ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ヨーロッパの諸言語を複数学んでいて興味深いのは、言語間で見られる関係性ではないでしょうか。
例えばラテン語を共通のルーツとして持つロマンス諸語(イタリア語、フランス語、スペイン語…等)は語彙や文法の面でよく似ています。
ですが、常に似ているわけではないというのもまた要注意とは言え興味深い点です。
今回は、ラテン語"exitus"から派生した各言語の用法について調べてみたいと思います。
ラテン語"exitus"の語源とは?
ラテン語に"exitus"という単語があります。
語形から類推可能と思いますが、現代英語"exit"のルーツです。
この単語はもともと"exeo"という動詞の過去分詞形です。
そして動詞"exeo"は、"ex-"「外へ」と"eo"「行く」の複合形であり、要するに英語"go out"「外出する、出掛ける」が原義になります。
こうした背景から、英語"exit"の意味が「出口、退出」となるのですね。
他の言語では"exit"「出口」では無い?
ところが、他の言語ではラテン語"exitus"から派生したにもかかわらず「出口」以外の意味を持つパターンがあります。
例えばイタリア語では"esito"[エズィト]が「結果、結末」という意味を持つ一方で、スペイン語"éxito"[エクスィト]は「成功」を意味する単語です。
またポルトガル語の"êxito"[エズィトゥ]は「結果、結末」と「成功」という両方の意味を持つ単語です。
ですが、いずれも英語のように「出口」という意味では用いられません。
※イタリア語"esito"には稀に「出口」の用法もあるそうです(参照:伊和中辞典2版)。
英語"exit"の知識から意味を類推してしまうと誤ってしまうので要注意ですね。
ラテン語"exitus"の意味とは?
そもそも、なぜこのように言語によって意味が異なるのでしょうか。
もう一度ラテン語"exitus"について調べてみましょう。
英語版Wiktionaryによれば、複数の意味がある事が伺えます。
1.出発、外出
2.出口
3.(比喩)結論、終結
4.(比喩)死
5.(比喩)結果、出来事、発行
6.収入
(参照:en.wiktionaryを和訳)
原義は既に述べたように「外に出ること」ではありますが、そこから比喩的な表現が派生しています。
イタリア語やポルトガル語における「結果、結末」という意味は、原義から派生した比喩的な意味がルーツであったということですね。
スペイン語"éxito"が「成功」を意味するようになった訳
それでもなお、スペイン語における「成功」の意味はラテン語の中からも見いだせません。
そこで更に、いくつかのサイト※で"éxito"の語源を探ってみました。
それによると1732年の辞書には「出口」という意味で収録されたそうですが、後に仕事における「良い結果、結末」という意味が派生し現在の「成功」という意味に発展していったそうです。
同じラテン語がルーツといえど、地域や時代によって異なる意味に発展したという好例ですね。
※参照したサイト:
¿Qué es el éxito? - Filosofía
& co.(https://filco.es›Firmas)
ÉXITO
- Diccionario etimológico(http://etimologias.dechile.net )
Etimología
- El origen de la palabra: éxito(https://www.elcastellano.org›palabra)
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"exit"という単語について調べてみました。
英語では「出口」という意味で、ルーツのラテン語"exitus"の原義をそのまま保持していますが地域や時代が違えば異なる意味として用いられます。
こうした違いに着目してみると、より外国語学習に対する興味が湧いてくるかもしれませんね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。