ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語における代表的な6つの疑問詞の頭文字をとって"5W1H"という用語があります。
6つの疑問詞とは以下のことですね。
When「いつ」、Where「どこで」、Who「誰が」、What「何を」、Why「なぜ」、How「どのように」
この用語は英文法の説明で用いられることよりも、的確で簡潔にコミュニケーションをとるための方法という意味で、ビジネスシーンで耳にする機会が多いかもしれません。
今回は、この疑問詞について調べてみたいと思います。
他の言語における"5W1H"とは?
1.英語の場合
日本ではもっぱら"5W1H"ですが、英語圏では"Five Ws"「5つのW」と言われるようです。5つの"W"から分かるように、"How"は含まれていません。
ただ、"How"が追加されて"Five
Ws and How"や"Six Ws"と言われることもあるようです。
2.ドイツ語の場合
ドイツ語では"W-Fragen"という用語があります。これは頭文字が"W"の質問("Fragen")という意味ですが、その疑問詞とは以下の通りです。
Wann「いつ」、Wo「どこで」、Wer「誰が」、Was「何を」、Warum「なぜ」、Wie「どのように」
英語"5W1H"と同じ順に並べてみました。ドイツ語は"How"に相当する単語が"Wie"であり、6つの疑問詞が全て頭文字"W"で始まっていますね。
3.フランス語の場合
一方で、フランス語においては"QQOQCCP"となり、都合4文字で構成されています。
その中身は以下の通りです。
Qui「誰が」、Quoi「何が」、Où「どこで」、Quand「いつ」、Comment「どのように」、Combien「どのくらい」、Pourquoi「なぜ」
英語やドイツ語と比べて「どのくらい」という疑問詞"Combien"が加わり、7つの疑問詞で成り立っています。
言語で比較してみるとそれぞれの特徴が見れて面白いかもしれませんね。
古英語期の疑問詞は"6H"だった?
今度は時代を遡って、古英語期(450~1150年頃)の疑問詞を見てみましょう。
Hwonne「いつ」、Hwær「どこで」、Hwa「誰が」、Hwæt「何を」、Hwy「なぜ」、Hu「どのように」
すると、6つの疑問詞が全て頭文字"H"で始まっており、さしずめ"6H"と言えることになります。
"How"の先祖である"Hu"以外の疑問詞は、現代では"wh-"という子音連続が真逆の"hw-"というつづりになっています("hw-"が"wh-"というつづりになるのは、後の中英語期以降)。
当時はどの文字もつづり通り読まれたことから、例えば"Hwonne"は[フウォンネ]のような発音だったと思われます。
また、"How"について古英語"Hu"から更に遡ってゲルマン祖語の時代は*hwoであったと考えられています。
つまり"How"も大昔は"hw-"というつづりだったのです。
つづりと音の変化を受けた"How"と受けなかった"Who"
"How"は古英語期に起こったつづりと音の変化をにより古く持っていた"hw-"というつづりを失いました。
当時、"hw-"というつづりに対する発音として"u"や"o"などの円唇母音の前では、/hw/→/h/への音の変化がありました。
ゲルマン祖語*hwoは母音"o"を持っていたため/h/音の変化が起こり、更に"o"から"u"への変化を経てつづりも音に合わせて"Hu"になったというわけです。
この例外が、"who"「誰が」です。つづりは"wh-"でありながら発音は/h/ですね。
これは古英語期には"Hwa"、つまり母音は"a"であり円唇母音でなかったことから当初は音の変化が起こりませんでした。
中英語期につづりが"who"になり母音が"o"になったもののつづりは固定され、音だけが前述の影響により/h/に変化したことから現代のつづりと音のズレが生まれたのです。
さらに逆の例が"when"のルーツ"hwonne"「いつ」で、古英語期には母音"o"を持っていましたが中英語期に"when(ne)"というつづりになりました。そのため/h/音への変化が無かったというわけです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"5W1H"という用語について調べてみました。
疑問詞も他の言語で比べてみたり、時代を遡ってみたりすると新たな発見がありますね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。