【なぞなぞ?】ドイツ語で、口から飛び出す「小さな農民」とは?

2024/10/14

ドイツ語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

ヨーロッパの諸言語を学んでいると、「指小辞」というものをよく目にします。

「指小辞」とは名詞などにくっついて、対象に「小さい」や「少し」といったイメージを付与する機能を持つ接辞です。

日本語では「小一時間」という表現における「小~」や、「鍵っ子」の「~子」のような表現が指小辞に当たります。


ドイツ語の指小辞は?

ドイツ語における指小辞は、"-lein" [ライン]とか"-chen" [ヒェン]という接尾辞があります。

"-lein"のついたドイツ語で有名なものに"Fräulein" [フロイライン]があります。古風ですが、「令嬢」とか「未婚女性」という意味です。

"-chen"のついた方は、"Märchen" [メールヒェン]という語が良く知られているでしょう。「童話」とか「おとぎ話」という意味です。

グリム童話は、ドイツ語では"Grimms Märchen"です。

"Fräulein"はもとの"Frau"「女性、婦人」に"-lein"がついた形で、"Märchen"はもとの"Mär"「話、知らせ」に"-chen"がついた形です。

2種類の指小辞があるわけですが、違いは特にないようです。例えば"Haus"「家」には"-lein"がついた"Häuslein"と、"-chen"がついた"Häuschen"の両方で用例が見つかります。

ただ、もとの単語のつづりや発音の関係で"-lein"か"-chen"のどちらかに限定される例もあります。例えば、"-g"や"-ch"で終わるもとの語は"-chen"との相性が悪く"-lein"がつきます(例 "Ring-lein"「小さな指輪」)。


ドイツ語"Bauer"「農民」に指小辞がつくと・・・?

さて、ドイツ語の指小辞を概観したところで興味深い例をひとつ。

"Bäuerchen"という単語があります。

もとの単語は、"Bauer"で意味は「農民、農夫」という意味です。

ということは、指小辞"-chen"がついて「小農民」「ちょっとした農民」とかの意味になると推測できますね。

もちろん辞書には、その用例もあります。

しかしGoogle等で検索してみると、「農民」とは全く関係の無い検索結果が出てきます。

実は"Bäuerchen"には、「げっぷすること、げっぷ」という意味があるのです。

「農民」に指小辞"-chen"がついた単語の意味が「げっぷ」とはどういうことでしょう?

語源を調べてみると、以下の情報が見つかりました。

From an onomatopoeia for burping like English burp itself. This form *bur (or similar) was then associated, possibly at first in a non-diphthongizing dialect, with the word Bauer (“farmer”), partly due to the perception of farmers as unmannered people.

対訳:英語burpと同様、げっぷを表す擬音語から。この*burという(または類似の)語形は恐らく初めは二重母音化をうけなかった方言であったが、農民は行儀が悪いという認識があった為にBauer「農民」という単語と関連づけられました。

(参照:en.wiktionary

もとは擬音語由来だったのがイメージで関連付けられた「農民」はたまったものではないですね。

ただ、"Bäuerchen"は主に赤ん坊のげっぷを指し、大人のそれにはあまり使われないようです。

より一般的には"Aufstoßen"や"Rülpsen"という表現があります。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語の指小辞について調べてみました。

ちなみにドイツ語の名詞は、男性・女性・中性という3つの文法性に区別されますが、指小辞"-lein"と"-chen"のつく名詞は必ず中性名詞です。

上の例では"Frau"「女性」は意味通り女性名詞ですが、"-lein"がついて"Fräulein"になると中性名詞となるのでご注意を。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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