ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
語学には文法の正しい運用と豊富な語彙の知識があるに越したことはないかもしれませんが、基本的には中学や高校で学習する文法や語彙があれば日常の使用は可能と言われています。
とは言え学校で覚える基礎的な単語、または外来語として取り入れられたよく知る単語は様々な用法や意味を持っている点で意外に奥が深いこともあります。
今回は、英語"score"「スコア」について調べてみたいと思います。
かつてある数字を表していた"score"とは?
英語"score"は「スコア」というカタカナ表記でも私たちの日常で一般的に用いられています。
「スコア」と聞いてイメージする日本語は「得点」という意味ではないでしょうか。
実はこの"score"、歴史を遡るとかつてはある数字を表していました。
late Old English scoru "twenty," from Old Norse skor "mark, notch, incision; a rift in rock," also, in Icelandic, "twenty," from Proto-Germanic *skur-, from PIE root *sker- (1) "to cut."
対訳:後期古英語scoru「20」、古ノルド語skor「印、刻み目、切れ目;岩の割れ目」やアイルランド語「20」から、ゲルマン祖語*skur-、印欧祖語の語根*sker- (1)「切る」に由来
(出典:Online
etymology dictionary)
かつて「20」を意味していたというのです。原義は「切る」という語から派生しているようですが、どうして「20」という意味が生まれたのでしょうか?
更に語源を紐解いて調べてみます。
The notion probably is of counting large numbers (of a passing flock of sheep, etc.) by making a notch in a stick for each 20.
対訳:この意味は、(通過する羊の群れなど)多数を数える際に20頭毎に棒に切れ込みを入れたことに由来すると思われます。
(出典:Online
etymology dictionary)
羊飼いが多数の羊を管理する際につけた「切れ込み」が20頭毎であったことに由来するということでした。
なぜ「20」を単位としたかについては、人間の両手・両足の指の合計に由来しているものと思われます。
この「20」について、更に以下の言及があります。
That way of counting, called vigesimalism, is widespread and also exists in France and left its trace in the language:
対訳:この数え方は二十進命名法(vigesimalism)と呼ばれて広く普及しており、フランス語でもその痕跡を残しています。
(出典:Online
etymology dictionary)
引用中にある二十進命名法とは、20を位取りの基準とする数え方(二十進法)に基づく命名法です。
例えばフランス語の数字は20を一つの単位として以下のような表現をします。
80=quatre-vingt 「4(quatre)×20(vingt)」
90=quatre-vingt dix「4(quatre)×20(vingt)+10(dix)」
他にデンマーク語では次のような表現も見られます。
50=halvtredsindstyve「2.5(halvtreds)×20(tyve)」
60=tresindstyve「3(tre)×20(tyve)」
70=halvfjerdsindstyve「3.5(halvfjerd)×20(tyve)」
※それぞれ"-indstyve"の部分は省略され用いられます(例:50=halvtreds)
「得点」という意味が生まれたわけとは?
原義「切る」という意味から「20」という数字の用法が発展した"score"ですが、冒頭の通り現代では「得点」という意味も持っています。
この意味はどういう経緯で生まれたのでしょうか?
By early 13c. it is attested in the sense of "a financial record" (perhaps one kept by tallies), and it is attested from early 14c. as "reckoning, total amount." The specific sense of "a reckoning or account kept by means of tallies" is clearly attested by c. 1400, especially (1590s) "mark made (by chalk, on a taproom door, etc.) to keep count of a customer's drinks."
対訳:13世紀初めまでには「金銭の記録」(恐らく集計されたものとして)という意味が見られ、14世紀初めからは「計算、総額」という意味も見られます。「集計された計算または勘定」という特別な意味は1400年頃、とりわけ1590年代の「客のドリンクを数えて記録するため(酒場のドア等にチョークで)つけられた印」という用法から明らかになっています。
(出典:Online
etymology dictionary)
「切る」という意味から派生した「切れ目」が「(切ってつけられた)印」を経て、引用のように金銭やドリンクの数の記録そのものを指すようになった状況が伺えます。
もう少し読み進めると、いよいよ「得点」という意味の誕生が見つかります。
This was extended by c. 1600 to "amount due, one's debt," and by 1670s to "mark made for purpose of recording a point in a game or match," and thus "aggregate of points made by contestants in certain games and matches" (1742, in whist).
対訳:用法は1600年頃までに「未払い額、債務」にまで拡張され、1670年代までには「ゲームや試合で得点を記録するための印」、更に「あるゲームや試合で競技者が得た点の合計」という意味にもなりました。(1742年、トランプゲームの「ホイスト」にて)
(出典:Online
etymology dictionary)
当初は金銭にまつわる印が、17世紀頃からゲームや試合における得点にも用いられたということでした。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"score"という単語について調べてみました。
現代ではもっぱら「得点」という意味で用いられる単語ですが、かつては「20」という数字を意味していたという意外な事実が分かりました。
いずれにせよ原義の「切る」という意味から派生していることも興味深いですね。
基本的な単語は今さら確認するまでも無いかもしれませんが、改めて調べてみると新たな発見があると思います。
今後もこうした発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。