ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
当ブログではこれまで度々、同音異義語(音が同じで意味が異なる)や同綴(てつ)異義語(つづりが同じで意味が異なる)を取り上げています。
今回は同綴異義語railについて調べてみたいと思います。
英語"rail"はどんな意味?
今回の単語"rail"は「レール」というカタカナ語でも日常よく使われ目にする単語ですね。
鉄道のレールというイメージがある単語ですが、改めてその意味を調べてみましょう。
[名詞]
1(支柱などの)横棒;(物を掛ける)レール
2 防柵、手すり
3 鉄道;(鉄道の)レール
[動詞]
1 …にレールを敷く;〈場所を〉柵で囲む
2 ((主に英))〈品物を〉鉄道で輸送する
(参照:kotobank.jp/ejword/rail「プログレッシブ英和中辞典(第4版)」の解説より)
"rail"の語源は、ラテン語"regula"「木の棒、物差し」にあるようです。
棒状のものを指す語から現代における(鉄道の)レールという意味が生まれたものと思われます。
余談ですが、"regular"「規則的な、正規の」という形容詞も同じくラテン語"regula"から派生した単語です。
"rail"のもう1つの意味とは?
ところが冒頭で言及している通り、"rail"には「レール」の他にもう1つの意味が存在します。
改めて辞書で"rail"を確認してみましょう。
[動詞]
(…を)ののしる、毒づく((at, against, about…))
(参照:kotobank.jp/ejword/rail「プログレッシブ英和中辞典(第4版)」の解説より)
良い意味では無いことはともかく、「レール」の意味とは関係が無さそうに思われます。
この用法はどのようなルーツを持っているのでしょうか。
from Old French raillier "to tease or joke" (15c.), which is perhaps from Old Provençal ralhar "scoff, to chat, to joke," from Vulgar Latin *ragulare "to bray"
対訳:古フランス語raillier「からかう、冗談を言う」(15世紀)、これは恐らく古プロヴァンス語ralhar「嘲笑する、おしゃべりする、冗談を言う」から、俗ラテン語*ragulare「吠える」に由来
(出典:Online
etymology dictionary)
つまり「レール」という意味の"rail"とは同じ語形ながら、ルーツとなった語が異なるということですね。
整理すると以下の通りです。
"rail"のルーツ:
1「レール」古フランス語"rail" ← ラテン語"regula"
2「ののしる」古フランス語"raillier" ←古プロヴァンス語"ralhar" ← 俗ラテン語"ragulare"
細かい点ですが"regula"と"ragulare"の最初の母音が異なっているだけで、ラテン語においても非常に似た語形でした。
ちなみに2の方は現代フランス語で"railler"という語になっています。その意味は「からかう」であり、古フランス語の時代から意味は大きく変わっていないようです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"rail"について調べてみましたが、2つの意味は異なる語源から別々に発展していたことが分かりました。
1「レール」という意味はラテン語"regula"「木の棒、物差し」から。
2「ののしる」という意味は俗ラテン語"ragulare"「吠える」から。
「ののしる」という意味での"rail"は初めて知りましたが、英文ニュースメディアサイトで"rail at"や"rail against"という文脈で目にしたので覚えておいて損は無いと思います。
今後も同音・同綴異義語に関して発見があれば当ブログで取り上げていきたいと思います。