ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
海外の映画を見ていると、登場人物の掛け合いの中で「皮肉」を言っているのを耳にします。
コミュニケーションにおいて効果的に皮肉を言うことができれば、相手との関係がよりよくなったり場の空気が和んだりするかもしれません。
「皮肉」は英語で"irony"といいますが、形容詞で「鉄(製)の」という意味もまた"irony"です。
両語の間には何かしらの関係があるのでしょうか。今回は"irony"の語源について調べてみたいと思います。
"irony"「皮肉」の語源とは?
先述のようにプログレッシブ英和中辞典(第5版)では、"irony"について2つの項目があります。
1つは名詞で「皮肉」や「反語」という意味、もう1つは形容詞で「鉄(製)の、鉄を含む」といった意味です。
それとなく、遠回しに嫌なことを言う「皮肉」は「鉄」のようにズシリと心が痛むかもしれませんが、両語は関係ある単語なのでしょうか。
"irony"の語源を調べてみました。
c. 1500, from Latin ironia, from Greek eironeia "dissimulation, assumed ignorance," from eiron "dissembler," perhaps related to eirein "to speak," from PIE *wer-yo-, suffixed form of root *were- (3) "to speak". Used in Greek of affected ignorance, especially that of Socrates, as a method of exposing an antagonist's ignorance by pretending to modestly seek information or instruction from him.
対訳:1500年頃、ラテン語ironia ← ギリシャ語eironeia「虚偽、知らないふりをすること」から、eiron「偽善者」に由来し、恐らくeirein「話す」と関連する、ルーツは印欧祖語の*wer-yo-で語根*were-(3)「話す」の接尾辞形。ギリシャ語では「偽りの無知」、とりわけソクラテスが控えめに情報や教えを求めるふりをして相手の無知を暴露する方法を指して使われた。
(出典:Online Etymology Dictionary)
そのルーツはギリシャ語にあり、どうやら「鉄」を意味する"iron"とは関係ありません。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスが、知っているにもかかわらず無知を装うということが、文字通りの意味とは正反対の言外の意味を持たせた「皮肉」のルーツだったというわけです。
ちなみに形容詞の"irony"は、言うまでも無く名詞"iron"「鉄」に接尾辞"-y"がついてできています。
"iron"「鉄」の語源は以下の通り。
Middle English iron, iren, yron, from Old English iren, variant (with rhotacism of -s-) of isen, (中略) This perhaps is an early borrowing of Celtic *isarnon, which Watkins suggests is from PIE *is-(e)ro- "powerful, holy," from PIE *eis "strong"
対訳:中英語のiron、iren、yron ← 古英語irenから、isenの異形(-s-のr音化による)、(中略)恐らくケルト語の*isarnonからの初期の借用で、ワトキンス氏は印欧祖語の*eis「強い」から派生した*is-(e)ro-「強力な、神聖な」に由来する可能性を示唆している。
(出典:Online Etymology Dictionary)
名詞の"irony"「皮肉」と形容詞の"irony"「鉄(製)の」はたまたま現在のつづりが同じになったに過ぎず、全く無関係の語だったというわけですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"irony"という単語について調べてみました。
ちなみに名詞の"irony"と形容詞の"irony"では発音も異なります。発音記号は以下の通りです。
名詞「皮肉」のとき /áiərəni/ [アイロニ]
形容詞「鉄(製)の」のとき /áiərni/ [アイアニ]
ネイティブのように「皮肉」が使えるかは十分な経験が必要ですが、逆に皮肉を言われた際にスマートな返しが出来るかもやはり場馴れが必要です。
よりよいコミュニケーションのために、皮肉との付き合い方も学んでいきたいですね。