ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
これは英語に限った話ではありませんが、単語の中には1語で異なる品詞と意味を持っているものがあります。
同綴(どうてつ)異義語とも言われますが、異なるルーツがたまたま現代では同じつづりに落ち着いた例もあれば、同じルーツから意味が変化や枝分かれしや例など、その背景はいろいろです。
今回は、英語"present"について考えてみたいと思います。
英語"present"の用法を確認
まずは辞書で、"present"の品詞および意味を調べてみましょう。
すると大きく分けて2つの用法があることが分かります。
1つ目の用法
[形] 出席している、現在の
[名] 現在、現在時制
2つ目の用法
[動] ~を贈る、~を提示する、~を発表する
[名] 贈り物、プレゼント
(参照:「プログレッシブ英和中辞典(第5版)」)
外来語として「プレゼント」や「プレゼン」という表現が日常用いられますが、それらは2つ目の用法が元になっています。
ところが見ての通り、1つ目の用法と2つ目の用法は品詞や意味が異なるために取り違えないよう注意しなければいけません。
例 He
is present at the meeting.
この例の"present"は1つ目の用法(形容詞)です。
意味は「彼はその会合に出席しています」であり、間違っても「彼はその会合で贈り物です」などとしてはいけませんね。
英語"present"の語源を確認すると…
では、全く異なる2つの意味が同じ"present"という単語で表現できるのはどういうわけなのでしょう。
語源を遡って調べてみたいと思います。
そもそも"present"という単語は、以下に記す通りラテン語にルーツを持ちフランス語を経由して英語に取り込まれたという歴史を持っています。
英語"present" ← 古フランス語"present" ← ラテン語"praesentem"
このラテン語"praesentem"を更に分析してみましょう。
文法用語を以て解説すると"praesentem"というのは現在分詞の主格形"prasesens"が対格形に語形変化した形です。
この現在分詞"praesens"は動詞"praeesse"がベースにあり、更に"prae+esse"という2つのパーツから成り立っています。
パーツの意味はそれぞれ、"prae"「前に」、"esse"「~である(英"be")」です。
2つ合わせた"praeesse"は「前にある」となり、「出席している、現在の」という意味をもたらすようになったというわけです。
(参照:Online
etymology dictionary)
こうして考えると、"present"という単語は1つ目の用法「出席している、現在の」が原義であったと言えます。
2つ目の用法「贈り物」のルーツとは?
では、"present"が「贈り物」を意味するのはどのような背景があるのでしょうか。
語源を遡ると、こちらもやはりラテン語にルーツを持ちフランス語を経由して英語に取り込まれているようです。
from Old French presenter (11c., Modern French présenter) and directly from Latin praesentare "to place before, show, exhibit," from stem of praesens
対訳:古フランス語presenter(11世紀頃、現代フランス語ではprésenterから、またはラテン語praesenseの語根から派生したpraesentare「前に置く、見せる、」から直接。
(出典:Online
etymology dictionary)
どうでしょう。ルーツは上で見た1つ目の用法と同じ、ラテン語"praesens"(現在分詞形)がカギを握っていました。
元々は"praeesse"「前にある」という動詞の現在分詞形が"praesens"だったのが、そこから更に新たな動詞"praesentare"が派生したというわけです。
派生した結果、「前にいる」という状態から「前に置く」という動作を表すようになり、現在の動詞「贈る、発表する」や名詞「贈り物」という意味を持つようになったのです。
つまり、2つの用法は同じルーツから段階を経て派生した同綴異義語だと言えます。
動作「出席する」をどう表現する?
異なる意味を持つとはいえ、"present"のルーツは同じであったことがわかりました。
ところで、"present"は形容詞として「出席している」という表現が可能であるのは既に見てきた通りです。
これはあくまで「出席している」という状態を指すのですが、では動作として「出席する」と表現したい場合はどうすればよいのでしょうか。
"present"を動詞として用いると、既に見た通り「贈る、発表する」等といった意味になってしまいます。
この場合、"attend"という動詞を用います。
例 He
attend the meeting.「彼はその会議に出席する」
ちなみに"attend"は他動詞であり直接目的語(例文では"the meeting")を必要とします。
日本語訳「~に出席する」に引っ張られて前置詞"to"を用いる必要はありません。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は英語"present"の持つ2つの用法について調べてみました。
それぞれ異なる意味ながら、そのルーツは同じでありラテン語の原義を踏まえるとよりイメージしやすくなるのではないでしょうか。
今後もこうした学びがあれば当ブログで紹介していきたいと思います。