ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今回は、同綴異義語(つづりが同じで意味が異なる単語)の関連について調べてみたいと思います。
語源が同じで意味が変異したのか、たまたまつづりが一致しただけなのか、単語によって背景は様々です。
英語"rare"の意味とは?
今回取り上げる単語は"rare" [レア]です。
辞書によると、以下の意味が見つかります。
1.[形]〈出来事・状況などが〉めったに起こらない、まれな
2.[形]〈肉が〉生焼けの、半煮えの
(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))
大きく異なる2つの意味ですが、1番目は「SSレア」のようにゲーム関連で使われますし、2番目はステーキの焼き加減を「レアで」と注文するように、日本でも両方が外来語として
使われています。
共通点はどちらも形容詞であることくらいで、意味の関連は無さそうですが実際はどうでしょうか?
語源を遡って調べてみたいと思います。
英語"rare"の語源とは?
1.「まれな」を意味する"rare"の語源
from Old French rer, rere "sparse" (14c.) and directly from Latin rarus "thinly sown, having a loose texture; not thick; having intervals between, full of empty spaces" (antonym of densus).
対訳:古フランス語のrer、rere「まばらな」(14世紀)経由および直接ラテン語のrarus「薄く散りばめられた、目の粗い、厚くない、間隔のある、完全に空いた」から(densus「濃い」の反意語)。
(出典:Online
etymology dictionary)
2.「生焼けの」を意味する"rare"の語源
from Old English hrere "lightly cooked," probably related to hreran "to stir, move, shake, agitate," from Proto-Germanic *hrorjan (中略), from PIE root *kere- "to mix, confuse; cook"
対訳:古英語hrere「軽く調理された」から、(恐らくhreren「かき回す、動かす、振る、かき混ぜる」と関連)、ゲルマン祖語*hrorjan(中略)、印欧祖語の語根*kere-「混ぜる、混乱させる、調理する」に由来
(出典:Online
etymology dictionary)
1番目と2番目を比較してみると、ルーツが異なることがわかります。
1.はラテン語に由来(フランス語経由)。
2.はゲルマン語由来
英語はドイツ語やオランダ語などとルーツを同じくするゲルマン系の言語ですが、歴史恵的にフランス語の影響も受けています。
今回の"rare"はルーツが全く異なるものの、歴史の中で同じつづりに収束した結果、同綴異義語が生まれたと言えます。
「生の魚」は"rare fish"ではない?
ところで、ゲルマン語がルーツであるrareについては「生焼けの」という意味であり、単に「生の」ではない点に要注意です。
ステーキの"rare"「レア」は、言うまでもなく火を通しています。完全に「生」というわけではありませんね。
では、刺身のように「生の魚」を英語ではどう表現すればよいでしょうか?
正解は、"raw fish"ですね(ちなみに刺身= "Sashimi"でも今では通じます)。
これを"rare fish"と表現すると、「レア(=希少な)魚」と受け取られてしまいかねませんので要注意です。
英語"raw"とは、料理(加熱など)をしていない状態のことであり、他に"raw egg"と言えば「生卵」の意味になります。"raw
meat"なら「生肉」です。
また、加工・処理されていないという意味から"raw
date"「生データ」や"raw material"「原材料」のように食材に限らず使用することができます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"rare"という単語について調べてみました。
ゲームの「SSレア」やステーキの焼き加減「レア」はどちらも英語"rare"に由来しますが、そのルーツはラテン語かゲルマン語かで全く別物でした。
また、"rare"はあくまで「生焼け」の状態であり完全な「生の」状態は"raw"を用いるというわけですね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。