ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
対象が酸性かアルカリ性かを試験する際の道具と言えばリトマス試験紙ですね。
酸性下で赤、アルカリ性下では青に変化するあの紙です。
人によっては私のように小学校の理科の授業を最後に見たり触ったりする機会も無くなっているかもしれませんが、先日ふとその名前を思い出しました。
そこで思ったのですが、リトマス試験紙の「リトマス」とは一体何なのでしょうか。
試験紙を発明した人の名前がリトマスさんだったのか? それとも何らかの一般名詞なのか?
今回は「リトマス」について調べてみました。
「リトマス」は英語"litmus"から
そもそも「リトマス」は英語"litmus"を借用したものです。
早速、辞書を紐解いてみると"litmus"について以下の解説が見つかりました。
[名]リトマス(◇酸性度試験用)
[原義は「着色能力をもつ苔」]
(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))
「着色能力をもつ苔」とは、どんな苔なのでしょうか?
更に語源を調べてみたいと思います。
"blue dye-stuff obtained from certain lichens," early 14c., lit-mose, probably from an Old Norse word related to Norwegian dialectal litmose, from Old Norse lita "to dye, to stain" + mos "moss."
対訳:「特定の地衣類からとれる青い染料」、14世紀初め、lit-mose、恐らくノルウェーの方言litmose(古ノルド語lita「染める、染みを付ける」+ mos「コケ」)に関連する古ノルド語から。
(出典:Online
Etymology Dictionary)
タデ科植物から染料の藍がとれるように、苔からも染料がとれるということですね。更にその染料が酸性かアルカリ性かで色が変わるというのですから驚きです。
"litmus"「リトマス」はこのように特定の苔からとれる染料を指す一般名詞だと言えそうです。
フランス語で「リトマス」は「ヒマワリ」?
今回、リトマスについて調べてみるともう1つ興味深い発見がありました。
フランス語ではリトマス試験紙のことを"papier
de tournesol"と言うのだそうです。
"papier"は「紙」、"tournesol"は「ヒマワリ」の意味なので合わせて「ヒマワリの紙」と訳せます。
英語"litmus"は「苔」にルーツがありましたが、フランス語ではなぜ「ヒマワリ」が充てられたのでしょうか。
フランス語版Wikipediaによると、この試験法が確立された背景に関係がありそうです。
La teinture de tournesol qui l'imprègne aurait été utilisée pour la première fois vers 1300 par l'alchimiste catalan Arnaud de Villeneuve qui l'extrait à partir d'une plante tinctoriale, le tournesol des teinturiers, d'où son nom.
対訳:1300年頃、カタルーニャの錬金術師アルナウ・ダ・ビラノバが初めてヒマワリの染料を浸した紙を用いており、染色用の植物であるtournesol des teinturiersから抽出された染料であることからこの名がつけられました。
(出典:fr.wikipedia)
L'extraction de la teinture à partir de la poudre de certains lichens commença au xvie siècle, surtout chez les Hollandais.
対訳:特定の地衣類の粉末から染料を抽出することは、16世紀、特にオランダ人の間で始まりました。
(出典:fr.wikipedia)
そもそもリトマス試験紙のルーツは、苔では無く"tournesol"「ヒマワリ」の一種から取られた染料が最初であったというわけですね。
英語の"litmus"は後の時代になって、苔からとれた染料を反映した名前だと言えます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"litmus"「リトマス」について調べてみました。
小学生当時は何の疑問もありませんでしたが改めてこの名前について調べてみると、意外にも「苔」がルーツにありました。
また更に遡ればヒマワリからとれた染料が始まりだったのですね。
昔から理系科目は大の苦手なのですが、こと言葉にまつわる内容であれば調べていて興味は尽きません。
今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。