ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
「針の穴に糸を通すような」という表現は、繊細な動きや集中力を要する時や非常に困難な事に対して用いられます。
実際、針の穴に糸を通すのは簡単ではなく、家庭科の授業などでは「糸通し」のお世話になりました。
ところで、針の「穴」は見た目通りの表現ですが、外国語ではどう表現するのでしょうか。
今回は針の「穴」の相当表現を調べてみました。
針の「目」
英語では針の「穴」のことを針の「目」と表現します。
"eye
of a needle"や"needle’s eye"と言います。
ちなみに、英語においても単に針の「穴」という意味の他に「狭き門」のように比喩的な意味もあります。
何と、新約聖書にも記載された古くからの表現のようです。
The New Testament quotes Jesus as saying in Luke 18:25 that "it is easier for a camel to go through the eye of a needle than for a rich man to enter the kingdom of God"
対訳:新約聖書は、イエスがルカによる福音書18:25の中で次のように述べた事を引用しています。「金持ちが神の国に入るよりも、ラクダが針の穴を通り抜ける方が容易い」
(出典:en.wikipedia.org/wiki/Eye_of_a_needle)
英語の他にも、針の「穴」を「目」と表現する言語は以下のようにいくつかありますが、英語と同じゲルマン系の言語が多いようです、
デンマーク語 nåleøje = 針(nål)の目(øje)
オランダ語 oog = 目
フィンランド語 neulansilmä
= 針(neulan)の目(silmä)
ノルウェー語 øye = 目
スペイン語 ojo = 目
スウェーデン語 nålsöga = 針の(nåls)目(öga)
針の「耳」
針の「穴」のことを「目」ではなく、「耳」と表現する言語もあります。
ドイツ語では"Nadelöhr"と言い、これは針(Nadel)と耳(Öhr)から成る複合語です。
他にも「耳」と表現する言語を以下に挙げてみますが、こちらはスラヴ系の言語が多いようです。
チェコ語 ucho = 耳
ポーランド語 ucho = 耳
ロシア語 uško = (小さな)耳
スロヴェニア語 uho = 耳
ウクライナ語 vúško = (小さな)耳
その他
上で取り上げた言語以外では、針の「穴」に対して「目」や「耳」以外の表現をするようです。
いくつか見てみましょう。
1.フランス語
フランス語では"chas"の一語で針の「穴」を意味します。
語源的にはラテン語の"capsa"「おり、箱」に由来するようですが、「穴」の意味に転じたのは以下の流れと考えられているようです。
The sense evolution could have been from "cage" to "bubble," as attested in the writings of Apicius (a Roman cookbook author), and then finally used to represent a small hollow object, or a cavity.
対訳:アピキウス(ローマ時代の料理本の著者)の記述にも見られる通り「おり」から「泡」の用法が生まれ、最終的には小さな中空の物体や空洞を意味するようになったと思われる。
(出典:en.wiktionary)
2.ガリシア語
スペインの北西部に位置するガリシア州で主に用いられる言語、ガリシア語では"fiestra"で針の「穴」を意味します。
この"fiestra"のルーツはラテン語"fenestra"に由来する語ですが、もとは「窓」を意味する単語です。
針の「穴」と窓の開かれた様子は確かに連想しやすいかもしれませんね。
3.イタリア語
イタリア語で針の「穴」を指す単語は"cruna"です。
この単語は、ラテン語の"corona"「花輪、リース、冠」に由来する可能性があるそうで、「穴」ではなく輪っかと捉えたことによる表現と言えます。
4.ポルトガル語
ポルトガル語では、"buraco"が針の「穴」という意味ですが、この単語は「くぼみ、穴」という一般的な意味も持ちます。
その点で、日本語の針の「穴」の用法と通じるものがありますね。
語源的にはラテン語"foramen"「開口部、隙間」の派生語*foraculumに由来すると思われるそうです。
最後に
いかがでしょうか。今回は、針の「穴」に相当する外国語の表現を調べてみました。
複数の言語に共通する表現もあれば、一言語特有な表現もありましたが、物の見方が言語ごとで異なるようにも感じられて面白いですね。
今後もこうした発見があれば、当ブログにて紹介していきたいと思います。