ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
外国語の単語というものは常日頃から意識的に覚えておかないと時とともに忘れてしまうものですね。
ところが、よほど特徴的な単語というものは初見の印象強さの為か、その後の生活で関わりが無くとも案外頭に残っているものです。
今回はそんな特徴的な単語の代表例とでも言うべき、「長大語」について調べてみました。
「長大語」とは?
そもそも長大語とは何でしょう?
ウィキペディアでは以下のように定義されています。
長大語(ちょうだいご)とは、発音に要する時間が通常より長い語である。一般的に複合語、多音節語、多字語でもある。
(参照:ja.wikipedia.org/wiki/長大語)
今回は各言語において最も文字数の多い単語を調べてみました。中には、創作的な語や非実用的な語もあるようですが、そのあたりも含めて紹介していきます。
スペイン語で一番の長大語
最初に紹介するのはスペイン語で一番の長大語です。
anticonstitucionalmente
その文字数は23文字です。
「憲法に違反して」という意味の副詞なのですが、この長大語は3つのパーツに区切ると途端に分かりやすくなります。
anti
– constitucional – mente
パーツの切れ目に「 – 」を挿入してみました。これら各パーツはそれぞれ以下の意味・機能を持ちます。
anti:接辞「反~」
constitucional:形容詞「憲法の」
mente:接辞(対象を副詞化する)
ちなみに、ポルトガル語にも同じ綴りで同じ意味を持つ単語があります。
ということはポルトガル語における一番の長大語もスペイン語と同じ(23文字)ということでしょうか?
ポルトガル語で一番の長大語
調べてみると、ポルトガル語には更にその上を行く長大語が存在しているようです。
anticonstitucionalissimamene
その文字数は29文字。スペイン語の記録(23文字)を6文字も更新しました。
とはいえ、その語形はスペイン語の長大語とよく似ていますね。
この単語もパーツに区切って考えてみましょう。
anti
– constitucional – issima – mente
ご覧の通り、4つのパーツに区切ると、前半2つと最後"mente"はスペイン語の構成と全く同じです。
残るは前から3番目の"issima"ですが、これは最上級を示す接辞の女性形です。
つまり各パーツはそれぞれ以下の意味・機能を持ちます。
anti:接辞「反~」
constitucional:形容詞「憲法の」
issima:接辞(対象を最上級化する)
mente:接辞(対象を副詞化する)
以上のことから、この単語は「最も憲法に違反して」という意味になります。
英語で一番の長大語
上で見てきたスペイン語、ポルトガル語はどちらもラテン語にルーツを持つ、ロマンス系の言語でした。
両言語で共通していた"-mente"という対象を副詞化する接尾辞もまたラテン語に由来しますが、これ自体が5文字あります。
ロマンス系の言語では副詞が長大語になる鍵と言えるかもしれません。
では、英語の場合はどうでしょうか?
英語における長大語は、専門的で日常使いはまず無いであろう単語が意外にも広く知られています。
pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis
一気に文字数が増えました。その数は45文字です。
この長大語は「珪性肺塵症」という病気を指すそうです。英語に比べると日本語の表記はかなりすっきりとした印象を受けますね。
ただ「珪性肺塵症」という漢字5文字の総画数は51画でした。特に「塵」という漢字は単体で14画もあります。漢字も画数で考えると結構なボリュームです。
話がそれましたが、この45文字という長大語であってもパーツに区切るとシンプルな単語で構成されていることが分かります。
pneumono
– ultra – microscopic – silico – volcano – coniosis
6つのパーツに区切られました。各パーツの意味はそれぞれ以下の通りです。
pneumono:「肺の」
ultra:「超~」
microscopic:「微細の」
silico:「ケイ素の」
volcano:「火山」
coniosis:「塵症」
日常で使われることはまず無い単語だとは思いますが、オックスフォード英語辞典にも収録されている語であり、英語における一番の長大語だと言えるでしょう。
ドイツ語で一番の長大語
英語と同じゲルマン系の言語であるドイツ語の場合はどうでしょう?
ドイツ語における一番の長大語は、とある固有名詞だとされています。
Donaudampfschiffahrtselektrizitätenhauptbetriebswerkbauunterbeamtengesellschaft
とんでもない長さの単語ですね。その文字数は79文字から成ります。
この長大語はその記録的な文字数の多さからギネスブックにも掲載されているそうです。
これまで紹介した語とは比較にならない程の長大語ですが、やはりパーツに区切ってみるとシンプルな語で構成されていることが分かります。
(ただしあまりに長いので、これまでのようなハイフネーションは割愛します)
各パーツの意味は以下の通りです。
Donau:「ドナウ川」
dampfschiffahrts:「蒸気船輸送の」
elekrizitäten:「電気」
haupt:「主要な」
betriebswerk:「工場」
bau:「工事」
unterbeamten:「下級官吏」
gesellschaft:「組合」
さすが79文字の長大語だけあってパーツも8つに区切られました。
とりわけ"dampfschiffahrts"などは、"dampf"「蒸気」、"schiff"「船」、"fahrts"「輸送の」というように更なる区切りができますが、冗長かと思いまとめてしまいました。
日本語訳としては以上のパーツを組み合わせて、「ドナウ汽船電気事業本工場工事部門下級官吏組合」とされているようです。
英語の長大語における例のようにシンプルな単語を並べていることが分かりますね。
ただ他の言語ではここまで長くなることはなく、ある程度はパーツとなる単語間でスペースが取られることが一般的だと思います。
ドイツ語ではスペースを挟まずに複合語を作ることが往々にして存在し、複合語そのものは辞書にも載っていません。
ドイツ語学習では苦労する点ですが、今回のようにパーツに区切って1つ1つの意味をつなぎ合わせてふさわしい訳を考える必要があります。
おまけ「長大語恐怖症」という長大語
これまで見てきた単語は、一応は使用実績が認められていたり辞書で掲載されていたりするものでした。
ただ中には非公式(辞書に載っていない、または一般的な用語ではない)な長大語も存在します。
それが、"hippopotomonstrosesquipedaliophobia"(35文字)です。
この単語は「長大語恐怖症」という意味です。
恐怖症を表す単語自体が長大語であるという、何とも嫌味な単語ですね。
この単語は、本来"sesquipedaliophobia"で「長大語恐怖症」という意味がありました。
これでも19文字を数えるのですが、そこに"hippopoto"「カバの」と"monstro"「怪物の」という単語を頭につなぎ合わせています。
「カバ」や「怪物」という文字数も多ければ巨大なイメージもある単語をくっつけることで、より長大語のイメージを際立たせたと言えます。
ちなみに、本来の"sesquipedaliophobia"という語は"sesquipedalio-"と"phobia"という2つのパーツで成り立っています。
"sesquipedalio-"は、ラテン語"sesquipedalis"「長さ1.5フィート(45.72cm)の」という意味や「(スピーチなどが)過度に長い」という意味の形容詞が由来です。
"phobia"は、「~嫌い」を意味するギリシャ語由来の接尾辞です。
以上から"sesquipedaliophobia"は、「過度な長さを嫌うこと」から「長大語恐怖症」と訳すことができるという訳です。
クイズ「英語で最も長~い単語とは?」
先程は45文字から成る英語の長大語を紹介しました。
ところで、見出しのようなクイズがあるのですが、答えは何だと思いますか?
「英語で最も長~い単語とは?」
その答えは、"smiles"です。
名詞で「ほほ笑み」、動詞で「ほほ笑む」という意味の単語ですが、今回は特に意味は関係ありません。
"smiles"をよく見てみると、語頭の"s"と語末の"s"の間が "mile"、つまり「1マイル」もあります。「1マイル」は約1.6km(1609.344m)であり、語頭から語末までがとても長~い単語だというわけでした。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はいろいろな言語の長大語を調べてみました。
当記事内の最長記録はドイツ語の79文字でした。他にも調べればいろいろな長大語を見つけることができます。
外国語学習に疲れたら、遊び感覚で一風変わった単語を調べてみるのも面白いかもしれませんね。