【貴族の称号?】サーロインの語源とは?

2023/10/09

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

「たまには奮発していいものを食べようか」というのは誰しも考えたことがあると思いますが、何を食べるかは人によって様々かと思います。

高級なお寿司だったり、フルコースの料理だったり、ステーキだったり…。

今回はよくステーキとして食べられる、牛肉の部位「サーロイン」という単語について調べてみました。


"Sirloin"「サーロイン」とは?

ひとくちに牛肉といっても、部位によっていろいろな種類があるのは既によく知られていますね。

ステーキに適しており特に上質な部位だとされるのが"Sirloin"「サーロイン」です。

辞書によると「牛の腰肉上部」がサーロインをさすとあり、また"loin"は「(牛・豚・羊の)腰肉」を意味するのだとあります(参照:プログレッシブ英和中辞典(5))。

ということは、"sir" + "loin"の複合語が「サーロイン」ということでしょうか?

"sir"「サー」と言えば英語圏における敬称であり、日本語で「卿(きょう)」という字があてられることもあります。

サーロインは上質な肉であることから、"sir"の称号がついているというわけでしょうか。

語源を遡って調べてみましょう。


"Sirloin"の"sir"はもともと称号にあらず

Online etymology dictionaryを紐解いてみれば、"sirloin"は語源的に"sir"とは無関係であるようです。

early 15c., surloine, shurleyne, surloyne, a cut of beef, from 16c. identified specifically as the upper part of the loin, from French surlonge, literally "upper part of the loin,"

対訳:15世紀初め、surloineshurleynesurloyne、牛肉の一切れ、16世紀以降は特に腰肉の上部に特定して用いられ、フランス語surlonge、原義「腰の上部」に由来

(出典:Online etymology dictionary

元のつづりは"surshur)"でありルーツとなったフランス語では、"sur"「上(英:over)」と"longe"「腰肉」から成る文字通り「腰の上部」を指す語だったわけです。

現代英語でも、"sur-"というつづりは「上に、越えて」という意味を付与する接頭辞としてよくお目にかかりますね(例:"surface"「表面」、"survive"「生き延びる」など)。

英語では"sur-"と"sir"が同じ[サー]と発音されることから変化したのだと思われます。

"sir-"とつづるその歴史は古く1620年代にまでさかのぼることができるそうです。


英国王が"sir"の称号を与えたという説も?

とはいえ民間語源(言語学的根拠の無い)説によれば、"sirloin"の"sir"とは英国王により与えられた称号なのだという話もあるようです。

By folk-etymology this is because the cut of beef was "knighted" by an English king for its superiority, a tale variously told of Henry VIII, James I, and Charles II.

対訳:民間語源では、サーロインがその上質さから英国王によって「ナイト」の称号を与えられたとされており、英国王とはヘンリー8世やジェームズ1世、チャールズ2世など様々な形で伝わっています。

(出典:Online etymology dictionary

あえて日本語にすれば、「腰肉卿」でしょうか。分厚くカットされたサーロインがフォーマルな姿で擬人化されたらと考えると、面白いですね。

ただ、この話はあくまで民間語源であり事実に基づくものではないようです。

19世紀後半にも、こうした民間語源を快く思わないコメントが見つかります。

It is one of those unscrupulous inventions with which English 'etymology' abounds, and which many people admire because they are 'so clever.' [Walter W. Skeat, "An Etymological Dictionary of the English Language," 1882]

対訳:この話は「英語源」に数多く存在し、多くの人が「よくできた」話だと感心する悪趣味な創作の1つなのである [1882年、Walter W. Skeat著『英語の語源辞典』]

(出典:Online etymology dictionary


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は"sirloin"「サーロイン」という単語について調べてみました。語源的には単に"sur"「上の」+"loin"「腰肉」であったわけですが、上質な肉の部位だけに上で取り上げたような民間語源説が生まれるのも頷けますね。

今後も、興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。

Translate

このブログを検索

プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

お問合せフォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ