ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今年、7/1~9/30の期間に実施されているデスティネーションキャンペーンの対象地域は兵庫県です。
兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海に接するほか淡路島も有し、都市部と自然環境の両方に恵まれた地域です。
今回のデスティネーションキャンペーンでは兵庫県が持つさまざまな土地の表情を反映した、「兵庫テロワール旅」がテーマだとのこと。
この「テロワール」とは何でしょうか?
今回は、「テロワール」や「デスティネーション」という単語について調べてみたいと思います。
兵庫県を巡る道中、読んで頂ければ幸いです。
「テロワール」とは何語? その意味は?
さて、私には馴染みの無かった「テロワール」という言葉ですが、これはフランス語"terroir"をカタカナ表記したものです。
辞書によると、その意味は以下の解説が見つかります。
[男] 1.耕作適地;((特に))(ワイン用の)ブドウ産地、2.郷土、田舎、地方
(参照:プログレッシブ仏和辞典 第2版)
いくつかのワインの名産地を持つフランスならではの言葉と言えるのではないでしょうか。
"terre"「土地、(大文字で)地球」から派生した"terroir"は、単に土地そのものに限らずワインの原料ブドウが優れた品種として育つために必要な環境も含めた言葉と言えます。
その土地、環境だからこそ育つ品種のブドウがあり、転じて広くその土地固有の環境にも用いられているのが日本での「テロワール」だと言えます。
今回のデスティネーションキャンペーンのテーマ「兵庫テロワール旅」とは、エリアによってさまざまな表情を持つ兵庫県内の土地をたくさん巡って体感しようという訳ですね。
「目的地」と「運命」の関係とは?
ところで「デスティネーション」は英語"destination"をカタカナ表記したものですが、日本語では「目的地」という言葉に相当します。
この"destination"ですが、関連語に"destiny"という語があります。
"destiny"は「運命」という意味の語ですが、「目的地」と「運命」が関連しているというのは不思議な感じがします。
そこで、それぞれの単語の成り立ちを調べてみたいと思います。
1.destination「目的地」の成り立ち
from past-participle stem of destinare "determine, appoint, choose, make firm or fast," from de- "completely, formally" + -stinare (related to stare "to stand") from PIE *steno-, suffixed form of root *sta- "to stand, make or be firm."
対訳:destinare「決定する、任命する、選択する、固定する」の過去分詞形の語幹から、de-「完全に、正式に」+ 印欧祖語の語根*sta-「立つ、固定する」の接辞形*steno-から派生した-stinare(stare「立つ」に関連)との組み合わせ。
(出典:Online
etymology dictionary)
そのルーツはラテン語にあり、強意を表す接頭辞"de-"と"stinare"の組み合わせから原義の「決定する」や「固定する」という意味が生まれたわけです。
時代を経ると、「何らかの定められた目的」という意味を経て現在の「目的地」という意味に発展します。
Meaning "predetermined end of a journey, voyage, or transmission" (1813) is short for place of destination (1787) "place to which a thing is appointed or directed."
対訳:「旅、航海または輸送における所定の目的地」(1813年)という意味は、1787年のplace of destination「ある物が指定または指示された場所」という語の省略から。
(出典:Online
etymology dictionary)
つまり、人が「定める」場所が「目的地」だということです。
2.destiny「運命」の成り立ち
from Old French destinée "purpose, intent, fate, destiny; that which is destined" (12c.), noun use of fem. past participle of destiner, from Latin destinare "make firm, establish".
対訳:古フランス語destinée「目的、意図、運命、宿命;定められたもの」(12世紀)、動詞destiner過去分詞女性形の名詞用法から、由来はラテン語destinare「固定する、定める」
(出典:Online
etymology dictionary)
続いてdestinyのルーツですが、"destination"と同じくラテン語"destinare"にありました。
しかし「運命」に関しては、「~される(もの)」という過去分詞の名詞用法により「定められたもの」が由来となっています。
つまり、こちらが能動的に「定める」ものが「目的地」であるのに対し、受動的に「定められた」ものが「運命」であるという訳です。
"destination"と"destiny"は語形も似ており実際にルーツを同じくする関連語であったのですが、能動的か受動的かの違いで異なる意味が派生していました。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は旅に関する言葉について調べてみました。
見知らぬ土地を巡ると、その土地固有の表情を発見することができます。旅の目的地を決めるのは能動的な行為ですが、ふとしたきっかけで気になる旅行先が見つかるように運命的な出会いもあるかもしれません。
旅にしろ言葉にしろ、今後も能動的に見つけに行きたいと思います。