ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
先日、NPRというサイトにおいて以下タイトルの記事が上っていました。
Want
your own private island? One is for sale in Scotland, but there's a catch
(参照:www.npr.org/2023/04/24/1171601261/scotlnd-private-island-for-sale)
タイトルを和訳してみると「自分の島を持ちたいですか? スコットランドで販売中です。ただし、a catchあり」となります。
持ち家ならぬ持ち島が手に入るチャンスがあるとのこと。ただし場所は遠くスコットランドですが。
ところで、この"a catch"はどう訳せばよいでしょうか? 直前の"but"という逆接の接続詞から考えるにポジティブな意味では無さそうですが・・・。
ということで今回は、"catch"という単語について調べてみたいと思います。
英語"catch"の用法と意味は?
上に紹介した記事のタイトルはどれも簡単な単語から成っており、"catch"もやはり今さら調べるまでも無い単語でしょう。
改めて辞書を紐解くと、"catch"には動詞と名詞の2つの用法が存在します。
日本語訳としてふさわしい表現は、いくつにも分けられるので基本的な単語とはいえ注意が必要です。
1.動詞としての"catch"の意味
・…をつかまえる
・〈打撃が、人に〉当たる
・〈物が、衣服を〉引っかける
・〈人が、姿・音を〉感じとる
・〈火が〉つく
・〈災いが、人を〉襲う
(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))
最も一般的な意味は最初の「つかまえる」だと思いますが、他も含め大きく6通りの日本語訳が当てられます。
そう言えば「にわか雨にあう」ことを英語で"be
caught in a shower"と覚えました。
"be
caught"は"catch"の受動態であり、にわか雨のような悪天候に捕まえられる/襲われるということですね。
他にも"He caught
his jacket on a hook."「彼はフックに上着を引っかけた」という表現も"catch"が使えるわけで、この単語のカバー範囲の広さが伺えます。
ただ、今回の例では"One is for sale in Scotland, but there's a catch"のように名詞として"catch"が登場しています。
では名詞としての意味も確認してみましょう。
2.名詞としての"catch"の意味
・捕まえること
・(戸などの)掛け金
・(人をひっかける)罠・落とし穴
・(息・声の一時的な)とぎれ
・手に入れる価値のある人・もの
・(歌などの)部分・断片
(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))
名詞としての意味もいくつかありますが、動詞"catch"からの派生や関連によるものであることが分かります。
では、今回の例における"a catch"の意味としてふさわしいものはどれでしょうか。
個人の島を所有するというのは、それなりにステータスの表れかもしれません。であれば「手に入れる価値のある人・もの」という意味もありえそうですが、直前にある逆接の接続詞"but"から考えれば良い面では無さそうです。
そこで今回の例では、「(人をひっかける)罠・落とし穴」という意味が適切と言えます。
Want
your own private island? One is for sale in Scotland, but there's a catch
「自分の島を持ちたいですか? スコットランドで販売中です。ただし訳(わけ)アリ」
このように訳してみればよいでしょう。
ちなみに何が「訳アリ」かと言うと、このほど販売に掛けられたスコットランドの島(バーロッコ島)は、英国で自然保護区に指定された特別科学関心地区に含まれるボーグ海岸エリアにあるため、家を建てるなど一切の開発はできないということなのだそうです。
ちなみに価格は186,000ドル(日本円でおよそ25百万円!!)以上だそうです。
英語"catch"「罠、落とし穴」のルーツは?
さて、動詞にしろ名詞にしろ様々な日本語訳に相当する"catch"についてもう少し調べてみましょう。
そもそも"catch"という単語は、ルーツを遡るとラテン語"captare"「取る、持つ」から派生したものと考えられています。
英語にはフランス語を経由して取り入れられましたが、古くは「追いかける、狩る」という意味も持っていました。
ただし「追いかける、狩る」という意味は、徐々に"chase"という語が担っていくことになります。
実は"chase"も元はラテン語"captare"から派生した語だとのことで、"catch"と"chase"はルーツを同じくする兄弟のような関係だと言えます。
(参照:Online
etymology dictionary)
また、今回の用例である「罠、落とし穴」という意味は、動詞"catch"の「…をつかまえる」から派生したことは想像に難くないでしょうが、初出はある人の書籍であるそうです。
The sense of "hidden cost, qualification, etc.; something by which the unwary may be entrapped" is slang first attested 1855 in writings of P.T. Barnum.
対訳:「隠れたコストや資格等、不注意により罠に陥る可能性があるもの」という意味は1855年にP.T. Barnumの著作で最初に見られたスラングです。
(出典:Online
etymology dictionary)
引用中の"P.T. Barnum"なる人物は米国で19世紀に活躍した興行師であり、2017年のミュージカル映画"The
Greatest Showman"「グレイテスト・ショーマン」でモデルにされた人物です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は名詞としての"catch"の意味について調べてみました。
日本語では「訳アリ物件」とか「うまい話には裏がある」のように表現されることもありますが、そのような表に出てこない隠された事実には気を付けたいものですね。