ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
母国語と異なる言語を学ぶというのは苦労を伴うものですが、英語においては特に綴りと発音の乖離が初学者の悩みの種ではないでしょうか。
今回は、特にその発音からは綴りが思い浮かびにくい単語を4つ紹介したいと思います。
1.「ゲージ」の正しい綴りは?
日本語で標準寸法、規格という意味に相当する英語に「ゲージ」と発音する単語があります。
鉄道のレール幅も「ゲージ」と言い、鉄道模型のNゲージはレール幅が9mmの規格のことですが、"Nine"(9)の頭文字"N"に由来するのだそうです。
では、この「ゲージ」はどう綴るのでしょうか?
発音から考えると"gage"とか"geige"のように綴ってみたくなりますが、正しくは
gauge
と綴ります。
"gau-"と綴って「ゲー」と発音するのは予想がつきませんね。
語源的には、"gauge"という綴りで英語にもたらされているようですが、20世紀の米国の辞書編集者Clarence
Barnhart氏によれば中英語の時代から"gage"という異形が使われていたそうです(参照:etymonline,com)
発音は古くから「ゲージ」であったものの、綴りは語源的な形を維持したために乖離が生まれてしまったのでしょう。
2.「トータス」の正しい綴りは?
「ガッツだぜ」や「明日があるさ」等の曲で知られるロックバンド・ウルフルズのボーカルと言えば、トータス松本さんです。
「トータス」は亀のことですが、これは松本さんが亀好きであったことから付けた芸名だそうです。
ちなみに、亀といえば「タートル」という英語もあります。「トータス」と「タートル」の使い分けは、前者が陸亀で後者が水亀という違いです(亀全般を指すときは「タートル」)。
さて、「タートル」の方は"turtle"と綴るのですが「トータス」はどう綴るのでしょうか?
発音から考えると"tortus"のように綴ってみたくなりますが、正しくは
tortoise
と綴ります。
私は"tortoise"をずっと「タートイズ」と発音するのだと思い込んでいました。
古くはこの単語も"tortuse" (15世紀後半)や"tortuce" (15世紀半ば)のように綴られていた記録もあるようで、こちらの方がまだ「トータス」と読めるかもしれません。
現代の綴り"tortoise"は、1550年代に"porpoise"「ネズミイルカ」と綴ってポーパスのように発音する語の影響と考えられているようです(参照:etymonline.com)。
3.「カーネル」の正しい綴りは?
米国発のファストフードチェーンはいくつもありますが、1つにフライド・チキンで知られるケンタッキー・フライド・チキン社があります。
同社の創業者がカーネル・サンダースというのは、店頭で白いタキシード姿の立像を見て知っている方も多いのではないでしょうか。
ところで「カーネル」とは、彼の名前ではなく辞書によると大佐を意味するとあります。ただ、彼の出身であるケンタッキー州では民間人に与えられる名誉称号として使われているので、軍の階級としてつけられているわけではありません。
では、この「カーネル」はどう綴るのでしょうか?
発音から考えると"cornel"とか"curnell"のように綴ってみたくなりますが、正しくは
colonel
と綴ります。
この単語はイタリア語"colonnella"「連隊の指揮官」からフランス語を通じて英語に入ったそうですが、フランス語の際に異化し"coronel"を経て英語"coronell"となりました。
その後、元のイタリア語に由来する綴りに修正され現代式に"colonel"となったものの、発音は維持されたために綴りと乖離してしまったというわけでした(参照:etymonline.com)。
4.「ジェイル」の正しい綴りは?
拘置所や刑務所という意味で、jailという英単語があります。
"jail"を「ジェイル」と発音すること自体は難しくないでしょう。ところが、この単語には異なる綴りの語形が存在します。
では、"jail"ではない綴りとはどのようなものでしょうか。実は
gaol
と綴ります。
子音"g-"が、"j"の音を表すことは英語において珍しいことではありません(例"ginger"「ショウガ」等)。
しかし、"j"の音をとるのは後続の母音が"e"や"i"、または"y"の時であり"ga-"の綴りではまずありえません。
この単語は中英語期には"gaile"や"gaiole"と綴られていたようで、語源的にも"g-"ではじまる綴りが正統なようです(直接のルーツは古フランス語の"gaiole")。
一方で"gaol"と同語源ながら"j-"の綴りも古フランス語を経て中英語期には存在していたようで、古くから発音は「ジェイル」であったと思われます。
発音のしやすさから音が変わり、並行して一部では綴りも変化した結果、このようなバリエーションが生まれたのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。綴りと発音の乖離が大きいとされる英語ですが、今回は特にその差が大きいと思われる4単語を紹介しました。
ゲージやカーネルのように、カタカナで馴染みある単語も改めて英語の綴りを尋ねられると分からないものですね。
今後もこのような例があれば当記事で紹介していきたいと思います。