ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語で"narrow-minded"という表現があります。
日本語では「心が狭い」とか「狭量な」といいますが、日英どちらも「狭い」という語で共通しているのが興味深いですね。
"narrow-minded"と「心が狭い」は共に人や物事に対する許容範囲の低さや思いやりの無さを指しますが、この「狭い」というのは英語源的に「怒り」や「不安」という感情とも関連があるそうです。
そこで今回は、英語で「怒り」や「不安」を表す語のルーツについて調べてみました。
「怒り」に関する英語"anger"や"angry"の語源
「怒り」に関する代表的な英語に"anger"(名詞)や"angry"(形容詞)があります。
この単語はゲルマン系のルーツを持ちますが、さかのぼって究極的には印欧祖語の*angh-「窮屈な」から派生したようです。
from Old Norse angra "to grieve, vex, distress; to be vexed at, take offense with," from Proto-Germanic *angaz, from PIE *anghos, suffixed form of root *angh- "tight, painfully constricted, painful."
対訳:古ノルド語angra「嘆き悲しむ、いらいらさせる、苦しめる;いらいらする、腹を立てる」←ゲルマン祖語*angaz ← 印欧祖語の語根*angh-「窮屈な、きつく締め上げられた、きつい」の接尾語形*anghosに由来。
(出典:Online
etymology dictionary /anger/)
ちなみに、同じ語源から派生した現代ドイツ語"eng"は「狭い」という意味で用いられる形容詞です。
「怒り」という感情に関連して「ついカッとなって」という表現があるように、感情が爆発してしまうと周囲が見えなくなってしまうものですが、だからこそ「狭い」という語から"anger"や"angry"という語が派生したということですね。
「不安」に関する英語"anxiety"や"anxious"の語源
続いて「不安」に関する代表的な英語に"anger"(名詞)や"angry"(形容詞)があります。
この単語はラテン語(ロマンス系)のルーツを持ちますが、さかのぼってみると究極的には"anger"や"angry"と同じく印欧祖語の*angh-「窮屈な」から派生したようです。
from Latin anxius "solicitous, uneasy, troubled in mind" (also "causing anxiety, troublesome"), from angere, anguere "to choke, squeeze," figuratively "to torment, cause distress" (from PIE root *angh- "tight, painfully constricted, painful").
対訳:ラテン語anxius「気にかける、心配な、精神的に苦しんでいる」(または「不安を引き起こす、厄介な」)← 動詞angere、anguere「詰まらせる、圧搾する」、比喩的に「ひどく苦しめる、苦痛をもたらす」← 印欧祖語の語根*angh-「窮屈な、きつく締め上げられた、きつい」に由来。
(出典:Online
etymology dictionary /anxious/)
「不安に押しつぶされる」という表現もあるように、心が狭められるというイメージは抱きやすいのではないでしょうか。
また興味深いことに、異なる語派のセルボ・クロアチア語でも類似の派生が見られるそうです。
The same image is in Serbo-Croatian tjeskoba "anxiety," literally "tightness, narrowness."
対訳:同じ概念はセルボ・クロアチア語tieskoba「不安」、原義は「きつさ、狭さ」にも見られる。
(出典:Online
etymology dictionary /anxious/)
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"anger/angry"「怒り」と"anxiety/anxious"「不安」という語について調べてみました。
同じルーツでありながらゲルマン語由来では「怒り」という語になり、ラテン語由来では「不安」という語になったというのが興味深いですね。
今後もこうした発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。