【意外と知らない】ATMの T は"Teller"の略。では、その意味とは?

2024/10/09

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

クレジットカードやQR決済が主流となったため現金を持ち歩くことが少なくなった現在、ふとした時に現金が必要になったものの持ち合わせが無い…。

そんなとき、近くのコンビニに設置されているATMから現金を引き出して事なきを得た、なんて経験がある方は多いかもしれません。

ところで、ATMとは何の略なのでしょうか。

"A"Automatic「自動」、"M"Machine「機械」というのはイメージできそうですが、残る"T"は何でしょうか?


ATMの"T"は何の略?

ATMには日本語で「現金自動預け払い機」という名前もありますが、この日本語を元に推測してみても"T"がいったい何の略なのか、よく分かりません。

降参して調べてみると、"T"とはTellerの略なのだそうです。

ATMとは、"Automatic Teller Machine"の略だったのですね。

日本語の「現金自動預け払い機」と照らし合わせてみると、"Teller"は「預け払い」の部分に相当するのでしょうか。


なぜATMの"T"Tellerなのか?

"Teller"という語は、動詞"tell"に接尾辞"-er"「~する人」がついた形でしょう。

しかし"tell"といえば思いつくのは、「話す、語る」という意味です。

接尾辞のついた"teller"も、"Story teller"「ストーリーテラー、語り部」という表現があり、なぜATMの"T"に採用されているのか分かりません。

辞書を引いて確かめてみましょう。

まずは動詞"tell"の意味は、以下の通り。

話す、述べる、語る、伝える、知らせる、教える、言う、〜が分かる、判断できる、命令する、見分ける

(出典:英和 用語・用例辞典)

「預け払い」に関連するような意味は見当たりませんね。ところが、"teller"の方を調べてみると思わぬ意味が見つかります。

1(情報を)伝える人、語る[言う]人、語り手

金銭出納係;(議会などの)投票集計係

(出典:プログレッシブ英和中辞典(5)

なんと、2つ目の意味に「金銭出納係」とあるのです。

「出納」とは日常使いの語では無いかもしれませnが、「出す・納める」という漢字の通りで「金銭の出し入れ、支出と収入」といった意味です。

ちなみに読みは「しゅつのう」ではなく「すいとう」です。学生時代、国語のテストでこの漢字の読みを答えたり「すいとう」を漢字で書いたりという問題を経験した方もいるのではないでしょうか。

とにかく、"Teller"という単語において唐突に現れる「金銭出納係」という意味であれば、ATMの"T"が"Teller"の略であることも頷けます。


なぜ"Teller"が「金銭出納係」を意味するのか?

それでは、いったいなぜ"Teller"が「金銭出納係」とか「投票集計係」という意味を持っているのでしょうか。

その理由は、"to tell the truth"「実を言うと」、"tell"という単語のルーツにあります。

Middle English tellen, "speak, talk, say; count, reckon," from Old English tellan "reckon, calculate, number, compute; consider, think, esteem, account" (past tense tealde, past participle teald), from Proto-Germanic *taljan "mention in order"

対訳:中英語tellen「話す、語る、言う;数える、計算する」←古英語tellan「計算する、数える;熟考する、考える、見積る、説明する」(過去形tealde、過去分詞形teald)←ゲルマン祖語*taljan「順に述べる」から。

(参照:Online etymology dictionary

もともと"tell"は「数える」が主な意味だったのです。

ルーツとして推定されるゲルマン祖語の「順に述べる」という概念が、「数える」という意味を経て後の英語では「話す、語る」という意味へシフトしていったのです。

人に何か話したりお話を語ったりするには、順番がきちんとしていないと支離滅裂になってしまいます。

その点で「順に述べる」から「数える」を経て「話す」に至る意味の変化はイメージがしやすいでしょう。

"Teller"に「金銭出納係」とか「投票集計係」の意味があるのは、動詞"tell"で失われた古い意味の「数える」が残っている為だったのですね。他に、"all told"「(全てを数えて)全体で」というフレーズにも昔の意味が見て取れます。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、ATMが何の略なのかをきっかけに"Teller"という単語について調べてみました。

現代では完全に廃れてしまった動詞"tell"の意味が派生語で残っていて、さらに現代的な機械の名前に使われているというのは面白いですね。

今後もこうした発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。

Translate

このブログを検索

プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

お問合せフォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ