ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
外国語を扱う上で、意味が似ている又は同じである複数の単語をどう使い分けるかは学習者にとっては悩みの種の1つかと思います。
どちらの単語を用いるのが適切かは、ネイティブの感覚を尋ねてみることが有用でしょう。
今回は、オランダ語におけるよく似た二つの単語について調べてみたいと思います。
オランダ語の"vers"と"fris"
オランダ語には、英語"fresh"に相当する語として、以下の2つの単語があります。
vers [ヴェルス]
fris [フリス]
前者よりも後者の方が英語"fresh"とつづりも発音も似ていますね。
しかし英語版Wiktionaryによれば、どちらの単語も第一義は"fresh"だとされています。
"vers"と"fris"の語源とは?
それぞれの単語のルーツを探ってみましょう。
1.versの語源
From Middle Dutch versch, from Old Dutch *fersk, *frisk, from Proto-West Germanic *frisk, from Proto-Germanic *friskaz
対訳:中期オランダ語versch ← 古オランダ語*fersk、*frisk ← 西ゲルマン祖語*frisk ← ゲルマン祖語*friskaz
(参照:en.wiktionary)
2.frisの語源
From late Middle Dutch frisch, vrisch, borrowed from Middle High German vrisch, from Old High German frisc, from Proto-West Germanic *frisk, from Proto-Germanic *friskaz.
対訳:後期の中期オランダ語frisch, vrisch ← 中高ドイツ語vrischの借用 ← 古高ドイツ語frisc ← 西ゲルマン祖語*frisk ← ゲルマン祖語*friskaz
(参照:en.wiktionary)
実は、どちらもルーツは同じゲルマン祖語に遡ると考えられています。
1の"vers"がオランダ語の中で発展してきた単語の一方、2の"fris"は古いドイツ語から借用してオランダ語になったという経緯があったのですね。
こうした2語の関係は二重語(Doublet)と言われます。
"vers"と"fris"の使い分け方とは?
では、"vers"と"fris"はどのように使い分けられているのでしょうか。
このサイトにおいて、ニュアンスの違いを知ることができます。
それによると"vers"は「新しい」というニュアンスであるのに対し、"fris"は「純粋さ」や「爽やかさ」のニュアンスがあるようです。
日本語で「焼きたてのパン」や「とれたての野菜」という表現における「~たて」を表すには"vers"の方が適切と言えるでしょう。
一方で、「新鮮な空気」や「爽やかな風」などの爽快感を表す場合は"fris"の方が適切と言えるのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はオランダ語の"vers"と"fris"について調べてみました。
語源を同じくしながら、一方はオランダ語として発展した単語"vers"と借用語として途中から加わった"fris"の2語が住み分けをして共存しているというのは面白いですね。
こうした二重語は、今回のオランダ語に限らず他の言語でも例があります。
英語や、もちろん日本語でもあります。調べてみると、面白い発見があるかもしれません。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。