意味の移り変わる英単語【正反対なsad、sillyの語源とは?】

2023/01/16

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

外国語を学習していると、検定試験の結果や他人の語学力との比較において一喜一憂することもあると思います。

感情に左右されずに自分の目標やペースに沿ってコツコツと取り組むことができれば一番良いですが、なかなか難しいですよね。

ですが大丈夫です。英単語も語源を遡れば、その意味が変わっている単語が存在します。

単語ですら意味が変わるのですから、一時的な感情もあくまで今の状態として受け止め、語学を継続していきましょう。


英単語"sad"の本来の意味とは?

"sad"は「悲しい」という意味を持つ単語であることは多くの方が既にご存知だと思います。

ところが、この単語は語源を遡ると本来は「悲しい」という意味はありませんでした。

Old English sæd "sated, full, having had one's fill (of food, drink, fighting, etc.), weary of,"

対訳:古英語sæd「満足した、いっぱいの、人が(食べ物や飲み物、戦い等で)うんざりしている、飽き飽きした」

(出典:Online etymology dictionary

現在の意味「悲しい」はネガティブな感情ですが、1000年以上遡って古英語の時代には「満足した」というポジティブな意味も持っていました。

更に遡ってみるとどうでしょうか。

from Proto-Germanic *sathaz (中略), from PIE *seto-, from root *sa- "to satisfy."

対訳:ゲルマン祖語*sathaz(中略)、印欧祖語*seto-とその語根*sa-「満足させる」に由来。

(出典:同上)

引用から分かるように、英語"sad"「悲しい」の出発点は「満足した」という意味であったのです。

ドイツ語"satt" [ザト]やオランダ語"zat" [ザト]は英語"sad"と同源ですが、これらの単語は現代でも「満足した、うんざりした」という意味を持っています。

ですが、「満足した」という状態はネガティブに考えて「うんざりした」とも取れることは上の引用でも見た通りです。

そこから現在の意味「悲しい」が派生したと考えられるでしょう。

The sense development seems to have been via the notion of "heavy, ponderous" (i.e. "full" mentally or physically), thus "weary, tired of." By c. 1300 the main modern sense of "unhappy, sorrowful, melancholy, mournful" is evident.

対訳:意味の変化は「重々しい(例えば精神的、肉体的にいっぱいな状態)」という考えから「うんざりした、飽き飽きした」に移行したと思われます。1300年頃までには現在の主な意味「不幸な、悲しい、憂鬱な」という用法が見られます。

(出典:同上)


英単語"silly"の本来の意味とは?

「ばかげた、愚かな」というネガティブな意味の英語"silly"もまた、本来は異なる意味を持っていました。

Old English gesælig "happy, fortuitous, prosperous"

対訳:古英語gesælig「幸せな、思いがけない、隆盛な」

(出典:Online etymology dictionary

現在の意味とは正反対であることが伺えます。

語源を遡れば、"silly"と同源の単語は基本的に昔から現代に至るまで良い意味であるようです。

from Proto-Germanic *sæligas (source also of Old Norse sæll "happy," Old Saxon salig, Middle Dutch salich, Old High German salig, German selig "blessed, happy, blissful," Gothic sels "good, kindhearted").

対訳:ゲルマン祖語*sæligasから(古ノルド語sæll「幸せな」、古ザクセン語salig、中期オランダ語salich、古高ドイツ語salig、ドイツ語selig「恵まれた、幸せな、至福の」、ゴート語sels「よい、優しい」

(出典:同上)

先程の"sad"「悲しい」の例同様、"silly"もまた英語においてのみ意味が変わったということでしょうか?

Online etymology dictionaryによると、"silly"はものすごい意味の変化を経験しているようです。

The word's considerable sense development moved from "happy" to "blessed" to "pious," to "innocent" (c. 1200), to "harmless," to "pitiable" (late 13c.), "weak" (c. 1300), to "feeble in mind, lacking in reason, foolish" (1570s).

対訳:この単語の非常な変化は、「幸せな」から「恵まれた」→「敬虔な」→「無邪気な」(1200年頃)→「あどけない」→「痛ましい」(13世紀後半)→「弱い」(1300年頃)→「気の弱い、理性の足りない、愚かな」(1570年代)へと至ります。

(出典:同上)

日本語でも「おめでたい」という言葉が逆説的に「お人よし、ばか正直」などネガティブな意味で使われますが、そのようなイメージが英語"silly"にもあったのかもしれません。

とはいえ記録に残るだけでも、時代と共にこれだけの意味の変遷を経ている単語というのはすごいですね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は英語"sad"および"silly"の意味について、ルーツを遡ってみました。

取り上げた単語はどちらもポジティブ→ネガティブへと変化した例になりますが、単語も意味が移り変わるものですので、一時的な感情に左右されず語学を楽しみながら継続していきたいですね。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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