ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
接頭辞は語基(単語のベース部分)の頭について、新たな語彙や意味を派生させることができる接辞です。
英語では"prefix"ですが、この単語自体が接頭辞"pre-"「前に」+ 語基"fix"「置かれたもの」という構成です。
この"pre-"に限らず英語にはさまざまな接頭辞が用いられますが、中には似た意味をもつ複数の接頭辞があります。
そこで今回は否定の接頭辞"un-、dis-"について、調べてみました。
否定の接頭辞"un-、dis-"
接頭辞のうち否定を表すものが"un-、dis-"ですが、単語によって"un-"が付く場合があれば、"dis-"が付く場合もあります。
それぞれ何が違うのか探ってみましょう。
1.用法の違い
まずは辞書でそれぞれの用法を調べてみました。
接頭辞 "un-"の用法
1.(形容詞とその派生副詞・名詞につけて)…でない、不…、…のない、無…
2.(動詞につけて)「(ある行為・状態の)逆」「除去、奪取、解放」
接頭辞 "dis-"の用法
1.(形容詞・名詞・動詞につけて)「欠如」「否定」「反対」
2.(動詞につけて)「逆にする」
3.(名詞につけて動詞をつくる)「分離」「剥奪(はくだつ)」
(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))
比較してみると、"un-"にせよ"dis-"にせよ形容詞・名詞・動詞にくっつくことができ、その意味するところもほぼ同じであるように見受けられます。
2.語源の違い
続いて、それぞれの語源を調べてみました。
接頭辞 "un-"の語源
Old English un-, from Proto-Germanic *un- (source also of Old Saxon, Old Frisian, Old High German, German un-, Gothic un-, Dutch on-), from PIE *n-
対訳:古英語un- ← ゲルマン祖語*un-(古ザクセン語、古フリジア語、古高ドイツ語、ドイツ語、ゴート語のun-、オランダ語のon-と同源)← 印欧祖語*n-から。
接頭辞 "dis-"の語源
from Old French des- or directly from Latin dis- "apart, asunder, in a different direction, between," figuratively "not, un-," also "exceedingly, utterly." The Latin prefix is from PIE *dis- "apart, asunder"
対訳:古フランス語des-経由またはラテン語dis-から直接、意味は「離れて、間に、(比喩的に)不、非、とても、まったく」。ラテン語の接頭辞は印欧祖語*dis-「離れて」に由来。
(出典:Online
etymology dictionary)
どちらも究極的には印欧祖語に遡ると考えられるものの、"un-"はゲルマン系の由来であり"dis-"はラテン系の由来であるという違いがあります。
接頭辞は単独では用いられず語基の頭にくっついて初めて機能します。
異なるルートから接頭辞つきの単語が英語に取り入れられ、両方が現代まで使われているというように考えられます。
異なるルートから語彙が取り入れられた英語においては"unexpected"(ゲルマン系の接頭辞"un-" + ラテン系の語基"expected")のように、異なる系統の組み合わせがあるのも面白いところです。
"un-"と"dis-"の両方がつく単語の違いとは?
以上のように"un-"と"dis-"は語源的な違いが見受けられましたが、英単語の中には"un-"と"dis-"の両方がつく単語もあります。
例えば、"unlike"と"dislike"です。
どちらも語基"like"に接頭辞"un-
/ dis-"がついています。
この違いは何でしょうか?
答えは、品詞および意味の違いですね。
"unlike"は形容詞「似ていない」または前置詞「~と違って」という用法であるのに対し、"dislike"は動詞「嫌う」という用法でです。
元の"like"は一語で動詞「好き」、形容詞「似ている」、前置詞「~に似た」等の幅広い用法を持っていますが、否定となると接頭辞が分かれるというのは面白いですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は否定の接頭辞"un-"と"dis-"について調べてみました。
たまたま"unlike"と"dislike"という単語を見ていて気になったのですが、他にも"un-"と"dis-"の両方がつく単語があります("unable"と"disable"等)。
同様の例を探して用法の違いについて調べてみるのも面白いかもしれませんね。