいろなドイツ語に触れながら、文法をしっかり把握していきたいと思います。