ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
文房具の1つ「ホッチキス」は、英語では"stapler"と呼ばれ日本における独特な呼称だというのは有名ですね。
日本で「ホッチキス」という名が定着したのは、最初に販売されたのが米国"Hotchkiss"社製のものであったからだそうです。また、その社名は創業者の名字"Hotchkiss"からきているそうです。
今回は、このように人名に由来する単語について調べてみました。
1.レントゲン
健康診断などにおける診察項目の1つ、胸部X線検査はレントゲン検査とも言われます。
英語では"Roentgen"とつづられますが、このレントゲンとはX線を発見した物理学者の名字に由来しています。
in recognition of German physicist Wilhelm Conrad Röntgen (1845-1923), who discovered X-rays in 1895.
対訳:1895年にX線を発見したドイツの物理学者ヴィルヘルム・コンラット・レントゲン(1845~1923年)の功績から。
(出典:Online etymology
dictionary)
レントゲン氏の原語表記"Röntgen"で"o"の上に点々がついていますが、これはウムラウトという変音記号です。
ドイツ語の学習書では、口をまるく("o"「オ」を発するときの形に)して"e"「エ」の音を出すというように紹介されていますが、日本語のカナでは正確な表記が難しくレントゲンとされているわけです。
またウムラウトを持たない英語圏では上述のように"Roentgen"と表記されますが、これはドイツ語圏でもウムラウトが入力できない場合の対応であり、そもそもこの記号( ̈ )が筆記体の"e"に由来することとも関係していると言えます。
2.ボイコット
日本語では「不買運動」とされたり、何らかの行為をしなかったりさせなかったりということをボイコットとも言います。
原語表記では"Boycott"ですがこの単語も、ある人物の名字に由来するのだそうです。
From Irish Land League ostracism of Capt. Charles C. Boycott (1832-1897), land agent of Lough-Mask in County Mayo, who refused to lower rents for his tenant farmers.
対訳:アイルランド・メイヨー県マスク湖地方の土地代理人で、小作人への土地代引き下げを拒否したチャールズ・C・ボイコット大尉(1832~1897年)が同国の土地連盟から追放されたことから。
(出典:Online
etymology dictionary)
この話が元になって、1880年には名詞または動詞として用いられているそうです。
また日本でも比較的早く、この語が取り入れられているというのも興味深いお話です。
Quickly adopted by newspapers in languages as far afield as Japanese (boikotto). The family name is from a place in England.
対訳:日本のように遠く離れた国でも、すぐに新聞で言葉が使われた。姓はイギリスの地名に由来している。
(出典:Online
etymology dictionary)
さらに上の引用文で「地名に由来」とあるように、Google
Mapsで"Boycott"と検索するとロンドンの北方、"Royston"という自治体の中に"Boycott"が見つかりました。
これは私の推測ですが、"-cott"というのは英語の"cot"「(古語)小さな家、小屋」に由来するのかもしれません。
Google
Mapsで見る限り、"Boycott"は農場やクリケット場のほかは学校やお店が点在するのどかな地域のようでした。
3.シルエット
「影絵」のように、黒一色で描かれた人や物のイメージをシルエットと呼びます。
原語であるフランス語表記では"Silhouette"です。通常発音されない子音"h"が漏れないよう注意しましょう。
シルエットは、大蔵大臣を務めたエティエンヌ・ド・シルエットなる人物の名字に由来するのだそうです。
The usual reason given is that it was an inexpensive way to make a likeness of someone, and thus the name was a derisive reference to Silhouette's petty economies, unpopular among the nobility, to finance France during the Seven Years' War.
対訳:通説によれば(黒一色の像は)人の似顔絵を作るには安価な方法であることから、七年戦争中の財政管理のため緊縮的な経済政策で貴族の不人気を買った同氏の名前が使われたようである。
(出典:Online
etymology dictionary)
ちなみに、シルエットという名字のルーツはフランスとスペインの両国にまたがるバスク地方にあるそうです。
そこで話されるバスク語は、フランス語やスペイン語などのロマンス諸語とは系統を別にする孤立した言語です。
The family name is a Frenchified form of a Basque surname; Arnaud de Silhouette, the finance minister's father, was from Biarritz in the French Basque country; the southern Basque form of the name would be Zuloeta or Zulueta, which contains the suffix -eta "abundance of" and zulo "hole" (possibly here meaning "cave").
対訳:この姓はバスク語をフランス語化したものであり、彼の父アルノー・ド・シルエットはフランスのバスク地方ビアリッツ出身であった。南バスクではZuloetaまたはZuluetaであったとされ、接尾辞-eta「~が豊富な」とzulo「穴」(恐らくこの場合は「洞窟」)に由来するものと思われる。
(出典:Online
etymology dictionary)
この地方には旧石器時代の壁画が今なお残る洞窟がいくつかあり、シルエットはバスク地方の風景と関連した由緒ある名字なのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は人名に由来する単語として「レントゲン」「ボイコット」「シルエット」の3つについて調べてみました。
現代に至るまで名が残るという点では、良い評価での残り方をしたいものですね。
引き続き興味深い発見があれば、当記事を更新していきたいと思います。