ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ようやく暑さも落ち着き果物のおいしい季節になりましたが、身近な果物の1つに「りんご」があります。
昔から広く食用とされてきただけあって様々な表現にも用いられる「りんご」ですが、今回はドイツ語「○○のりんご」という単語を集めてみました。
果たしてどのような意味で用いられる単語なのでしょうか? 考えながら読み進めて頂ければ幸いです。
1.Augapfel「目のりんご」とは?
ドイツ語で「りんご」を"Apfel" [アプフェル]と言いますが、その前に"Aug-"がくっついた"Augapfel"という単語があります。
"Aug-"は、"Auge"「目」からきており"Augapfel"で「目のりんご」となります。
(ちなみに"Augapfel"の発音は[アウクアプフェル]です。"-ga-"を続けて[ガ]と読まないよう、また"-g"は濁らず[ク]と発音する点に注意です)
では、"Augapfel"「目のりんご」とは何をたとえた表現なのでしょうか?
正解は「眼球」です。
通常、"Auge"「目」と言えば広く視覚を司る部位を指し「まなざし」「視力」のような意味も持ちますが、「眼球」そのものを表現する語が"Augapfel"のようです。
英語では"eyeball"で文字通り「眼球」ですが、その形をりんごになぞらえたドイツ語の表現は面白いですね。
2.Erdapfel「大地のりんご」とは?
続いてのご紹介は、"Apfel"の前に"Erd-"がくっついた"Erdapfel" [エァトアプフェル]という単語です。
"Erd-"は、"Erde"「地球、大地」からきており"Erdapfel"で「大地のりんご」となります。
(ちなみに"Erdapfel"の"-da-"を続けて[ダ]と読まないよう、また"-d"は濁らず[ト]と発音する点に注意です)
では、"Erdapfel"「大地のりんご」とは何をたとえた表現なのでしょうか?
正解は「じゃがいも」です。
ドイツではもっぱら"Kartoffel" [カルトッフェル]が「じゃがいも」を指す語として用いられますが、南ドイツやオーストリア、スイスでは"Erdapfel"という語が用いられるようです。
またWiktionaryにおけるこの単語の語源欄によると、かつては「カボチャ」や「メロン」などウリ科の植物を意味していたようです。
from Old High German erdapful, erdaphul (“pumpkin, squash, melon”),
対訳:古高ドイツ語erdapful、erdaphul「カボチャ、メロン」から。
(参照:en.wiktionary)
現代のように「じゃがいも」を意味するようになったのは、フランス語の影響からと考えられています。
Modern sense probably a calque of French pomme de terre (“potato”).
対訳:現代の意味は恐らくフランス語pomme de terre「じゃがいも」の直訳表現からです。
(参照:en.wiktionary)
フランス語では"pomme"「りんご」、"de"「~の」、"terre"「大地」で成り立っています。
3.Adamsapfel「アダムのりんご」とは?
続いては、"Apfel"の前に"Adams-"がくっついた"Adamsapfel" [アダムスアプフェル]という単語です。
"Adams-"は、人名"Adam"「アダム」に"-s"「~の」を添えた語であることから"Adamsapfel"は「アダムのりんご」となります。
では、この単語は何をたとえた表現なのでしょうか?
正解は「のど仏」です。
この表現はドイツ語に限らず西洋の諸言語で「アダムのりんご」に相当する表現が用いられています。
その一例として英語では"Adam’s
apple"と表現しますが、ここで言う「アダム」とは旧約聖書に登場する最初の人間「アダム」のことを指しています。
The reference is to the legend that a piece of the forbidden fruit (commonly believed to have been an apple) that Eve gave Adam stuck in his throat. It is more prominent in men than women.
対訳:これは、イブから与えられた禁断の果実(一般にはりんごであるとされる)の一部をアダムが喉につまらせたという伝説からきています。のど仏は女性より男性においてより顕著に発達します。
(出典:Online
Etymology Dictionary)
アダムが禁断の果実を食べていたところを神様に話しかけられ、慌てて飲み込んだ際に一部を喉につまらせてしまい、それがのど仏になったのだというわけです。
キリスト教世界の伝説的なエピソードを男性に顕著な発達部位と絡めての命名だったのですね。
4.Pferdeapfel「馬のりんご」とは?
最後は"Apfel"の前に"Pferde-"がくっついた"Pferdeapfel" [プフェアデアプフェル]という単語です。
"Pferde-"は、"Pferd"「馬」からきており"Pferdeapfel"で「馬のりんご」となります。
では、この単語は何をたとえた表現なのでしょうか?
正解は「馬糞」です。
由来はそのまま「馬糞」がりんごのような見た目だったことから来ているようです。
Der Name kommt daher, dass die einzelnen Kotballen in Größe und Form an einen Apfel erinnern.
対訳:この名前の由来は糞の大きさや形がりんごに似ていることから来ています。
(出典:de.wikipedia.org/wiki/Pferdeapfel)
糞からりんごの連想はあまり良いイメージが無いかもしれませんが、馬糞は肥料としても優れているようで前掲のWikipediaによれば以下のように解説されていました。
Für einige Zierpflanzen wie z.B. Rosen und Orchideen sind Pferdeäpfel wegen des hohen Gehalts an Mineralstoffen und Zellulose als Nährstoffzufuhr ideal.
対訳:バラや蘭といった一部の観葉植物にとって、ミネラルとセルロースを多く含む馬糞は理想的な栄養成分です。
(出典:de.wikipedia.org/wiki/Pferdeapfel)
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はドイツ語で「○○のりんご」を意味する表現について調べてみました。
以下に紹介した4つの単語を改めて掲載します。
Augapfel「目のりんご」→「眼球」
Erdapfel「大地のりんご」→「じゃがいも」
Adamsapfel「アダムのりんご」→「のど仏」
Pferdeapfel「馬のりんご」→「馬糞」
りんごは古くから広く食べられる果物であるだけに、こうした表現が豊富なのかもしれませんね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。