ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
あまり良い話ではありませんが、今回は「解雇する」という表現について考えてみたいと思います。
一般的な単語しては"dismiss"が挙げられますが、より口語的に"fire"という表現も存在します。
"fire"については、どちらかと言えば"I got fired from my job."「仕事をくびになった」とか"You’re
fired."「お前はくびだ」のように受動態で用いられることが多いようです。
ところで、本来"fire"は名詞で「火、火事」という意味の単語ですが、なぜ動詞で「解雇する」という意味が生まれたのでしょうか。
動詞"fire"が「解雇する」となった訳とは
早速、Online
etymology dictionaryを紐解いてその背景を探りに行きましょう。
そもそも古くは名詞の用法から派生して、そこから比喩的な意味へと発展していきます。
c. 1200, furen, "arouse, inflame, excite" (a figurative use); literal sense of "set fire to" is attested from late 14c., from fire (n.).
対訳:1200年頃、furen「(比喩的に)刺激する、燃え上がらせる、興奮させる」、原義の「火をつける」は14世紀後半より用いられており名詞fireから派生。
(出典:Online
etymology dictionary)
意味は時代を経て、さらに広がっていきました。以下引用を見るに、後半はあまり火そのものと関連が薄くなった用例も見受けられます。
Meaning "expose to the effects of heat or fire" (of bricks, pottery, etc.) is from 1660s. Meaning "to discharge artillery or a firearm" (originally by application of fire) is from 1520s; extended sense of "to throw (as a missile)" is from 1580s.
対訳:「(レンガや陶器を)熱や火で焼く」という意味は1660年代から、「(元は火を使うことから)火砲や小火器を発射する」という意味は1520年代から、更に意味が拡大し「(ミサイルのように)投げる」は1580年代からです。
(出典:Online
etymology dictionary)
"fire"が「解雇する」というの意味で用いられるようになったのは、この「発射する」とか「投げる」という意味が更に発展した結果だと言えます。
The sense of "sack, dismiss from employment" is recorded by 1877 (with out; 1879 alone) in American English. This probably is a play on the two meanings of discharge (v.): "to dismiss from a position," and "to fire a gun," influenced by the earlier general sense "throw (someone) out" of some place (1871).
対訳:「くびにする、解雇する」という意味は1877年には既に記録があり、以降1879年を除いてアメリカ英語における表現となっています。これは恐らく、動詞dischargeが持つ2つの意味「役職から解任する」と「銃を発砲する」をもじったものであり、以前の一般的な意味である「(人を)ある場所から追い出す」(1871年)の影響を受けています。
(出典:Online
etymology dictionary)
その用例の歴史は思ったより古く19世紀後半には見られるそうです。類語の"discharge"が「解雇する」と「発砲する」という両方の意味を持っていたことも影響を与えたことが伺えます。
"fire"には突然の解雇というニュアンスがあるようですが、「発射」や「発砲」という意味から派生したことにも深い関係がありそうですね。
もう1つの「解雇する」という意味の意外な単語とは?
今回、動詞"fire"について調べていたところ新たな発見がありました。
実は"sack"という単語にも「(名詞)解雇、(動詞)解雇する」という意味があるというのです。
一般的には「袋」という意味の"sack"ですが、なぜ「解雇」という意味も持つのでしょうか。
Online
etymology dictionaryによれば昔の解雇の仕方に由来するようです。
perhaps from the notion of the worker going off with his tools in a bag. The original formula seems to have been give (someone) the sack.
対訳:恐らく労働者が袋に仕事道具を詰めて立ち去るというイメージから。もともとは(解雇する労働者に)袋を渡すという形式だったようです。
(出典:Online
etymology dictionary)
「解雇する」という動詞形は、この名詞「解雇」から派生しており、1841年までには既に用例が見られるということで、"fire"よりも古くからある表現でした。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は「解雇する」という表現について考えてみました。
"fire"が動詞で「解雇する」という意味を持つことは既に知っていても、"sack"に「解雇、解雇する」という意味があったというのはあまり知られていなかったのではないでしょうか。
できれば使いたくない表現ですが、改めて単語について調べてみるとその意味が生まれた背景が分かってきて語学の面では興味深い発見がありました。
今後もこうした発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。