ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ドイツ語は英語と比べて語順が自由だと言われます。
しかし、定動詞の位置は必ず文の2番目の位置に置くという制約があります。
定動詞とは、動詞が主語の人称などによって活用した後の形を指します。
文字通り形の定まっていない不定形に対し、活用により形が定まった動詞というわけです。
ドイツ語の動詞は活用することで主語の人称や数、時制、法を示すことができます。
(中には、他の人称や法で同じ形をとるものもありますが・・・)
示すことができる情報量の豊富さや位置が決まっていることは、定動詞が重要であることの裏返しと言えるかもしれません。
今回は、ドイツ語の動詞について考えてみたいと思います。
定動詞が示す情報とは?
ドイツ語の動詞が文中で活用により変化することは先述の通りですが、具体的にどのように活用するのでしょうか。
活用のポイントは以下の4点です。
1.主語の人称、数
誰が主語かということです。以下、不定形"lieben"「愛する(こと)」を例に示します。
例:ich liebe「私が愛する」→一人称・単数
du liebst「君が愛する」→二人称・単数
Ihr liebt「君たちが愛する」→二人称・複数
2.文の時制
動詞の表す動作や状態がいつのことかということです。
例:du liebst「君が愛する」→現在
du liebtest「君が愛した」→過去
du wirst lieben「君が愛するだろう」→未来
※ドイツ語の未来形は、助動詞"werden"+不定形で表現されます。
3.文の法
ドイツ語には直接法、接続法、命令法という3つの法があります。
法とは文の伝え方のことであり、事実を伝える直接法、伝聞のような未確認情報だったり頭の中で思考しただけの情報を伝える接続法、相手への要求を伝える命令法の3つです。
例:du liebst「君が愛する」→直接法
du liebest「君が愛する(と彼は言っている)」→接続法
Lieb!「(君は)愛せよ!」→命令法
4.文の態
能動態か受動態か、「するorされる」の関係です。
例:du liebst「君が愛する」→能動態
du wirst geliebt「君が愛される」→受動態
ドイツ語の受動態は、助動詞"werden"+過去分詞形で表現されます。
ということで、以下の例文の定動詞"liebtest"はたった1語で「主語が二人称単数"Du"、時制は過去、法は直接法、態は能動態である」という情報を含んでいるのです。
例:Du liebtest ihn. 「君は彼を愛した」
動詞の「相」に要注意!
以上の通り、動詞というのは文の主語や時制など様々な情報が反映されて文中に現れます。
しかしながら我々が動詞を使いこなすときにもう1つ注意しておく要素があります。
それが動詞の「相」です。
「相」を知るために、次の2つの例文を見てみましょう。
例A.彼はよく寝た。
例B.彼はようやく寝た。
この例文で「寝た」が動詞です。日本語では共通していますが、ドイツ語ではどう表現されるでしょうか。
例A.Er schlief fest.
例B.Er schlief endlich ein.
前述の通り、定動詞は文の2番目におくので"schlief"が「寝た」に相当し、ドイツ語でも単語が共通しているように見えます。
1番目の"Er"「彼は」が主語、また3番目は"fest"「よく」、"endlich"「ようやく」という副詞です。
では例B.の4番目、"ein"は何でしょうか?
実はこの"ein"は「分離の前つづり」と呼ばれるもので、本来は動詞の一部をなします。
不定形が"einschlafen"という形なのですが、定動詞化すると例B.のように"ein"だけ分離し文末に飛んでしまうのです。
日本語ではどちらも「寝た」ですが、ドイツ語では例A.が"schlief"、例B.で"shlief ...
ein"というように微妙に用いる動詞が異なります。
この動詞の違いが「相」による違いなのです。
「寝た」結果、今はどういう状態か?
日本語ではどちらも「寝た」で表現可能な例A.と例B.ですが、その意味するところは実は異なります。
例A.彼はよく寝た。
例B.彼はようやく寝た。
改めて例文を見比べてみると、例A.は過去のある時点で寝ていたことを表す文です。彼は、今は起きていると考えられます。
一方で例B.はある時点で眠りについたことを表す文です。彼は、今は寝ている状態であると考えられます。
日本語では例A.もB.も動詞「寝た」で表現しても違和感はありません。
ところがドイツ語では、例A.とB.で微妙に異なる動詞を用いなければいけません。
日本語では動詞の形が必ずしも「相」を決めているわけではないからだと思いますが、その認識でいるとドイツ語で適切な表現が出来なくなってしまうというわけですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はドイツ語を例として、動詞の「相」について考えてみました。
今回の例では日本語でも「寝た」に対し、「眠りに就いた」など異なる表現で「相」を意識することももちろんできますが、一方で「寝た」という表現がどちらでも使えるという便利な点もあるためにドイツ語での表現には要注意というわけです。
適切な語彙を選択するためにも日本語の感覚ではなく、ドイツ語など外国語の感覚で考えるようにしたいですね。